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10月祭のパンプキンアート
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「うーん・・・」
10月の半ば、普通のよりも倍の大きさのカボチャを前にルカは腕を組んで唸っていた。
「どぉーしよ~・・・」
「・・・・・・ライリー、ルカのやつ何悩んでんだ?」
珍しく悩んでいる弟の背中をみつめながら、カインはすぐ横で本を読んでいたライリーにたずねた。
「ん?・・・・ああっ、今度のお祭りにだすカボチャ彫刻コンクールにルカ兄さん参加するんだけど、肝心のアイディアがぜーんぜんでてこないんだって。」
「今度の祭り・・・ああ、 10月祭のことか。」
こびとの里では毎年、10月の終わりになると秋の豊穣を祝う10月祭がおこなわれる。その祭りで普通のカボチャの倍はあるジャイアントパンプキンを使った彫刻作品―-パンプキンアートのコンクールが行われる。 毎年、大工や職人などが参加する中で、こびと種の中で一番若いルカが参加することになったのだ。
「は~~あ~~」
考えが思い浮かばず、ボフンと庭の芝生に後ろから倒れていった。 目を閉じると、秋の冷たい風がルカの頬を撫で、遠くの家から聴こえてくるピアノかヴァイオリンなのか楽器の音色とともに柔らかく透き通った歌声が風に乗ってかすかに流れ込んでくる。
ーー歌っているのは女の人なのは分かるけど、ピアノとヴァイオリンは誰が弾いているんだろう……女の人、いやもしかしたら男の人…おじいさんかも知れないし、小人じゃないかも知れない……
「・・・・・・そうだ!!」
ガバッと起き上がると、ルカは彫刻刀を手に持ち、カツンカツンと音を立ててカボチャを彫り始めた。
10月31日。 広場ではミリー花農園のワゴン花屋や雑貨などの屋台が立ち並んでおり、大人や子供達で広場は賑わっていた。
そして、中央にある特設ステージではパンプキンアートコンクールの受賞者の発表が行われていた。
「それでは発表します。今年のパンプキンアートコンクール最優秀賞は・・・・・・・・・・
ダンプマン商会社長秘書ヴァーイの「愛しのお嬢様」です!!」
ババーンと言う効果音と共に現れたのは、カボチャで器用に彫られたダンプマン商会社長の一人娘キアーラの(少々美化された)巨大な彫刻像だった。
「ヴァーイさん、今のお気持ちをどうぞ。」
「おじょ~さま~、見てくださいましたか~~私、最優秀賞受賞しましたよ~~!!」
ヴァーイはまるで大型犬のごとく尻尾を振りながら、会場にいるであろうキアーラに向かって叫ぶ姿に会場から笑い声が響いた。
「残念だったな、ルカ。」
「ん?」
カインの問いかけにルカは気にする様子もなく、モグモグとパンプキンパイを頬張っている。
「ん~、確かに賞は取れなかったのは残念だけど悔しくはないかな。」
「……そうか。」
「それに、はじめてカボチャ彫刻に挑戦してスッゴく楽しかったし、納得のいく作品ができたから満足しているんだ。」
そう胸を張って言うルカの表情は悔しさを微塵も感じさせない晴れ晴れとした表情を浮かべていた。
表彰式のあと、コンクール参加者の作った作品が展示され、ルカの彫ったカボチャには、ヒョロッとした体のピアニストと対象的にふくよかな体格の老ヴァイオリニストの真ん中で歌を歌う少女の姿が彫刻されていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
補足
作中には登場しませんでしたが、お祭りの屋台にエドワードもカボチャを使ったお菓子を作って出店しており、ルカの食べていたパンプキンパイはエドワードの作ったものです。
10月の半ば、普通のよりも倍の大きさのカボチャを前にルカは腕を組んで唸っていた。
「どぉーしよ~・・・」
「・・・・・・ライリー、ルカのやつ何悩んでんだ?」
珍しく悩んでいる弟の背中をみつめながら、カインはすぐ横で本を読んでいたライリーにたずねた。
「ん?・・・・ああっ、今度のお祭りにだすカボチャ彫刻コンクールにルカ兄さん参加するんだけど、肝心のアイディアがぜーんぜんでてこないんだって。」
「今度の祭り・・・ああ、 10月祭のことか。」
こびとの里では毎年、10月の終わりになると秋の豊穣を祝う10月祭がおこなわれる。その祭りで普通のカボチャの倍はあるジャイアントパンプキンを使った彫刻作品―-パンプキンアートのコンクールが行われる。 毎年、大工や職人などが参加する中で、こびと種の中で一番若いルカが参加することになったのだ。
「は~~あ~~」
考えが思い浮かばず、ボフンと庭の芝生に後ろから倒れていった。 目を閉じると、秋の冷たい風がルカの頬を撫で、遠くの家から聴こえてくるピアノかヴァイオリンなのか楽器の音色とともに柔らかく透き通った歌声が風に乗ってかすかに流れ込んでくる。
ーー歌っているのは女の人なのは分かるけど、ピアノとヴァイオリンは誰が弾いているんだろう……女の人、いやもしかしたら男の人…おじいさんかも知れないし、小人じゃないかも知れない……
「・・・・・・そうだ!!」
ガバッと起き上がると、ルカは彫刻刀を手に持ち、カツンカツンと音を立ててカボチャを彫り始めた。
10月31日。 広場ではミリー花農園のワゴン花屋や雑貨などの屋台が立ち並んでおり、大人や子供達で広場は賑わっていた。
そして、中央にある特設ステージではパンプキンアートコンクールの受賞者の発表が行われていた。
「それでは発表します。今年のパンプキンアートコンクール最優秀賞は・・・・・・・・・・
ダンプマン商会社長秘書ヴァーイの「愛しのお嬢様」です!!」
ババーンと言う効果音と共に現れたのは、カボチャで器用に彫られたダンプマン商会社長の一人娘キアーラの(少々美化された)巨大な彫刻像だった。
「ヴァーイさん、今のお気持ちをどうぞ。」
「おじょ~さま~、見てくださいましたか~~私、最優秀賞受賞しましたよ~~!!」
ヴァーイはまるで大型犬のごとく尻尾を振りながら、会場にいるであろうキアーラに向かって叫ぶ姿に会場から笑い声が響いた。
「残念だったな、ルカ。」
「ん?」
カインの問いかけにルカは気にする様子もなく、モグモグとパンプキンパイを頬張っている。
「ん~、確かに賞は取れなかったのは残念だけど悔しくはないかな。」
「……そうか。」
「それに、はじめてカボチャ彫刻に挑戦してスッゴく楽しかったし、納得のいく作品ができたから満足しているんだ。」
そう胸を張って言うルカの表情は悔しさを微塵も感じさせない晴れ晴れとした表情を浮かべていた。
表彰式のあと、コンクール参加者の作った作品が展示され、ルカの彫ったカボチャには、ヒョロッとした体のピアニストと対象的にふくよかな体格の老ヴァイオリニストの真ん中で歌を歌う少女の姿が彫刻されていた。
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補足
作中には登場しませんでしたが、お祭りの屋台にエドワードもカボチャを使ったお菓子を作って出店しており、ルカの食べていたパンプキンパイはエドワードの作ったものです。
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