ホドワールの兄弟 

keima

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雪の精霊(手のひらサイズ)と火の精霊

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「そこの若きこびと族ホドワールよ、少し良いか?」
「はい?………ってうわっ!?」
そう声を掛けられたエドワードが振り向いた瞬間、ブワリと熱気と目がくらむほどの神々しい光を放つ美青年ーー火の精霊がそこにいた。
「あるモノを探しておるのだが見ておらぬか?」
「………………ですか?」
「そうじゃ。あれは我のモノ。我だけの大事な大事な宝・・・できれば我の箱庭の中に閉じこめておきたいのに・・・なぜアレは我の手の届かぬところにいこうとするの・・・「あの~~」おお、すまぬすまぬ。」
ブツブツと自分の世界に入っていた火の精霊はエドワードの声かけによって現実の世界に引き戻された。
「・・・・・・残念ながら、見ていないですね。」
「そうか・・・すまんかったのぅ、それでは我はこれで。」
サラバと言うと身をひるがえし火の精霊は立ち去って行った。
「…………相っ変わらずの独りよがり劇場だね火の精霊!!」
火の精霊が立ち去ると、エドワードの隣にいたライリーが憤慨した表情でそう口を開くと、同じく傍にいたルカはそれに同意するように頷いた。
「さて………もう出てきていいですよ。」
 エドワードがそう言うと、ライリーの肩口からヒョッコリと手のひらサイズの少女が顔を出した。兄弟たち小人よりも小さく澄んだ水のように青い髪と瞳に真っ白なワンピースドレスの少女は風の精霊と水の精霊から生まれた雪を司る雪の精霊で、真名なまえをシズクという。
雪の精霊の中でもまだ若い精霊でもあるシズクなのだが、火の精霊はどういうわけかシズクにだけ執着し、毎年冬の時期になると彼女を自分のモノにしようとあの手この手と画策しているためシズクは火の精霊を恐れ、その魔の手から逃げているのだ。 
「火の精霊も懲りないよね。毎年毎年シズクさんを追いかけ回して。」
「ホント何が自分の大事な宝物よ!!シズクさんに色々やらかしておいて何で好かれていると思っているの?意味わかんないよ!!」
シズクを独占したい火の精霊はこれまで色々とやらかしてしまったため、その結果シズクはいっそう火の精霊に苦手意識を持ち、その話を聞いたライリーもあまり火の精霊に対し良い感情を持っていない。
「なんていうか………火の精霊ってヤンデレって言うか……色々拗らせてるよね。」
「そうですね………」
「アレ?兄さん達そこで何してんだよ。」
「「「あっ、カイン(兄さん)!!!」」」

そこに診療所の仕事を終えたばかりのカインが帰ってきた。
もともとシズクはカインの友人で幼い頃から良く遊んでいたのもあり、そのためエドワードら他の兄弟とも面識があったのだ。 
「おっ、シズクじゃん。久しぶ…………」
シズクに挨拶しようとしたカインの表情が一瞬のうちに険しいものに変わった。
「…………シズクお前、声どうした?」
「………………」
「カイン、シズクさん火の精霊に声を封じられたんですよ。」
「はあっ!?」

ーーー雪の精霊、お前が我以外の者の名を呼ぶのは赦さない。お前を愛する者以外にしか解くことができないようにその声を封じてやる!! 

「何だよそれ……」

「カイン兄さん何とかならない?」

「ん~~、そう言われてもなぁ………シズクごめん。ちょっと喉触るよ。」

シズクの喉にカインの指先が少し触れたときだった。 

パキン。パキパキ………

まるで氷が割れるような音が響きわたった。


「「「………………えっ???」」」
「んっ!?」
「…………………あっ………」

目を見開き、自分の喉に触れたシズクの唇からか細い声がこぼれ落ちた。 
「……………とけたけど。」
「「「エエェッ!!!」」」
あまりにもアッサリと解決したことに3人は驚愕した。 
「ええっ!?カイン兄さんスゲー!!」
「でもどうして………」
「あっ!!」
「どうしたのライリー?」
「火の精霊はシズクさんを愛する者にしかとけないって言ったんだよね。」
「「うんうん。」」
「でもそれって必ずしも火の精霊しかとけないって訳じゃないんだよね。」
「「???」」
「そうだよねえ~、カイン兄さん。」
「………はっ?」
いきなり自分に振られたことにカインは訳もわからず困惑していると「カイン」と自分の名を呼ぶシズクと目があった。 
「助けてくれてありがとう。」
「あ~~、おぅ…………」
フワリと柔らかい表情を浮かべるシズクにカインは少し照れくさそうに答えた。


「…………そういう事ですか。」
「そういう事。」
「へ~、カイン兄さんが………ヘェ~~」

良い雰囲気のカインとシズクの2人の様子をエドワード達はニヤニヤと温かい目で見守っていた。


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