お断りです!! 

keima

文字の大きさ
1 / 1

苦学生JKvsハーフ生徒会長? 

しおりを挟む

 空が赤く染まりはじめ、日が段々と落ちてくる時間帯。新聞販売店のジャケットを着た少女は自転車を漕ぎながら一軒一軒の家の郵便受けに新聞を入れていく。
 
「よしっ、次で最後かな?」

少女-あかりは自転車に跨がると、ペダルを思いきり踏みこんだ。 
この春、あかりは高校入学と同時に新聞配達をはじめた。数年前に両親が離婚し、あかりは母親についていった。それから仕事をしながら家事を両立する母の負担をかけまいと、奨学金を利用して高校に進学し、家計の助けになろうと自宅近くの新聞販売店で新聞配達と集金の仕事をはじめてはや1ヶ月経ち、すっかり自転車での配達に慣れた。

(よしっ、配達完了。良い時間だし、お店に戻っ……)

背中から突き刺すような視線を感じ、おそるおそる振り返ると、学生服の外国人がこちらを睨みつけていた。190cmはある長身で褐色の肌に少し長めの白っぽい金髪。深い青色の瞳であかりをとらえ睨みつけている。 

「本宮……あかり…」

「!?」

どこか怒りのこもった声で名前を呼ばれて、驚愕するあかりに、男はカツカツと靴音を立てて近づいてくる。 

-あっ、なんかこの人ヤバいかも? 

そう本能的に感じたあかりは……

「あっ!? 」


くるっと回れ右をすると、そのまま自転車を漕ぎはじめた。 

「待てっ!!」

後ろから声が聞こえるが、そんな事を気にする余裕すらなく、あかりはひたすら自転車を漕いで、男を巻いたのに気づいたのは、販売店近くまで来てからだった。 




「ここに何で呼ばれたのかは分かっているよな。」


逆光を背にしているため、顔は分かりにくいが、昨日の外国人改め生徒会会長広王子行幸ひろこうじみゆきはどこか苛立ったような声色であかりに問いかけた。


翌日あかりが登校すると、担任教師から生徒会長が自分を呼んでいると聞き、生徒会室の場所を教えてもらい、生徒会室に入ると、中に昨日の新聞配達で逢った外国人がそこにいた。 
あの時は気づかなかったが、彼の着ている学生服は自分の高校の制服だったのだ。
しかし、

「えっと…何のことですか?」

「ハッ、しらばっくれる気か。」

「いや、しらばっくれるも何も心当たりがないのですが………もしかして、新聞配達していたのがダメなんですか?」

ひょっとしてと思い、問いかけたところ ニヤリと広王子の口角があがった?


「フンッ、ようやく分かったか。自分が何をやったかを。」

何故か腕を組んでふんぞり返る広王子。

「分かったのなら俺様の…「それの何が悪いんですか?」はあっ!?この後に及んで何開き直っているんだ!!」

-いや、開き直るも何も…… 

「私、新聞奨学金制度を利用しているんですけど。それは学校側にも伝えていると思うんですが。」

「新聞奨学生……」

あかりが利用している新聞育英会は朝刊配達ではなく夕刊配達と集金業務を行う珍しいケースだが、この高校には珍しく昼間と夜間の2つ定時制があるため、あかりは昼間は学校に行き、夕方は新聞配達の仕事ができるのだ。 

「それにウチの高校、アルバイト申請を届ければアルバイトできますよね。」


「………」


さっきまでの自信はどこにいったのか、広王子は顔がまっ青になり、「こんなはずじゃ……」「俺様のシナリオが…」とブツブツと呟いている。

「あの~、誤解がとけたのなら、私は帰りますね。」

これから授業があるのでといって、生徒会室を出て行こうと扉に手を掛けかけた瞬間、「待て!」と広王子は机をバンッとたたいた。


「今度は何か?」

「………………生徒会にはいら「お断りします。」」


パンッという扉の閉まる音とともに広王子はガックリと膝をついた。 



「あっ!!そういえば生徒会長何で私の名前を知ってたんだろう。」

教室に戻る途中、ふとそんなことを思い出したが……

--まあ、いいか。 どうせもう関わることは多分ないだろうし。
 

しかしその後、広王子が生徒会に勧誘するためにたびたび絡んできたり、あの手この手を使って迫ってくるなど、この時のあかりはまだ知らなかった。


end 

  

登場人物

本宮あかり 
高校1年生
母子家庭のため、新聞奨学金で、高校の昼間定時制に通いながら新聞配達の仕事をしている。


広王子行幸 
あかりの通う高校の全日制の3年生 
生徒会長をつとめる
父親はアメリカ人 
あかりを生徒会に勧誘する。
色々と拗らせている。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

姉の引き立て役の私は

ぴぴみ
恋愛
 アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。 「どうしたら、お姉様のようになれるの?」 「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」  姉は優しい。でもあるとき気づいて─

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】

キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。 それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。 もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。 そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。 普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。 マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。 彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】名無しの物語

ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』 父が借金の方に娘を売る。 地味で無表情な姉は、21歳 美人で華やかな異母妹は、16歳。     45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。 侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。 甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。 男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。 登場人物に、名前はない。 それでも、彼らは、物語を奏でる。

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

処理中です...