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瞬殺
3
口の中に短剣を捩じ込んだ時、牙に引っ掛かり、傷になったようだ。
「蹴り一つで、あの魔獣を退治したのか……。お前にも助けられた」
「確かに加速魔法をかけたのは僕ですが、あんなに負荷をかけたら普通の人は潰れますから。間に合ったのは妃殿下のお陰です」
素っ気なく答えてから、セレスは傷を覆うように掌をかざした。
何をする気かと身構える前に、ホワンと前腕部が温かくなる。
セレスが掌を離した時にはもう、傷は跡形もなくなっていた。
「治癒魔法まで使えるのか。完璧だ」
魔法で治療を受けるのは初めてだ。
過去には魔法が使える宮医もいたが、治癒魔法の使い手自体が年々減ってきている。
「傷は塞がりましたが、応急処置レベルです。あとでちゃんとした医師に診てもらってください」
セレスの受け答えは、どこまでも無駄がない。
その潔さを好ましく思っていたが、今日はどうもそれだけではない何かを感じた。
褒められたことへの照れ隠しとも、違うような……
なんにせよ、魔法での治癒は完璧に見えた。
腕をさすっても、少し前と変わらぬ自分の腕があるだけで、傷がどこにあったかも分からない。
さて、一息ついたところで事後処理だ。
会場には避難指示を出しているし、狩猟大会どころではない騒ぎになってしまった。
呼び寄せたうちの3人に魔獣の処理を任せ、残りを狩場の捜索に充てる。
気は進まないが、レオノールには王太子妃として賓客を王城へ送り届ける役目を。
セレスも伴えば、これ以上ない護衛だと安心してもらえるだろう。
しかし参加者の安否を確認するために、使節団側の人間にも一人は残ってもらわねばならない。
人選はアルヴァロに聞けば間違いなかろう。
首を巡らせると、アルヴァロはレオノールと共に輪の中にいた。
まるでパートナーが自分であるかのようなアルヴァロの立ち位置に、いちいちムッとさせられる。
「アルヴァロ王子、我々の不手際のせいで申し訳ありませんが、催しは中止です。安全確保のため、アルヴァロ王子には」
王城へお帰り頂きたい。
そう告げて、当のアルヴァロに言い寄られかけているレオノールから注意を引き離そうとした。
その場でレオノールを囲んでいた騎士たちはクラウディオの声に弾かれて、一斉に道を開ける。
しかし、レオノールの目はクラウディオではなく別の方向に向けられていた。
(いったい、誰をーー)
次の瞬間には頭上に手をかざす。
まるで、眩しい木漏れ日から顔を庇うように。
だが、気づけばそのかざした掌に、矢束が握られた。
ギョッとしたのも束の間だ。
「アルヴァロ王子っ!」
もう一本、弓矢が襲来する。
息もつかせぬ間に、流星のごとく三方から弓を射られた。
「蹴り一つで、あの魔獣を退治したのか……。お前にも助けられた」
「確かに加速魔法をかけたのは僕ですが、あんなに負荷をかけたら普通の人は潰れますから。間に合ったのは妃殿下のお陰です」
素っ気なく答えてから、セレスは傷を覆うように掌をかざした。
何をする気かと身構える前に、ホワンと前腕部が温かくなる。
セレスが掌を離した時にはもう、傷は跡形もなくなっていた。
「治癒魔法まで使えるのか。完璧だ」
魔法で治療を受けるのは初めてだ。
過去には魔法が使える宮医もいたが、治癒魔法の使い手自体が年々減ってきている。
「傷は塞がりましたが、応急処置レベルです。あとでちゃんとした医師に診てもらってください」
セレスの受け答えは、どこまでも無駄がない。
その潔さを好ましく思っていたが、今日はどうもそれだけではない何かを感じた。
褒められたことへの照れ隠しとも、違うような……
なんにせよ、魔法での治癒は完璧に見えた。
腕をさすっても、少し前と変わらぬ自分の腕があるだけで、傷がどこにあったかも分からない。
さて、一息ついたところで事後処理だ。
会場には避難指示を出しているし、狩猟大会どころではない騒ぎになってしまった。
呼び寄せたうちの3人に魔獣の処理を任せ、残りを狩場の捜索に充てる。
気は進まないが、レオノールには王太子妃として賓客を王城へ送り届ける役目を。
セレスも伴えば、これ以上ない護衛だと安心してもらえるだろう。
しかし参加者の安否を確認するために、使節団側の人間にも一人は残ってもらわねばならない。
人選はアルヴァロに聞けば間違いなかろう。
首を巡らせると、アルヴァロはレオノールと共に輪の中にいた。
まるでパートナーが自分であるかのようなアルヴァロの立ち位置に、いちいちムッとさせられる。
「アルヴァロ王子、我々の不手際のせいで申し訳ありませんが、催しは中止です。安全確保のため、アルヴァロ王子には」
王城へお帰り頂きたい。
そう告げて、当のアルヴァロに言い寄られかけているレオノールから注意を引き離そうとした。
その場でレオノールを囲んでいた騎士たちはクラウディオの声に弾かれて、一斉に道を開ける。
しかし、レオノールの目はクラウディオではなく別の方向に向けられていた。
(いったい、誰をーー)
次の瞬間には頭上に手をかざす。
まるで、眩しい木漏れ日から顔を庇うように。
だが、気づけばそのかざした掌に、矢束が握られた。
ギョッとしたのも束の間だ。
「アルヴァロ王子っ!」
もう一本、弓矢が襲来する。
息もつかせぬ間に、流星のごとく三方から弓を射られた。
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