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刺客
1
「危ない!!」
「レオノールどの……っ!」
レオノールの手が掴んだものは矢だと、クラウディオたちが気づいた時にはもう遅かった。
レオノールは襲い来る3本の矢のうち、1本を左手で払う。
もう1本はアルヴァロの胸元を強引に掴んで引き倒し、避けさせた。
その弾みで体勢を崩したせいか、避けられぬと悟ったのか。
3本目の矢は地に伏せたアルヴァロを庇って左肩に受けた。
全ては騎士たちが剣を抜くための一瞬に起きたことで、誰にも止められなかった。
突如として、目前に突きつけられた現実が全てだった。
うずくまるレオノールの肩には鏃が突き刺さり、ブラウスに赤いシミがジワジワと広がっていく。
「レオノールッ! 全員警戒体勢を取れ!!」
クラウディオは血相を変えてレオノールに駆け寄った。
アルヴァロを庇ったのだから標的はアルヴァロの可能性が高い。
しかし、刺客を探している場合ではなかった。
「レオノール、無事か!?」
矢は急所を外れているし、矢傷ならセレスがきっと治療してくれる。
クラウディオは自分に言い聞かせるようにして、レオノールの横に膝を突いた。
様子が知りたくて、背中に手を置く。
「触らないで!!」
途端、鋭い叫びを上げて、レオノールはクラウディオの手を振り払うように身体を捩った。
レオノールから拒絶されるとは、思いもよらない。
たちまち金縛りにあったように、クラウディオは動けなくなった。
「これは、毒矢です。セレスを、呼んでください」
クラウディオとアルヴァロ、双方の接近を阻むように片手を上げて動きを制す。
顔を上げたかと思うと、地に尻をついたまま、はあはあと肩で息をした。
刺さったままの弓矢が痛々しい。
毒には耐性があると昨晩話していたが、辛そうだ。
「いるよ、レオ。大丈夫、一人は拘束した」
いつの間にか、すぐ傍にはセレスが控えていた。
レオノールの呼びかけに応じて、進み出る。
「流石。……よかった。じゃあ、残りは――」
言い切る前に、レオノールの喉がひゅっと鳴った。
肩に刺さった矢の付け根が脈動し、白いブラウスに滲む朱がじわりと広がる。
セレスは躊躇いなく肩を抱き、ふらつく上体を支えた。
「矢に、放った奴の“残り香”が残ってる。思念を追って」
「分かってる。抜くから、じっとして」
片膝をつき、グッと八束を握る。
言葉のやり取りで、レオノールが何をさせようとしているのかは分かる。
だが、それをどう実行するのか。
クラウディオには知る術がない。
あのアルヴァロでさえ、レオノールとセレスの間に流れる空気に圧倒されて沈黙している。
アルヴァロはレオノールに庇われた上、痛手を負わせたと分かり、なんとも情けない顔をしていた。
きっとクラウディオ自身も、似たような状態に違いない。
アルヴァロの様子を確認し、目を戻したくらいの瞬く間に、事態は進行していた。
「うっ」と短い呻きと同時に、弓矢が空中に浮き上がった。
「レオノールどの……っ!」
レオノールの手が掴んだものは矢だと、クラウディオたちが気づいた時にはもう遅かった。
レオノールは襲い来る3本の矢のうち、1本を左手で払う。
もう1本はアルヴァロの胸元を強引に掴んで引き倒し、避けさせた。
その弾みで体勢を崩したせいか、避けられぬと悟ったのか。
3本目の矢は地に伏せたアルヴァロを庇って左肩に受けた。
全ては騎士たちが剣を抜くための一瞬に起きたことで、誰にも止められなかった。
突如として、目前に突きつけられた現実が全てだった。
うずくまるレオノールの肩には鏃が突き刺さり、ブラウスに赤いシミがジワジワと広がっていく。
「レオノールッ! 全員警戒体勢を取れ!!」
クラウディオは血相を変えてレオノールに駆け寄った。
アルヴァロを庇ったのだから標的はアルヴァロの可能性が高い。
しかし、刺客を探している場合ではなかった。
「レオノール、無事か!?」
矢は急所を外れているし、矢傷ならセレスがきっと治療してくれる。
クラウディオは自分に言い聞かせるようにして、レオノールの横に膝を突いた。
様子が知りたくて、背中に手を置く。
「触らないで!!」
途端、鋭い叫びを上げて、レオノールはクラウディオの手を振り払うように身体を捩った。
レオノールから拒絶されるとは、思いもよらない。
たちまち金縛りにあったように、クラウディオは動けなくなった。
「これは、毒矢です。セレスを、呼んでください」
クラウディオとアルヴァロ、双方の接近を阻むように片手を上げて動きを制す。
顔を上げたかと思うと、地に尻をついたまま、はあはあと肩で息をした。
刺さったままの弓矢が痛々しい。
毒には耐性があると昨晩話していたが、辛そうだ。
「いるよ、レオ。大丈夫、一人は拘束した」
いつの間にか、すぐ傍にはセレスが控えていた。
レオノールの呼びかけに応じて、進み出る。
「流石。……よかった。じゃあ、残りは――」
言い切る前に、レオノールの喉がひゅっと鳴った。
肩に刺さった矢の付け根が脈動し、白いブラウスに滲む朱がじわりと広がる。
セレスは躊躇いなく肩を抱き、ふらつく上体を支えた。
「矢に、放った奴の“残り香”が残ってる。思念を追って」
「分かってる。抜くから、じっとして」
片膝をつき、グッと八束を握る。
言葉のやり取りで、レオノールが何をさせようとしているのかは分かる。
だが、それをどう実行するのか。
クラウディオには知る術がない。
あのアルヴァロでさえ、レオノールとセレスの間に流れる空気に圧倒されて沈黙している。
アルヴァロはレオノールに庇われた上、痛手を負わせたと分かり、なんとも情けない顔をしていた。
きっとクラウディオ自身も、似たような状態に違いない。
アルヴァロの様子を確認し、目を戻したくらいの瞬く間に、事態は進行していた。
「うっ」と短い呻きと同時に、弓矢が空中に浮き上がった。
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