「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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デート/レオノール視点

 デートみたいだと比喩したら、クラウディオが赤面した。

(てことはやっぱり、これはデートなの……?)

 そう思った途端にこっちまで恥ずかしくなって、赤くなってしまった。

 慌てて目を逸らすとクラウディオも同じような反応をしていたので、恥ずかしいようないたたまれないような気持ちになり、変な間ができる。

(え? 何、この仕草は)

 赤く染まった頬を隠したいのに、それすらも恥ずかしがって顔を逸らしつつ、掌で覆っている。

 それともレオノールのせいだろうか。

 いつもは淡々としているクラウディオが戸惑いをみせると、急に愛らしく映るものだ。

 そんなことを考えていると「そうだとしたら嬉しい」と口を突いて出た。

 クラウディオは「ああ」と低く掠れた声で応じる。

 あまり多くを語りたがらない様子で、クラウディオがどぎまぎしているのが見て取れて……

 めちゃめちゃ、可愛い。何で。

(ちょっと思ったら口に出ちゃったけど、クラウディオ様は意識してるんだ。私を)

 何故なのか理由はわからないけれど。

(……これは、チャンスかもしれない?)

 鍛え抜かれたレオノールの勘は確信に近い予兆を感じていた。

 だから急いで思考を切り替えた。

 クラウディオがデートを意識してくれているのなら、このままその流れに乗ろう。

 このデートを成功させ、クラウディオの心を鷲掴みにしてしまおうではないか。

(上手くやれば、手くらい繋げるかも。隙を突けば朝飯前だし……)

 心の中でグッと拳を握り、思春期の少年のような目標を掲げる。

「俺に、教えてくれ。……君が何を好むのか」

 いやいや、違う。クラウディオはレオノールの内面を知りたがってくれた。

 隙とかそういう問題じゃない気がする。

 せめて偶然くらい装わなくては。

「……途中でクラウディオ様の気になる場所があったら止めてくださいね」

 作戦がまとまらないながらも、不審にならないようレオノールは立ち上がった。

 何がどうであれ、チャンスは逃したくない。

(男女の仲が深まるような場所って城下にあるかしら? ああ、そういえば昔、コールヴァンがなんかそれ系の話、してたかも)

 クラウディオを先導するように背を向けて、レオノールは歩き出す。

 歩きながら必死に思い出そうと努めた。

 生臭坊主のコールヴァンが酔っ払いながら言っていた ”デートの必勝コース” を。



『最初は軽い買い物で装飾品を贈れ。次に腹を満たしたら、午後は観劇か水辺を散歩。締めは酒で落とすんだよ』



 ある程度手慣れた人間であれば、それがオーソドックスなデートコースであるくらいの察しがつく。

 だが、レオノールはそっちの方面には無頓着で、疎かった。

(発信源がコールヴァンだし、眉唾だけど。ともかく試してみるか。理屈より実践よ)

 思い立ったら即行動がレオノールのモットーだ。
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