「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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デート/レオノール視点

 勢いをつけて、街の通りの中央を颯爽と歩き出した。

 その背をクラウディオが穏やかな目で追う。

「ずいぶん急だな。目的があるのか?」
「はい、一旦ざっと把握してきますので、ちょっと待ってくださいね」

 言うが早いか、レオノールはクラウディオを置き去りにする早足でメインストリートを端から端まで往復した。

 一度ならず二度三度と行き来してようやく足を止めると、ガックリと項垂れる。

(ダメだ。早すぎて、まだお店がやってない……)

「端から見て回りましょうか。ブラブラしに来たんですし」

 クラウディオのもとに戻ると、肩で息をしながら取り繕う。

「目当ての店がまだ開いていなかったのか? この通りの路面店は、大抵9時以降でないと開店しないからな」

「……ですよね」

 誤魔化そうとしても、すっかりお見通しだ。

 肩で息をしながら苦笑するレオノールに、クラウディオはわずかに口元を緩めた。

 改めて見直せば朝の市場は、まだ開店準備の最中だ。

 荷車の車輪が石畳を軋ませて忙しなく行き来しているし、並んだ木箱の中にはまだ包み紙にくるまれた野菜が眠っている。

「せっかくの早朝だし、目的は買い物だけではないのだろう。先に別の目的を済ませばいい。他に何をするつもりだった?」

「んと……まずは買い物で装飾品を見たら、お昼ご飯の後は観劇か水辺を散歩して、締めはお酒を……」

 尋ねられて、コールヴァン推薦のデートコースを暗唱した。

「それは、本当に君の計画か?」

 すると鋭く指摘を受けて、レオノールは続きに詰まる。

「いや、否定するつもりではないんだ。だがどうも君らしくない気がして」

「私らしくないですか?」 

「君の嗜好を理解したいと言っておいてなんだが……君は酒や装飾品にはさほど興味がなさそうに見えたから」

 クラウディオの察しが良いのか、レオノールの発言があからさまに不自然なのか分からない。

 けれどクラウディオがよくよくレオノールのことを考えていてくれるのだけは分かる。

 クラウディオの指摘は大正解だ。

 酒や装飾品にはさほど興味がない。

 レオノールにとって普通の酒ならジュースと同じだし、装飾品はすぐに壊してしまう。

 クラウディオの求めているものとコールヴァンのデートコースはどこかズレている気がする。

 デートらしい雰囲気は出したいけれど、クラウディオはレオノールを知りたがっているのだ。

 せっかくの気持ちを無下にして、他人の受け売りを実践するのも違う気がしてきた。

「せっかくなので何かデートっぽいことをと……ない知恵を絞ってみたんですが、慣れないことはするもんじゃないですね。すみません」

 素直に非を認めて謝罪すると、クラウディオはあからさまに表情を固くした。


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