「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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助っ人/セレス視点

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 そんな中で、クラウディオのレオノールに対する冷たい仕打ちに、どれだけの怒りを覚えたか。

 ……もしも、レオノールが少しでも音を上げたなら、連れ去る覚悟はいつでもあった。

 しかし、冷たくされてもレオノールは、堪える様子もなく過ごしていた。

 むしろ攻略を楽しんでいる節まであった。

 それでも自分にとって大切な相手が邪険に扱われる様子は、見ていて気持ちの良いものではない。

 面白くないながらも見守っていると、意外な転機が訪れた。

 毒に侵され錯乱したレオノールを庇って、クラウディオが傷を負った。

 レオノールをただの政略結婚の相手と思っているなら、絶対にしない行動だ。

 普通の人間ならまず、錯乱状態に怯む。

 それに負傷していてもレオノールはあの通りの体格だし、腕力も凄まじい。

 ”毒は効かない”と聞かされているなら、自傷行為が繰り返されようと「いずれは回復する」と放置してもおかしくなかった。

 けれど結局、クラウディオはレオノールの容体が落ち着くまで、傍を離れなかった。

 そこでセレスの淡い希望は潰えたのだ。

 あとは自分の想いが風化する時を待つだけだったのに……。

 全く、あのノーキエの王子は余計なことをしてくれたものだ。

「殿下が早々に手を打ってくださったお陰です。近くまで来ていたので、予定を早めてこちらへ向かってくれるそうです」

「それは有難い。時間を問わずこの部屋に通してもらえるよう、門兵に伝えておこう」

 それ以降のクラウディオの働きには目を見張るものがあった。

 セレスはまだ新米騎士でもあるし、国事の中枢にいるクラウディオから詳細を聞く立場になかった。

 だが、指揮系統を見る限り、騎士団の全権を握っているのはクラウディオだとわかった。

 レオノールの容体を悟らせぬよう、使節団の護衛を30人余り選定し、指揮官を副団長エルネスト・ガライに任命した。

 その一団が行方知れずになり、ノーキエと交渉を重ねながら救助隊も編成しようとした矢先、ノーキエからの要求が飛び込んだ。

 ”勇者を遣わせろ”

 何の茶番だと鼻白む要求に、セレスも憤慨した。

 そのかんに、主要ポストに就く貴族の一部から批判の声が上がった。

 国家の運営に関する最終判断は国王の手に委ねられている。

 とはいえ、実質的に重要な決断を下しているのはクラウディオだった。

 国王は近いうちに王位を継承する心積もりがあるのだろう。

 クラウディオが指示を仰ぎ、国王が判断を下す流れとなっていたし、クラウディオは優秀な後継者として頭角を表していたため、これまでは誰からも異論は出なかった。

 しかし、今回は違う。

 クラウディオとレオノールの婚姻をよく思わない集団が、こぞって主張した。

 ”早期に王太子妃を派遣せよ。何のために勇者を娶ったのか”と厳しい批判を掲げ、邪魔者の排斥をもくろんだ。
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