123 / 166
勇者パーティ再集結+クラウディオ
4
「もちろん! そのために覗いたんだしね。アルヴァロ王子の力がどれほどの範囲に及ぶか知らないけど、この城にはチリ一つ入り込めないように結界を張ったわ。鏡の繋がりも、貴方たちを送り出したら直ちに遮断する」
フィオレンティーナは重い足取りで鏡に歩み寄ると、鏡面の額縁に指先を滑らせた。
すると、ぼんやりと鏡面が光を発した。
「では、本当に繋がったんだな? 五分五分だと言っていたのに」
アルヴァロがノーキエに囚われている騎士団を映し出した鏡。
魔力をうまく辿れば、ノーキエの王城と繋げられるのではないかと、フィオレンティーナは試行錯誤を繰り返していた。
騎士団の身柄を保護できれば、戦いはぐっと優勢になる。
場合によっては衝突さえ避けられる。
「完全な接触は飛び込む一瞬だけです。繋いだ瞬間に相手も気づくでしょうから。ここまでバレずに漕ぎ着けたのは、レオがバカ真面目に突っ走って、気を引いてくれてるからですね」
フィオレンティーナは茶目っ気たっぷりにウィンクした。
鏡からエルグランへの帰城はできないから、脱出はセレスやコールヴァンの移動魔法頼りになる。
移動魔法には人数や距離に制限があるらしい。
どの範囲で何人ずつ運ぶかは、既に打ち合わせてある。
「……私にできることはここまでですけど、どうぞこのお城のことは任せてください」
「充分だ。身重なのに無理をさせて申し訳ないが、よろしく頼む。ここからは我々の番だ」
気を引き締めてフィオレンティーナを見下ろす。彼女の出産まで、あと1ヶ月余りという時期だ。
このように小さな胎内で子を育み、一方で仲間のためにこうまでして奮闘してくれる。
「君も、くれぐれも無理はせず、危険が迫ったら引いてくれ。君だけのものではない、大切な身体だ」
クラウディオは彼女の心遣いに感謝と激励の意を込めて、そっとフィオレンティーナの肩に手を置いた。
しかし、当のフィオレンティーナは意外な反応を見せた。
じっと鮮やかなサファイアブルーの瞳に見つめられたせいで、フィオレンティーナはポッと頬を染める。
「……やっぱ、すごい破壊力だわ。生王子様ってすごい。レオの気持ち、ちょっとわかっちゃったかも……」
「おおーい、聞いたぞ。フィオまでそりゃないぜ。こんなにいい男が周りにいるってのに。旦那に告げ口するぞ」
両頬に手を当てて目を細めるフィオレンティーナに、コールヴァンは横槍を入れる。
コールヴァンの軽口に、部屋の緊張は幾分和らいだ。
これが彼ら流の緊張の解き方なのだろう。
「ただのやっかみでしょ! さ、行ってらっしゃい。モテないストレスは敵さんにぶつけて来て」
フィオレンティーナが慣れた様子で出発を促したので、クラウディオも軽く流すことにした。
フッと笑みを漏らすと、姿見の前に立った。
コールヴァンの軽口には、確かに効果があったようだ。
勇者パーティの面々がその後ろにズラッと並ぶ。
「3カウントで開きます。いきますよ、3.2.1……!!」
「行くぞ」
フィオレンティーナが鏡に手をかざすと、鏡面が水面のように波打った。
ゆらりと霞む鏡面には薄暗い空間と、濃紺の服を纏った人影が浮かび上がる。
あの日に見たものと同様の光景だった。
クラウディオは勢いよく床を蹴り、吸い込まれるように鏡面に飛び込んだ。
フィオレンティーナは重い足取りで鏡に歩み寄ると、鏡面の額縁に指先を滑らせた。
すると、ぼんやりと鏡面が光を発した。
「では、本当に繋がったんだな? 五分五分だと言っていたのに」
アルヴァロがノーキエに囚われている騎士団を映し出した鏡。
魔力をうまく辿れば、ノーキエの王城と繋げられるのではないかと、フィオレンティーナは試行錯誤を繰り返していた。
騎士団の身柄を保護できれば、戦いはぐっと優勢になる。
場合によっては衝突さえ避けられる。
「完全な接触は飛び込む一瞬だけです。繋いだ瞬間に相手も気づくでしょうから。ここまでバレずに漕ぎ着けたのは、レオがバカ真面目に突っ走って、気を引いてくれてるからですね」
フィオレンティーナは茶目っ気たっぷりにウィンクした。
鏡からエルグランへの帰城はできないから、脱出はセレスやコールヴァンの移動魔法頼りになる。
移動魔法には人数や距離に制限があるらしい。
どの範囲で何人ずつ運ぶかは、既に打ち合わせてある。
「……私にできることはここまでですけど、どうぞこのお城のことは任せてください」
「充分だ。身重なのに無理をさせて申し訳ないが、よろしく頼む。ここからは我々の番だ」
気を引き締めてフィオレンティーナを見下ろす。彼女の出産まで、あと1ヶ月余りという時期だ。
このように小さな胎内で子を育み、一方で仲間のためにこうまでして奮闘してくれる。
「君も、くれぐれも無理はせず、危険が迫ったら引いてくれ。君だけのものではない、大切な身体だ」
クラウディオは彼女の心遣いに感謝と激励の意を込めて、そっとフィオレンティーナの肩に手を置いた。
しかし、当のフィオレンティーナは意外な反応を見せた。
じっと鮮やかなサファイアブルーの瞳に見つめられたせいで、フィオレンティーナはポッと頬を染める。
「……やっぱ、すごい破壊力だわ。生王子様ってすごい。レオの気持ち、ちょっとわかっちゃったかも……」
「おおーい、聞いたぞ。フィオまでそりゃないぜ。こんなにいい男が周りにいるってのに。旦那に告げ口するぞ」
両頬に手を当てて目を細めるフィオレンティーナに、コールヴァンは横槍を入れる。
コールヴァンの軽口に、部屋の緊張は幾分和らいだ。
これが彼ら流の緊張の解き方なのだろう。
「ただのやっかみでしょ! さ、行ってらっしゃい。モテないストレスは敵さんにぶつけて来て」
フィオレンティーナが慣れた様子で出発を促したので、クラウディオも軽く流すことにした。
フッと笑みを漏らすと、姿見の前に立った。
コールヴァンの軽口には、確かに効果があったようだ。
勇者パーティの面々がその後ろにズラッと並ぶ。
「3カウントで開きます。いきますよ、3.2.1……!!」
「行くぞ」
フィオレンティーナが鏡に手をかざすと、鏡面が水面のように波打った。
ゆらりと霞む鏡面には薄暗い空間と、濃紺の服を纏った人影が浮かび上がる。
あの日に見たものと同様の光景だった。
クラウディオは勢いよく床を蹴り、吸い込まれるように鏡面に飛び込んだ。
あなたにおすすめの小説
【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜
恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」
不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。
結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、
「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。
元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。
独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場!
無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。
記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける!
※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる
物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。
待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。
そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています
もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。
ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。
庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。
全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。
なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。
尽くしてきた婚約者に裏切られたので、婚約を解消しました〜彼が愛に気づいたのは、すべてを失ったあとでした〜
ともどーも
恋愛
「今回で最後だ。誓うよ」
これは二度目の『結婚式キャンセル』の時に言われた言葉。
四年間、愛する婚約者ディートリッヒのため尽くし続けてきたイリス。
だがディートリッヒは、イリスの献身を当然のものとし、やがて初恋の令嬢エレノアを優先するようになる。
裏切り、誤解、そして理不尽な糾弾。
心も身体も限界を迎えた夜、イリスは静かに決意した。
──もう、終わらせよう。
ディートリッヒが「脅しのつもり」で差し出した婚約解消の書類を、イリスは本当に提出してしまう。
すべてを失ってから、ようやく自分の愛に気づいたディートリッヒ。
しかしもう、イリスは振り返らない。
まだ完結まで執筆が終わっていません。
20話以降は不定期更新になります。
設定はゆるいです。
冷酷夫からの離婚宣告を受けたので、次は愛してくれる夫を探そうと思います。
待鳥園子
恋愛
「……それでは、クラウディア。君とはあと、三ヶ月で離縁しようと思う」
一年前に結婚した夫ジャレッドからの言葉に、私はまったく驚かなかった。
彼はずっと半分しか貴族の血を持たぬ私に対し冷たく、いつかは離婚するだろうと思っていたからだ。
それでは、離婚までに新しい夫を見付けねばとやって来た夜会に、夫ジャレッドが居て!?