「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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勇者パーティ再集結+クラウディオ

「もちろん! そのために覗いたんだしね。アルヴァロ王子の力がどれほどの範囲に及ぶか知らないけど、この城にはチリ一つ入り込めないように結界を張ったわ。鏡の繋がりも、貴方たちを送り出したら直ちに遮断する」

 フィオレンティーナは重い足取りで鏡に歩み寄ると、鏡面の額縁に指先を滑らせた。

 すると、ぼんやりと鏡面が光を発した。

「では、本当に繋がったんだな? 五分五分だと言っていたのに」

 アルヴァロがノーキエに囚われている騎士団を映し出した鏡。

 魔力をうまく辿れば、ノーキエの王城と繋げられるのではないかと、フィオレンティーナは試行錯誤を繰り返していた。

 騎士団の身柄を保護できれば、戦いはぐっと優勢になる。

 場合によっては衝突さえ避けられる。

「完全な接触コンタクトは飛び込む一瞬だけです。繋いだ瞬間に相手も気づくでしょうから。ここまでバレずに漕ぎ着けたのは、レオがバカ真面目に突っ走って、気を引いてくれてるからですね」

 フィオレンティーナは茶目っ気たっぷりにウィンクした。

 鏡からエルグランへの帰城はできないから、脱出はセレスやコールヴァンの移動魔法頼りになる。

 移動魔法には人数や距離に制限があるらしい。

 どの範囲で何人ずつ運ぶかは、既に打ち合わせてある。

「……私にできることはここまでですけど、どうぞこのお城のことは任せてください」

「充分だ。身重なのに無理をさせて申し訳ないが、よろしく頼む。ここからは我々の番だ」

 気を引き締めてフィオレンティーナを見下ろす。彼女の出産まで、あと1ヶ月余りという時期だ。

 このように小さな胎内で子を育み、一方で仲間のためにこうまでして奮闘してくれる。

「君も、くれぐれも無理はせず、危険が迫ったら引いてくれ。君だけのものではない、大切な身体だ」

 クラウディオは彼女の心遣いに感謝と激励の意を込めて、そっとフィオレンティーナの肩に手を置いた。

 しかし、当のフィオレンティーナは意外な反応を見せた。

 じっと鮮やかなサファイアブルーの瞳に見つめられたせいで、フィオレンティーナはポッと頬を染める。

「……やっぱ、すごい破壊力だわ。生王子様ってすごい。レオの気持ち、ちょっとわかっちゃったかも……」

「おおーい、聞いたぞ。フィオまでそりゃないぜ。こんなにいい男が周りにいるってのに。旦那に告げ口するぞ」

 両頬に手を当てて目を細めるフィオレンティーナに、コールヴァンは横槍を入れる。

 コールヴァンの軽口に、部屋の緊張は幾分和らいだ。

 これが彼ら流の緊張の解き方なのだろう。

「ただのやっかみでしょ! さ、行ってらっしゃい。モテないストレスは敵さんにぶつけて来て」

 フィオレンティーナが慣れた様子で出発を促したので、クラウディオも軽く流すことにした。

 フッと笑みを漏らすと、姿見の前に立った。

 コールヴァンの軽口には、確かに効果があったようだ。

 勇者パーティの面々がその後ろにズラッと並ぶ。

「3カウントで開きます。いきますよ、3.2.1……!!」

「行くぞ」

 フィオレンティーナが鏡に手をかざすと、鏡面が水面のように波打った。

 ゆらりと霞む鏡面には薄暗い空間と、濃紺の服を纏った人影が浮かび上がる。

 あの日に見たものと同様の光景だった。

 クラウディオは勢いよく床を蹴り、吸い込まれるように鏡面に飛び込んだ。
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