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競い合い
遠距離走 2
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どれくらいの距離があるのか把握しきれない今、誰もがペース配分に及び腰だ。
そんな中、先頭のマスクは後続をぐんぐん引き離している。
(それにしても、早い……! まったく、大した奴だ)
小柄な分、足の長さでの不利をものともしない。
このペースで持つのかと心配になるくらいのハイペースだ。
「はっ、……ハハッ」
ついて行こうと思ったら、こちらもペースを上げなければならない。
アルダシールは集団に突っ込み、通り抜け、先頭集団のしんがりに追いついた。
あっという間に後続を引き離したものの、既に息が上がり始めた。
マスクの見事な走りっぷりに、笑いが込み上げた。
時間が合えばアシュレイの走り込みに付き合うことはあったが、まさか俺に合わせてくれていたのか?
フッ、フッと呼吸のリズムを整えつつ、木立の合間を進むと、アルダシールの前にはもう、マスク姿の人物しかいなくなる。
珍妙な姿ではあるが、グリーンのカーテンを縫うように走るマスクの走りは大層美麗で目を奪われた。
木漏れ日に煌めく髪が躍り、神々しささえ漂うほどだ。
(お前は、いったい何者なんだ?)
完走を念頭に置いて、許容できる最大まで速度を上げると2人の距離は50メートル差までに迫った。
だが、そこから先は縮まらない。
手の届く距離へと詰めて、正体を問いただしたい気持ちもある。
しかしその一方で、このままずっと芸術的な後ろ姿を見つめていたい願望にも駆られる。
「バカな、アイツが。そんなはず……!」
後方で太い声が悪態をついているので、シルランもそれなりの位置にいるのだとわかった。
同じような景色が目まぐるしく流れ、マスクの人物はとうとう、一番乗りで杉の根元に辿り着いた。
20枚の札から1と書かれたものを目ざとく見つけ出し、折り返しに入った。
***
アシュレイは、札をゴールと思しき受付をすり抜けざま、机に札をポンと放り出した。
はっ、はっ、はっ。
上がり切った呼吸音が頭中に響き渡り、それだけで一杯になる。
駆け足を止めた足裏は地についているのに、ふわふわとして実感がない。
脳の奥は痺れて何も考えられない。けれど、なんとも言えない高揚感に包まれていた。
「1位は……、ユリウスか。確かに、この札だ。このまま持っていなさい」
声をかけられた気がしたが、自らの呼吸と心臓の音でほとんど聞こえない。
額から背中から、止めどなく汗が流れ出る。
「ユリウス、札だ」
不意に肩を叩かれ、札を渡された。
「あ……どうも」
「ユリウス、なのか? 本当に……」
ぼんやりと振り返り、うっかり声を出してしまった。
(しまった)
背後にいたのはローネッドだ。
そんな中、先頭のマスクは後続をぐんぐん引き離している。
(それにしても、早い……! まったく、大した奴だ)
小柄な分、足の長さでの不利をものともしない。
このペースで持つのかと心配になるくらいのハイペースだ。
「はっ、……ハハッ」
ついて行こうと思ったら、こちらもペースを上げなければならない。
アルダシールは集団に突っ込み、通り抜け、先頭集団のしんがりに追いついた。
あっという間に後続を引き離したものの、既に息が上がり始めた。
マスクの見事な走りっぷりに、笑いが込み上げた。
時間が合えばアシュレイの走り込みに付き合うことはあったが、まさか俺に合わせてくれていたのか?
フッ、フッと呼吸のリズムを整えつつ、木立の合間を進むと、アルダシールの前にはもう、マスク姿の人物しかいなくなる。
珍妙な姿ではあるが、グリーンのカーテンを縫うように走るマスクの走りは大層美麗で目を奪われた。
木漏れ日に煌めく髪が躍り、神々しささえ漂うほどだ。
(お前は、いったい何者なんだ?)
完走を念頭に置いて、許容できる最大まで速度を上げると2人の距離は50メートル差までに迫った。
だが、そこから先は縮まらない。
手の届く距離へと詰めて、正体を問いただしたい気持ちもある。
しかしその一方で、このままずっと芸術的な後ろ姿を見つめていたい願望にも駆られる。
「バカな、アイツが。そんなはず……!」
後方で太い声が悪態をついているので、シルランもそれなりの位置にいるのだとわかった。
同じような景色が目まぐるしく流れ、マスクの人物はとうとう、一番乗りで杉の根元に辿り着いた。
20枚の札から1と書かれたものを目ざとく見つけ出し、折り返しに入った。
***
アシュレイは、札をゴールと思しき受付をすり抜けざま、机に札をポンと放り出した。
はっ、はっ、はっ。
上がり切った呼吸音が頭中に響き渡り、それだけで一杯になる。
駆け足を止めた足裏は地についているのに、ふわふわとして実感がない。
脳の奥は痺れて何も考えられない。けれど、なんとも言えない高揚感に包まれていた。
「1位は……、ユリウスか。確かに、この札だ。このまま持っていなさい」
声をかけられた気がしたが、自らの呼吸と心臓の音でほとんど聞こえない。
額から背中から、止めどなく汗が流れ出る。
「ユリウス、札だ」
不意に肩を叩かれ、札を渡された。
「あ……どうも」
「ユリウス、なのか? 本当に……」
ぼんやりと振り返り、うっかり声を出してしまった。
(しまった)
背後にいたのはローネッドだ。
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