親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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お茶会編。

93話『そういえば・・・』

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※エミリア視点に戻ります。





エドワードにぃの話を聞いた私とベリアル様は、

話の要点と前回の世界との相違点などを紙に纏めた。



相違点は

・学園に編入生としてベリアル様が入学してきた事。

・マリエラとエミリアの行動がちょっとだけ変だなって思った事。(兄視点)

・ジョシュアとシンシアが入学してこなかった事。

要点は

・この世界の兄は前回の世界と違った行動をしている事。

・リリーナの生まれ変わりである謎フードの女、リリアは死んだ事。



そして、

・ナナリーはリリーナに利用されていた事。



これは私もうすうす感じていた。

兄の前回の世界のナナリーは純粋すぎて利用された。

想像だけど、性格はゲームの時のままだったんだろうね。

天真爛漫の努力家。

そんなナナリーは、妖精リリンとフードの女リリアのせいで、

事件は全て私のせいだと思い込まされてたんだと思うな。



現在のナナリーは少しお馬鹿なので

人を死に至らしめるほどの策略は練れないはずだ。

ベリアル様が言った、本命が隠れみのにして利用していると思う。

てゆーか、私が呪いで死ぬ理由も自業自得としか考えていないんじゃない?

だから何もしない。何もできない。

まぁ、ちっさい悪戯の自作自演のイベントを起こそうとはするだろうけど。

それが今のナナリーの限界だと思うのだ。





他にも兄は今回、頑張った点もあるという。

その一つが、



・エミリアを寮に足止めしてナナリーとカインから守った事がある。



エドワード兄は、いろいろ立ち回って私の疑いを回避していたらしい。

これにはエッ!?って私とベリアル様はなったよ。



兄が花籠を持って来たあの日、私はレヴァンヌと複数の生徒に呼ばれて、

下級貴族の寮にある談話室に行くらしい。

会話が終わった後の、帰りのエミリアが階段を降りる時に

ナナリーが階段から足を滑らせて落ちるようだ。

周りには生徒は居ないし、階段下にはカインがナナリーを心配して駆けつける。

見上げるカインはエミリアがナナリーを突き落としたと勘違いするようだ。

まったく迷惑なやつだ。


兄はその事件を回避するために、レヴァンヌが私の部屋を訪ねる瞬間に

先回りしていたんだと。お兄ちゃん、グッジョブ。


他にも、



・エミリアの扉に呪いが仕込まれている事。



前回の世界で一度だけエミリアの寮部屋に兄とナナリーで

押しかけた事があるらしく、

その時に扉から出た黒い煙がナナリーを襲ったそうだ。



今回、それを防ぐためにホットネン商会から魔霊水を購入して邪気払いを

仕掛けていたらしい。



前回の世界でのナナリーの呪いは、

その時についたのだろうとベリアル様は言った。



私の部屋で呪われたのなら犯人は私だと疑われるのは必然ですね。ハイ。



それよりも、扉の煙って仮装パーティの時の呪魔じゃん。



「エドワードの話を聞くと、

 呪魔は部屋の扉に近い女性を狙えと指示されていたのだろうな」



とベリアル様が教えてくれた。

なるほど、だから呪魔は一番近くに居たメーデに向かっていたのね。

そう考えたら少し落ち込んだ。



そんな私にクッキーをオススメしてくるベリアル様。

優しい。 そして、めっちゃおいしい! なにこれっ!?



話に戻ると、

結局、私とナナリーが狙われているのが謎なんだが……。

妖精リリンが犯人じゃないかってちょっと思ったけど、

あの小さな体には無理だとベリアル様が言ってた。うーん。



ちなみに、兄がナナリーの近くに居るのはナナリーの行動と

私の行動を把握しやすく、私が犯人説を回避させるために

いろいろ立ちまわれる位置にちょうどいいから、らしい。


エドワード兄、一人でがんばってたんやね。ホロリ。


だけど、ちょっと気になったことがあるのでエドワード兄に聞きたい!



「そういえばお兄ちゃん。

 ナナリーのこと好きじゃないって言ってなかったっけ?

 前回なんでナナリーと結ばれたの?

 今のナナリーの事、好きじゃないの?」



私のふとした疑問に兄は微妙な顔つきになった。



「今のナナリーと前回のナナリーは別人なんだよね。

 行動もしゃべり方も違う。

 前回のナナリーはもっと、健気で礼節を弁えていたよ。

 授業で覚えた内容も完璧で、同性の友達も多かったからね」



なるほど……

私は納得した。

分かっていない兄は不思議そうに持論を展開中。



「やっぱり、この世界は僕がタイムリープしたことによって

 世界線がずれてしまったのかな?

 ナナリーの人格が違う世界線に来てしまったんだろうなぁ……」



落ち込む兄。

だがしかし違うよ、お兄ちゃん。



「ナナリーも転生者で前世の記憶持ちだからでしょ」



という私の言葉に驚いた表情でこっちを見た。

私はナナリーの心理状況をちょっとだけ説明した。

あくまで想像だけどね。


「お兄ちゃん、考えてみて。

 ナナリーは前世で大好きだったゲームの世界に転生してきたんだよ。


 しかも、その世界では自分はヒロイン。

 ゲームの中ではイケメン達にチヤホヤされているヒロインだよ。

 ハーレムエンドなんて、馬鹿げたゴールのあるゲームでのヒロイン!

 約束された幸せなゴールのあるヒロインだよ!?


 わかる!? 沢山のイケメンをはべらせる顔と行動、

 そして相手の心を掴むセリフ。 全部、彼女は知っているんだよ?」



私の話に、2人の表情は苦虫を噛み潰した顔になった。

2人のイケメンにこんな表情をさせるとは。 さすがナナリー。

ちょっと面白かった。



ベリアル様に至っては、ちょーレアな珍しい顔だよね。

心のアルバムにしまっとこう。



さらに私は続けた。



「そんなヒロインであるナナリーは今の状態をどう思うかな?

 『私はヒロイン! この世界に愛されている!!』って

 頭お花畑になっていても不思議じゃないでしょ?

 ヒロインなんだから何してもいいって思ってるかもしれないじゃん」



私はそう言って紅茶に手を伸ばした。

ベリアル様は無表情に戻っているが、あれは嫌悪感のある無表情だった。



兄は頭を抱えて、うな垂れてしまった。





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