親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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お茶会編。

96話『約束の食事』

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最初に言っておこう。

とっても有意義な時間を過ごしました。



前の日から個室を予約していたので、すんなり通してもらえる。



王族用の個室とは違う、アジアンテイストな豪華な雰囲気の個室だった。

窓から入る光を遮断するための衝立ついたては細かい蔓草調に彫られている。

同じ彫りのあるテーブルとイスに座る。

テーブルクロスにも赤に端だけ金糸で蔓草模様が刺繍されている。

全体的に統一感があって素敵だった。



運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。

今日はコースではなく、メインの肉料理とパン、サラダにスープという

ランチセットのようなメニューを頼んだ。

コースじゃないから、単品のおかわりもできるのだ。



パンはクロワッサン。

サラダはホタテと海老、しゃきしゃきのカブとレタスの入った海鮮サラダ。

スープはオニオンスープで、メインのお肉は鳩肉のソテーだ。



「ん~。 おいしいですね」



「そうだな。

 このソテーはソースとの相性もいいな」



私とベリアル様が今食べているのは鳩肉のソテーだ。



「そうですよね!

 臭みを消すために魚介系のソースを使ってあるんですね。

 柑橘系の香りと酸味も混ざっているので、

 レモンの果汁も入っていると思います」



ソースはウスターソースに近い感じだった。

ベリアル様は私の説明を聞いて、感激している。

笑顔もとっても素敵だった。 眼福です。


「さすが、エミリア。

 味を見ただけで使われている食材が分かるとは。

 ポアソン! おかわりだ」



ベリアル様は気に入ったのか、おかわりを要求していた。

さすがベリアル様、食べる量が多い。

ポアソン君が給仕の役割をしてくれていて、食堂の給仕に

料理を出すタイミングなどの指示を出していた。

ベリアル様が食べ終わるタイミングでおかわりを持ってくる。

おかわりする回数なども全て完璧だった。さすがハイスペック。



料理を堪能した後はデザートだ。



デザートの乗ったワゴンをポアソン君が運んできてくれた。

手早くテーブルにトレーを乗せて、紅茶の用意もしてくれる。



デザートはいろいろな種類のタルトレットだ。

大きなトレーに綺麗に並べられた沢山の小さなタルト達は、

まるで宝石のような輝きを放っている。



「綺麗ですね」



「エミリアは好きなのを好きなだけ食べるといい。

 あまったらあとは全部、私が食べるからな」



よく見ると同じ種類のものは無い様だった。



「では、いろいろ食べてみたいので少しずつ分けませんか?」



はしたないけれど、少しずつ食べたかった。

だって、全部おいしそうなんだもん。

私は前世の記憶のおかげでケーキなどを分け合うのは慣れっこだ。

幼い頃は兄とケーキを奪い合ったりもしたもんだ。



「いい考えだな」



ニヤリと笑ったベリアル様は、ポアソン君を下がらせた。



※ちゃんと、従者用の待機室が用意され、そこでは従者達もちゃんと

ご飯を食べています。





ほぼ2人きりになった部屋の中で、

ベリアル様は苺のタルトに無造作にフォークで削ってこちらに向けてきた。



ん???



「何をしているエミリア。

 早く食べないと落ちてしまうぞ」





ええええええええっ!?



こっ……これはっ……まさかっ……伝説の……



伝説のカップル技「あーん」ではないのか!?





ベリアル様が差し出すフォークの上には一番おいしい部分である

大粒の苺とクリームが付いたタルトがこちらを向いている。



これは、食べなければいけないのだろうか?

いや……でも……っ

私の中のなにかが強く葛藤している。

ベリアル様はだんだん目じりが下がってきている。



うううっ……その顔ずるくない?

ええい! こうなりゃ、ヤケだ!!



「ぁむっ」



パアアアアと顔が嬉しそうにするベリアル様に見つめられる。

とってもおいしかった。

でも、とてつもなく恥ずかしかった。

私は真っ赤になりつつも味わって飲み込んだ。


「お、おいしいです」


「次は何がいい?」



えっ!? まだ続くの!?



よく見ると私のフォークがない事に気付いた。



あれ? これ、もしかして……。



ちょっと高めの区切りの奥にある従者用の待機室を見ると

によによ顔のメーデとポアソン君がいた。





あきまへん!! 

チクショウ!! はかったなっ!? 君達、全員グルかいな!!



私は、恥ずかしさの悶絶状態で変な関西弁? が出てしまった!





このあと、私は午後の授業の後半までずっと

ベリアル様からの「あーん」に答え続けたのだった。


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