親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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動き出す新たなる運命編。

121話『エレノアの怒り 2』

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※エレノア視点です。



お茶会は順調に開催された。

順番に入室してきたオベール夫人とバイゼイン夫人に軽くあいさつを交わし、

大理石で出来た机とイスに皆を案内し、皆で他愛ない話をする。



オベール夫人は、黒のストレートの髪を編みこみ高い位置で

シニヨンネットで纏めている。

ドレスは瞳の色とおなじ深緑だ。



バイゼイン夫人は赤い髪をポニーテールに纏めている。

瞳の色と同じ赤いドレスは引き締まった体のラインのはっきり分かる、

スレンダーラインのドレスだ。



案内した席についたオベール夫人は、

魔法陣の描かれたコースターに目ざとく反応してくれた。



「これは、素晴らしい技術ですね」



コースターは上に置いた紅茶を冷やさないようにするものだ。

『適温』の効果で、魔法が発動している間は、冷める事はないという。



「そうでしょう?

 これらの魔法陣は私の娘が考えた魔道具ですのよ」



「まぁ、ソニアの君が」



「そうですのよ。ソニアの君は学園でもとても優秀で。

 こちらの魔法薬も、ソニアの君の自信作ですのよ」



アーチェが話しに加わって、それとなくスクロールと魔法薬を宣伝する。



「魔法薬は、我が夫の騎士団でもお世話になっている」



バイゼイン夫人も話に加わってくれた。



「やっぱり、ソフィーの血を継いでいるのね。

 とっても優秀な娘でうらやましいわ。

 そうでしょ? テティーア」



アーチェがテティーアに話をふる。

ここからだ。私達はそれとなく視線を交わす。



「そうですね。

 しかし最近のソニアの君はどことなく笑顔に陰りが見えます」



テティーアの言葉に、オベール夫人とバイゼイン夫人は「まぁ!」と口元を

扇子で隠して驚いている。



「私、噂で聞きましたわ。

 下級貴族の令嬢が、エドワード殿下に言い寄っているって。

 名前はなんだったかしら?」



「ナナリー・ランゲス。ランゲス家の令嬢よ」



アーチェとテティーアが話の流れをもっていく。


「そうそう。

 その、ランゲス家のご令嬢は礼儀作法がまったくなっていないようで。

 そういえば、お二人のご子息とも仲がよろしいようですね?」





アーチェの真正面からの攻撃に、オベール夫人とバイゼイン夫人は

戸惑い、口をパクパクしはじめる。



「学園では、ご子息達は、常にランゲス令嬢と共にいますよ。

 ご子息達は彼女の身の回りに起こった悲劇を大々的に周りに公言し、

 全ての罪はソニアの君のせいだと妄言まで吐いています」



テティーアの言葉は、学園に勤めているからこその真実の言葉である。

その言葉に、夫人2人は劇的に顔色が悪くなった。



「そうだったわ!

 私、ラナー様からこちらの書類を貴方達2人に渡すように仰せつかって

 いたのよ」



忘れていたわーとわざとらしく、アーチェが封筒を取り出す。

王印のされた、封筒には暗部からの報告書と外側に大きく書かれている。

実にわざとらしい。



オベール夫人とバイゼイン夫人はその封筒を開けて、中身を確認し、

顔色はもう真っ青どころではない。

オベール夫人はガタガタと歯を鳴らし震えている。

バイゼイン夫人は、こめかみに青筋が浮かび上がっていた。



「私、少し用事を思い出しました。これで失礼いたします。

 ソフィー、また今度、この件について、お訪ねいたします」



綺麗な騎士の所作で先に退室したのは、バイゼイン夫人だった。



「わ、わたくしも……。

 今回はおいとまいたしますわ……」



よろよろと立ち上がったオベール夫人は、私達に頭をさげて、

侍女に支えられて、ゆっくりと帰って行った。



これで、エミリアと私が考えた全ての作戦は終了した。

私とアーチェ、テティーアはニヤリと笑い頷き合ったのだった。


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