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白魔法の文献編
194話『お風呂回』
しおりを挟むそれからは、マリエラを含めて夕ご飯の準備を手伝ったり、
魔物の討伐から戻ってきたユアン様達の無事を確認したりと過ごした。
魔物は結局討伐できなかったのだとか。
そうとう遠くまで逃げてしまった様で、また明日改めて探しに向かうらしい。
明日はこの陣を片付けて検問所まで向かう予定だそうだ。
そして、マリク君とリーテ様が起きてきたのは、
現金な事で夕食の香りが陣を包んだ時間帯だった。
なんでも、テントの中まで夕ご飯の香りが漂ってきたあたりで、
2人同時に寝た状態でお腹の音がなっていたんだとか。
ちょっと聴いてみたい気もした。
面白く話すナナリーに恥ずかしそうな表情のマリク君。
困った表情で「からかわないでくれ」と言うリーテ様。
なんだか、ナナリーとリーテ様がかなり打ち解けている様子だった。
夕食を皆で堪能した後は、お昼起こったことを
リーテ様とマリク君から聞いた。
その内容はナナリーが話してくれた内容と同じだったのだけれど……
どうもリーテ様の怪我の場所がマリク君とリーテ様とで食い違っていた。
リーテ様はもともと右手だと言いはり、マリク君はそうでしたっけ? と
小首をかしげていた。
治癒したナナリーも右手を治癒したという事で、マリク君の見間違いとなった。
最後に、今後の方針を話し合う。
……と言っても、もう砦まで数時間の距離だ。
進行ルートの確認や食料の心配はそれほどしなくてもよさそう。
砦に着いたら私達は私達にやれるだけの事をする。それだけだった。
ちなみに、マリク君とリーテ様に明日マリエラが
私達のメンバーに加入することを教えた。
お互いに自己紹介もした。
「マリエラよ。
2人とも明日からよろしくお願いするわ」
「僕はマリクです。
こちらこそ、よろしくお願いしますね」
「リーテです。
よろしくお願いします」
自己紹介と方針を決めたあとは、女性と男性に別れて、
なんと、お風呂に向かう事になった!
お風呂と言っても、陣の中に設置した組み立て式のお風呂なんだとか。
土や汗臭い状態で過ごすのは嫌というマリエラの提案でコルニクス公爵が
休憩時に用意してくれたのだとか。
「そういうわけだから、向かいましょう」
とマリエラが先導する。
さきに男湯と書かれた板の立ててあるテント前で男性陣と分かれた。
男性陣がテントに入ったのを確認して、
女性の兵士が厳重に見張りをしているテントに向かう。
女湯のテントの中には脱衣所はなく、
真ん中にドン! と大き目の四角い、木で作られたお風呂が置かれている。
全員で入っても余裕のあるお風呂だ。
入口から入って右側に机とイスが置かれていて、
空の籠、服の入った籠、沢山の清潔なタオルが入った籠や他にも石鹸や香油、
シャンプーやリンス的なもの、バスソルトやクリーム、
化粧水に至るまでたくさん置かれていた。
バスタブの近くには侍女服の女性が5人立っている。
侍女の1人は湯気を立てるツボの魔道具でバスタブの中にお湯を入れていて、
別の侍女2人は、大き目の桶と洗濯板の様なものを持っている。
残り2人はマリエラのお世話をするための侍女のようだった。
テントの中の様子を観察していた私達は、お風呂の充実さに感嘆を漏らす。
「すごいわ……」
「すごいですね……」
「ええ……」
私達が観察していた間に、素っ裸になったマリエラが
みんなの服を脱がせるように侍女に指示していた。
「私は、自分で脱げますので大丈夫です」
というリーテ様の言葉に私も便乗して断る。
「あ、私も大丈夫です」
侍女の人達は頷くと、タオルを持った状態で待機していた。
「ちょっと、マリエラ!!
自分で脱げるから、手伝わなくてもいいってばっ」
マリエラはナナリーの服を剥ぎ取っていた。
私とリーテ様は目を合わせ頷き、すぐに脱ぐ決心をしたのだった。
このまま恥ずかしがっていては、マリエラに襲われそうだったから。
脱いだ服は空の籠に入れる。
洗濯板と桶を持った侍女2人が全員脱いだ事を確認して籠を受け取り出て行った。
マリエラとナナリーはとっくにお風呂の近くにいる。
素っ裸になった私達は、小さめのタオルを侍女から受け取り
マリエラとナナリーに近づこうとしたが――
「ふにゃあああぁあぁぁぁん」
マリエラに洗われるナナリーが泡まみれになっていて奇声をあげる。
後ろから抱きつく形で、マリエラはナナリーを洗い倒している。
ちゃっかり、胸の大きさとか確認しているのを見てしまった。
「さぁ、次は2人の番ね」
こちらを見るマリエラ。
その後ろでは綺麗になり、グッタリしているナナリーが
侍女達にボディミルクでマッサージされている最中だった。
ニヨニヨ顔のマリエラはボディタオルをクシュクシュしながら
にじり寄ってくる。
「マ、マリエラっ……!?」 「マリエラ様っ!?」
後ずさりしそうになったが、遅かった。
素早く後ろに回り込まれ体をボディタオルと手で洗われる。
「や、やめっ――ああーっ――!!」
その後の事は、決して口には出せない。
というか、マリエラの手つきがいやらしすぎる。
ちゃっかり胸とかもみまくってくるしね。
私の次はリーテ様の番だったのは、言うまでもない。
全員がマリエラに洗われ綺麗になってお湯につかる。
マリエラ以外、微妙な顔つきだ。
マリエラだけやりきった顔でツヤツヤしている。チクチョウ!!
「それにしても、この中で一番小さいのはナナリーだったなんてね」
何の話をしているのか、マリエラはナナリーに哀れみの視線を向ける。
「あんたも、あまり変わりないでしょうが!!」
とナナリーはツッコミを入れている。
薄い胸を反らせてマリエラがドヤ顔をする。
「貴女よりはあるわ」 「同じよ!!」
うーん……
どっちかと言われれば、マリエラに軍配が上がる……。
「なんというかドングリの背比べですね」
とはリーテ様のセリフだった。
私にボソッと呟いたのに、地獄耳な2人は聞き逃さなかったようだ。
リーテ様の言葉に目つきの変わった2人が、リーテ様に襲い掛かった。
「なっ……!? 早いっ!! ―ひ、ひゃあぁあぁあん――」
臨戦態勢になったリーテ様は2人の動きが予想以上に早すぎたのか、
すぐに捕まってしまった。
リーテ様が2人にもみくちゃにされてバインバイン状態になった……
これ以上は言うまい。リーテ様のために……合掌。
この後、ちゃっかりナナリーが私の胸を羨ましそうに見つめていた。
私は一応普通よ……。
みんなが極端すぎるだけなのさ。言わないけど。
こうして、私達はお風呂を堪能したのだった。
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