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砦終了~新入生編
221話『あっという間』
しおりを挟む1月のテスト期間から王都に帰還して4週間が経った。
私達の冬休みはあっという間に過ぎて行った。
気づけば王都を出てから2週間近く経っていたのだからビックリだ。
帰還してからの私はめっちゃ忙しかった。
まずは国王両陛下への報告会という名のお茶会に参加した。
参加したメンバーには、お母様にマリエラは当然として、
エドワード兄に、ナナリー、マリク君も呼ばれていた。
最後の2人に関しては私とマリエラから王妃様にお願いした形だ。
なんと、砦での働きのおかげでナナリーの処分が見送りになった。
というのも、ナナリーが作成したエリクサーの話をナナリー自身がポロっと
しゃべってしまったのが原因だった。
エリクサーの存在と作成方法に両陛下、エドワード兄、お母様は
なにそれ? 聞いてないよ? また厄介事? と
なんというか、恐ろしいものを見るような視線で私達を見ていた。
もちろん、その後は詳しい話を話しましたとも。
めっちゃ怒られたけれどね。
効果の程はマリク君とベリアル様の鑑定? でお墨付き。
「ねぇ、エミリア!
ラナー王妃陛下の呪いにはエリクサーは効果はないの?」
というナナリーの発言で、両陛下ともども、
私達も含めて試して見る価値は有るかも? という意見になった。
私とナナリーは茶会中にも関わらず一旦、
王都にあるヴォルステイン家に向かってエリクサーを1本だけ作成し、
茶会に戻った。
この間の時間、なんと僅か3時間。
たった3時間でエリクサーを作成してお茶会に戻ってきた私とナナリーに
両陛下ともども、他メンバーも驚愕の表情だった。
ここでも私とナナリーはやらかしてしまっていたのだった。
まぁ、結論から言うと……
エリクサーで呪いの除去が出来ないのか? という答えは……
なんと成功してしまったのだ!!
成功と言っても、全部の部位ではなく、マリク君とベリアル様が言うには
呪いを受けた場所である背中に呪いの大元があって、
それ以外の場所を解除できただけだった。
それでも、長年動かなかった足が動き、立てるようになったラナー様は
泣いて喜んでいた。
もちろん、陛下もラナー様をお姫様抱っこしながら喜んでいた。
ここまで引き伸ばしたのだからもう分かるでしょう。
そう、ナナリーはラナー様の呪いを部分的とはいえ、除去したのだ。
これを功績と呼ばずなんとするか!
だけど、エリクサーの件を大々的に公表は出来ないし、
ラナー様も急に車椅子から歩けるようになったら不自然なのでね。
そこは、ここに居る全員での秘密になった。
もちろん、聖霊の契約書にサインまでするハメになったよ……。
ラナー様の呪いに関しても完治していないので
車椅子生活は続けるそうだった。
それに、エドワード兄も呪いを完全に消し去れるようにと
文献探しは続けるそうだった。
いつの間にやら3冊手に入れていたんだったね。
お茶会後は、ヴォルステイン領に里帰りした。
ブルード城でのポーション作成数の見直し、
それとは別に、ポーション作成者を新たに確保した。
今回の件で、私の発案したポーションがどれほど役に立つかを
お母様とエドワード兄、それと討伐軍の皆さんが実証してくれた。
宣伝効果は抜群だったね。
だけど、相手が魔物相手での軍事的利用だったから良かったものの、
対人、戦争利用についてお母様から聞かれたときは
私はそこまで考えが思い至らなかった事にショックを受けてしまった。
そりゃ、そうだよね。
こんな便利なもの、戦争に利用しないわけにはいかない。
きっと、それを知った上で陛下も国に収める一定の量を決めて
納品させていたんだから。
今更、戦争利用には使わないで下さいなんて言えない。
そこまで気が回りませんでしたなんて言って、
私の我侭な考えで、納品数や納品場所を減らすわけにはいかなかった。
今回のは私の考え不足だったとしか言えない。
対人、戦争での軍事利用されるというのであれば、
私自身も腹をくくるしかない。
それに、ポジティブに考えれば、ポーションのおかげで訓練や巡回で
怪我をする人を減らせているのだから、実質的に役に立っているし
戦争利用でも、本当に戦争が起こればの話だしね。
お茶会やら、報告会やら、ポーション関係やらでいろいろやっているうちに、
結局、私の冬休みはあっという間に過ぎていったのだった。
3月からは、学園登校がまた始まる。
今のナナリーの様子的にイベント関連は大丈夫そうだけども、油断はできない。
なにせ、4月からは新ヒロインであるリーテさんが入学してくるのだから……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
うp主コメ
土曜日の夕方にまた投稿します
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