猛焔滅斬の碧刃龍

ガスト

文字の大きさ
76 / 195
1章【真実編】

第75話・隠された力。

しおりを挟む


時は遡る。
それは、銀槍竜がギフェルタを立って数日経った頃まで──⋯


NOW  LOADING⋯



「ゴホッ、⋯おぉ、また火が出た」


道端の雑草に引火したソレに、俺は土をかぶせて鎮火する。
テュラングルに角を食わされて以降、俺はこんな調子がずっと続いていた。どうにか自由自在に扱えないか模索中だが、コレが分からない。⋯なんなら、悪化している気がする。


「虎徹が焼き鳥になっちまうのも時間の問題だな、こりゃ」

「⋯ピッ?」


頭に乗る虎徹を撫でつつ、俺は歩を止める。
見上げると、太陽が真上から照りつけていた。


「そろそろ昼飯にするか⋯」


台車の後ろに回り、荷物を漁る。
朝食は通りがかった川で採った魚だったので、昼はガッツリと肉で行こう。⋯さてさて、歩いてる途中で採れた素材と調味料を取り出してと──⋯




「⋯──ふう。食ったな」


昼飯を済ませた後、俺は地面に寝そべった。
やはり、食後はダラダラと過ごすに限る。いつベルトンに到着出来るか分からないが、まぁこのくらいの休憩はいいだろう。
焦りは禁物、急がば回れってヤツよ。


「⋯⋯⋯ごほっ」


ボッ!と、視界が火の粉に包まれる。
こいつめ、ヒトが優雅に寛いでいるというのに⋯⋯。

やれやれ、真面目にどうしたモンか。
練習も何も、口から火を出す方法が分からないしなぁ。ただ咳をしてみても出せないし⋯⋯う~む。


「ん⋯?」


頭を捻りながら、ゴロゴロとしていたその時。
俺の目に、空高く輝く太陽が入り込んだ。目が痛むのも忘れてソレを見つめた俺は、直後に飛び起きた。


「太陽だッ!」


気が付いてしまった。
『口から』火を吹く、以外の方法もあるのではないかって!
それこそ、魔法の様に『体外で』発生させてみる手もあるかもしれない!上手く出来る様になれば、生活も便利になるし!


「やってみるだけの価値は、ある⋯!!」


そうして、意外なきっかけから俺の修練は始まった。
2本の角に火が灯った事から始まったそれは、ベルトンに着くまでの約1ヶ月で、劇的な進化を見せた。

要領としては、金属生成と同じだったのが幸いだったか。
まぁ本来、俺の肉体であるグレイドラゴンは、火を扱う魔物ではないので、初めこそ苦労したが⋯。尻尾の先端から付け根、指先から肘⋯そして肩と、全身の炎上箇所はドンドンと増えていった。

──だが。

いい調子だと思ったのも束の間、俺はある事に気付いた。


「⋯コレ、結局不便じゃね?」


と。

そうなのである。
練習を重ねる度に炎上箇所が増えるので、日常生活が豊かになるもなにも無いのだ。寧ろ、下手に森の中とかで使った日にはとんでもない大火事を引き起こしてしまうだろう。

まぁそんな答えに至っている頃には、火の『放出』と『収束』の制御がほぼ出来てしまっていたが⋯⋯。

問題があるとすれば、結局口から出る火の扱いが完璧ではいってトコだ。1番使いやすそうな火の出し方だと思うんだが、中々どうして難しい。⋯と言っても、すでに咳は収まったが。

後の課題は⋯⋯


「⋯うーん、やべぇな」


周囲を見渡し、俺は頭を抱える。
久々に魔物に襲われたので、この『炎を纏う状態』を使ってみたはいいが⋯、なにやら様子がおかしい。『その状態』では、何故か肉体の膂力が格段に上がっていたらしく、周囲の地形を派手に変えてしまった。

踏み込み時に生まれた、巨大なクレーター。
単なる咆哮によって吹き飛んだ、周囲の地面と植物。
たった一発のパンチで、血の霧だけを残して消えた魔物。
そして、その一撃の余波で消滅した、後方の山の頂点⋯⋯。

呆気に取られる光景ではあるが、不思議と疑問は無かった。
そりゃあ、あの馬鹿強いテュラングルから貰った『魔力が集中してる角』を喰らったんだ。このくらい出来る様でなくては。


「⋯⋯しかしまぁ、『これ』を使っての戦闘は、いざと言う時まで封印だな」


うむ、これが最善策だろう。
下手に周囲に被害を与えては、冒険者の標的まっしぐらだし。
まぁ『この状態』の修練自体は今後も継続しようと思うがな。
何があるか分からん自然界だし、強くある事に越したことはないよな──⋯



NOW  LOADING⋯



⋯──銀槍竜は、その後も『炎を纏う形態』について、調整と分析を続けた。そして、それに際して『炎を纏う形態』の呼び名に関しても、日々頭を捻った。

彼が注目したのは、全身が炎上している時の『感覚』。
『炎を纏う形態』は、皮膚から直接炎が出ている訳ではない。
『その形態』の発動は、まず『身体から魔力が溢れ出る』事から始まる。発動には魔力を大きく使用する為、勝手に溢れ出てるのだ。

──そして。
その『身体から溢れる魔力』に覆われた肉体は、形態の発動中は凄まじい強度を得る事に、銀槍竜は気が付いていた。仮に、それを鎧に例えた時、鎧の更に外側が炎上している事にも。

初め、その形態を炎の鎧と書いて『炎鎧えんがい』と名付けようとした銀槍竜は、形態の全貌を知ると同時に、その名を振り払った。

改めて彼が着眼したのは、『鎧の上から身につける炎』という点だった、即ち、“防御”が安定した事による、“攻撃”についての一面についてだ。

鎧を『身に付ける』と表現するならば、武器は『装備する』のだと、銀槍竜は思い至る。まさに、炎を装備した【その形態】は火力特化であり、武器として使用する能力だからだ。

これらの事から、銀槍竜は『炎を纏う形態』に名を付けた。
文字通り、『炎』という武器を、全身に『装備』した形態と書いて──⋯






「⋯──【炎装えんそう】、ね。お前のセンスは個性があるな」

「褒めんなよ。照れさせて油断させる気か?」


銀槍竜が突き出した拳を、バルドールは受け止めていた。
互いの呼吸音が聞こえる程の距離の中、両者は嗤う。

ただ、その一方で。
バルドールの頬には、僅かだが擦り傷が生まれていた。


「落胆せずに済んだか?」

「⋯⋯イイね。遊ぼうぜ」


バルドールは、頬をつたる血を舐め取った──
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...