猛焔滅斬の碧刃龍

ガスト

文字の大きさ
80 / 195
1章【真実編】

第79話・真実。①

しおりを挟む

──そもそも、だ。
俺は『世界の均衡を保つ事』を使命として、この世界に誕生させられている。この幼女も、あの老人と“何らかの関わり”があるからこそ、俺を色々サポートしてくれたんだろう。  

⋯だが、流石に早すぎ無いか?
俺も、『いずれ大きな事件に巻き込まれるのでは?』と、考えていたが⋯⋯。まさか、もうなのか?


「──おい、待て」


事態を飲み込めずにいる中、ヴィルジールが1歩前に出る。
殺気を向ける対象を幼女に変えた彼は、睨みを強く効かせながら言葉を続けた。


「手短に頼むよ?ヴィルジール君」

「⋯お前、“魔族”だな?ヤツらは、人の姿に近い見た目だと聞く。俺の銀槍竜に手を出す気か?」

「きゃっ♪『俺の』だって、銀槍竜!ホレられてるねぇ~?」

「話す気は⋯無い様だな⋯⋯!!」


ドッと、ヴィルジールの殺気が爆発する。
勢いよく踏み込んだ彼は、直後に幼女の目の前まで跳躍した。

だが、彼の両剣が振られる事は無い。
跳躍を終えた頃には、既にからだ。


「ふぃ~。血の気が多いコだねぇ?」


勢い余るヴィルジールを、幼女はポスンと腹で受け止める。
彼女は、落下するヴィルジールを魔法で浮かせた後、ゆっくりと地面に下ろした。そして、地面から此方を見上げていたバルドールへと、幼女は視線を移した。


「⋯何者だ」

「ヒ・ミ・ツ~♪まぁ、“魔族”ではないから安心してよ。この子を悪い様にはしないからさ~♪」

「⋯⋯⋯⋯。」

「あっれ、疑ってる?コッチも時間無いからさ、『何かする』のなら──」


その瞬間、俺と幼女は蒼白い光に包まれる。
先程、バルドールがヴィルジールに向けて放ったソレより、遥かに眩い光が視界を覆った。⋯が、何故か爆発が発生しない。
 
俺は、何事かと周囲を確認する。
そして目にしたのは、あまりに不可思議な光景だった。まるで『時間が止まっている』かの様に、バルドールの魔法は動きを止めていたのである。


「──やれやれ。近頃の若いコはイカンねぇ~?」


小さな右手を蒼白い光にかざし、幼女はおどける。
完全に勢いを失った魔法を、彼女はお手玉の様に操ってみせた。


「⋯で、まだやる気?」


パチンと指を鳴らし、幼女はバルドールを見下ろす。
止めた魔法を果実の様に口に放り込みながら、彼女はバルドールの返答を待った。


「──仕方ねえな、降参だ」

「ん、おっけい。その潔さに免じて、“引き分け”って事にしてあげる♪」


そう言って、幼女は上昇を始める。
釣られる様に体が浮き上がる俺に、バルドールは片手を振る。
焦土と化した荒野にて俺が最後に見たのは、ヴィルジールを担ぐバルドールの姿だった──⋯



NOW  LOADING⋯



「⋯──さて、何から聞きたい?」

「全部を、ゆっくり、分かり易く頼む⋯⋯」

「う~ん。いいけど、長い話になるよ?」

「構わない。頼む」

「⋯分かった。じゃあまず、昔話から初めよっか──⋯」




⋯──きっかけは、私が犯したミスが原因だった。
『彼』の心の奥にあった怒りに気が付けなくてね。その結果、対立して戦う様な関係にまで拗れちゃったんだ。

まぁ、私の方が『彼』より強かったから、戦いには勝ったんだけどね。あはは。

⋯⋯でも、私も甘さを捨て切れなかった。
どうしても彼にとどめが刺せなくて、この胸に倒れてきた『彼』に、完全に油断してしまったんだ。

⋯⋯後悔しているよ、物凄く。
結果的に、私は力のほぼ全てを奪われてこのザマだからね。

幸いだったのは、私から力を奪った『彼』が、真っ先に『この世界』を破壊しようとしなかった事だ。⋯⋯ぶっちゃけ、全盛期の私の力なら『この世界』くらい簡単に壊せちゃうからね。
⋯本当に運が良かったよ。

まぁ多分、『魔王』の影響が大きんだろう。
私に匹敵しうるヤツだし、『彼』も私の力を奪ったとはいえ警戒してたんだと思う。だからこそ、“外堀から埋める”ってやり方を取ったんだろうし。

でも、それが『彼』の過ちだった。
『他の世界』と『自分』に、力を使い過ぎたんだよ。
結果として『彼』は、『この世界』に戻ってきた時には殆ど力を使い切っている状態だったんだ。

⋯⋯ただその分、厄介な力も身に付けていたけど。
分かりやすく言うなら、『自分への攻撃を別世界へ転送する』って能力かな?⋯ね?厄介でしょ?

『その能力』が『彼』の周囲に張られているせいで、私はおろか『魔王』ですら手出しが出来なくなってしまったんだよ。
『その能力』は、周囲に『自動転送空間』みたいなのを作り出している訳で、破壊や無効化うんぬんの話でもないし。

もっというなら、『彼』と『私達』の“力の性質”の違いかな。
君も使っている『魔力』というのは分かるよね?ソレっていうのは、簡単に言えばDNAみたいに『人それぞれ、絶対に違う』ってモノなんだけど、中でも『彼』は特別でね。

⋯⋯え?
さっきから言っている『彼』って誰かって?

⋯君も知っている筈だよ。
ただ、『君にした自己紹介』とは少し違うけど。

『彼』も、私の力を奪って以降、『本来の力』なんて捨てちゃったからね。だから、言っちゃえば『偽物』だよ。

まぁ、『ギシン』ってところかな?
⋯ん?どう書くのかって?文字通りだよ。







偽物の神、さ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...