奇妙な魔術師の放遊録 ~ゆかいな仲間たちは今日も我が道を進む?~

遊爆民。

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第三章 王都への旅路

第三十話 水着を求めて何処までも

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 スイール達は重厚な城壁のある街、ベリル市へと到着した。
 ここは今の王都へ遷都する前に都が置かれていた場所であり、都市中央には巨大な居城が存在している。今も王族が居住している関係もあり、その姿を綺麗なまま保たれている。
 特にとんがり屋根の赤く塗装された色が遠目にもはっきりとその姿を浮かび上がらせ、威圧的でもなく、優しい感じでもなく、不思議な印象を抱かせ、王族が居を構えるのに相応であると言えよう。

 それでも現在の王都から比べれば大きさ、人口共にかなうはずもなく、産業都市の一面のみを残しているに過ぎない。
 城壁の直径は十キロ程であり、人口も壁内だけでも十五万人を超える。常駐する兵士を含めての人口ではあるのだが。

 人口が多くなれば訪れる人々も多くなるのは当然で、城門には長蛇の列が連日でき、確認するだけでもかなりの兵士を割いている。
 エゼルバルド達もその例に漏れず、長蛇の列に並び始めた。

 おかげで希にしか見れぬ、偽造された身分証で門番破りをしようとした愚か者を捕らえる現場に遭遇した。だが、周りの人達に聞くと、大都市では良くある事らしく、一日に数組も捕まる事も珍しくないらしい。それらは軍事機密を探ろうとする者達なのだろうか、と勘繰ってしまうのだ。

 また、王族や貴族などは別口に設けられた入り口から入城出来る。仕事をする貴族なら良いのだが、利益のみを貪り食う貴族などは”同じ様に並べ!”と叫びたくもなる。そんな貴族ほど横柄な態度や特権を利用しつくすので、市民からは人気が無いのも頷ける。

 貴族の他には、豪商と呼ばれる数組の商人が貴族と同じ入り口を使うことが出来る。金に物を言わせ、王族に特権のカードを貰っているのだ。
 だが、ここ数代の王はチェック機構を厳としているので、不正な献金や賄賂を贈る事は無くなっている。だが、その地位を利用し、懐を肥やす臣下がいる事も確かだ。

 それはともかく、城門を無事に抜けると、真正面に特徴のある居城が見える。道が途中で折れ曲がり、クランク状になっているので一番高い塔の先端が少し見えるだけなのだ。
 街の中央部まで進めば広場があり、居城が裾から天辺まで綺麗に見えるとの話もある。画家を自称する先生達も広場で筆を取る姿が名物とも言えなくもない。

 スイール達が到着した時は、夕方に差し掛かっていたが、他の街ではまばらになる人の流れも一向に収まる気配が無かった。通り掛かったメインストリートでは、今も人、人、人、と人が溢れんばかりだ。
 王都に行けばもっと人で溢れるのだろうと、田舎育ちのエゼルバルドとヒルダには精神的な拷問でもされた気分になっていた。人の波に酔った、と言うやつである。



 そんな街でも旅行者にありがたい宿はあるのだ。だが、他の街に比べ料金が高くなっているが、目くじらを立てる程でもないだろう。それでも二割も高く設定されると、食事も高くなるのが目に見えて、貧乏旅行者には財布と相談する場面が多くなる。
 獣の素材や依頼をいくつもこなしているスイール達には、一般的な宿に泊まるのは訳もない話だ。尤も、街を転々と渡り歩いているので、そこまでお金を使う事もないのだから。

 だが、今回の料金は二割増しでは済まず、ビックリし目玉が飛びだすかと思った。

「いつもの倍ですか?何かの間違いでは」

 ”フラッ”と宿に入ってみれば、宿泊料金に通常の倍の値が付けられていた。
 他の街では素泊まり銀貨一枚、ベリル市では銀貨一枚と銅貨二枚で泊まれるところを銀貨二枚と銅貨五枚が付けられていた。だが、食事の料金は倍にはなっていなかった。

「宿一軒、丸ごと借り切っちゃうどこかの馬鹿貴族が何人も出たらしく、部屋が足りないんだよ。それで仕方なく値を付けるしかないんだよ。ウチでも二人部屋を三人部屋とかにして貰ったりしてる部屋もあるんだ」

 そこで別の従業員、いや、この宿の主人と思われる人が出て説明して来る。

「馬鹿貴族じゃなく、馬鹿商人の馬鹿御曹司らしいですぜ。連れも一人しかいないのに何軒も借りてってさぁ。貸さなくてもいいんだけど、権力を笠に着せてよぉ。馬鹿みたいっていうけど、あれは本当の馬鹿だね」

 酷い言われようであるが、宿泊客の事を何にも考えておらず迷惑をこうむっていると、黙って頷いた。

「それでは、馬鹿商人の馬鹿御曹司のせいでしょうがありませんが、四人部屋をお願いできますか。料金は提示された料金で仕方ありません、が」
「わかった、助かるよ。うちの宿は食事が出ないから向かいの食堂で取ってくれ。四人分の割引チケット出しとくね。味は保証するからね」

 窓から見える盛況の食堂を指差しながら、チケットを四枚を部屋のカギと共に手渡してきた。
 チケットには”本日のみ使用可能”とあるが、日付を記載されていないので不正に使われないだろうかと他人事なのに心配してしまった。



 部屋に荷物を置き、宿の向かいの食堂へと向かう。食堂と宿の人は言っていたが、レストランの間違いではないかと思う程の立派な内装をしている。入り口や店内にはランタンや蝋燭の光で煌々と照らされ、昼間と見間違えるほどに明るかった。
 だがメニューはレストランのそれとは違い、旅人向けのリーズナブルな料理が並んでいた。

 葉野菜が庶民のテーブルに並び始める季節がら、食堂のメニューにも葉野菜の生サラダやフルーツ類が出てくるようになる。野菜を取る事、それも生の葉野菜を取ることが少ない旅人にはありがたい季節になりつつある。

「野営での食事も風情があって好きですが、食堂の料理はいいですね。何もせず食事が出てくるのがこんなにも有難いのですから」

 食事を作のが面倒では無いが、メニューを読むだけで料理が出てくるのは素晴らしいと言っているだけなのだ。それ以上に他意は無いのだが、聞く人によれば誤解を与えてしまいそうである。確かに毎日用意するのも大変なのはわかるのだが……。

「あぁ~、生野菜が食べられるなんて久しぶりだわ」
「そうね、ウチもしばらく口にしてなかったわ」

 レタスや玉ねぎ、大根、人参等を使った、朝採れ生野菜サラダに女性陣は満足している。特に上から掛かってるソース、--酸味が少しありドレッシングに近いソース--、が相性抜群で素材の味を引き立てている。パンに挟んでサンドイッチにしても旨いだろう。
 サンドイッチにするほど大きなパンはテーブルに並んでいないのが少し残念だと顔に出ていたのだが。

「肉の焼き加減が絶妙だし、掛かってるソースが旨いよ!!」

 肉を頬張りエゼルバルドは美味い美味いと連呼していた。近隣で育てているイノシシ系の厚さ三センチの肉は噛み応えだけでなく、赤身と油脂のバランスが良く、味わいにも影響を与えるほどだ。
 なまくらなナイフを使っているにもかかわらず、”スッ”と切られていくのは見ていて気持ちが良い。鈍らナイフを褒めるべきかイノシシ肉を褒めるべきか迷うのであるが、今日は何方でもない肉を美味くした料理人を褒めるべきと思った。

 飲み物も種類が豊富なのが嬉しかった。
 奥のバーカウンターの壁には酒の瓶が所狭しと並んでいた。それだけでなく、食事に注文できる飲み物もアルコール系や柑橘系のジュース、フルーツのさっぱりした味を付けた水など様々だ。

 スイールは白ワインが気に入ったらしく、二杯も追加で注文している。それだけ飲むのならボトル毎、注文してしまえばいいのにとも思う。ヴルフがいなくても自分の飲む量を決めているスイールにはそれで十分であるらしい。

 ヒルダとアイリーンは珍しいのかスパークリングワインを注文した。ボトルでは多いと思ったのか、珍しいハーフボトルを二人で飲んでいる様だ。透明でうっすらと白く色付いたワインにシュワシュワ~と炭酸の気泡が見え、どことなく涼しげな印象を受ける。

 エゼルバルドはこの店のおすすめ、エールを注文したが、地下水で冷やされているのか、十分に冷やされていた。材料も凝っている様で、ガラスのジョッキ越しに見える透き通った黄金色が、喉を通るたびに体にスッと入ってくる所など初めての感覚だった。これを知ってしまうと他でのエールが飲めなくなるほどに旨いとここでも連呼していた。

 幸せな時間を堪能すれば、気持ちが良くなり、宿へとサッサと戻りたくなる。
 明日は買い物だ、とヒルダとアイリーンが肩を組みながら叫んでいるが、気分の乗った二人を抑え付けようとすると何をしでかすか不気味なので、そのままにして他人の振りをするのであった。



 そして、夜が明けると、窓からはどんよりとした曇天模様が覗いていた。
 太陽が顔を出さず、薄暗い一日の始まりである。

 窓から見える範囲でも雲の切れ目は一切見えず、今日一日がこの天候なのかと気持ちも沈み込む。雨が降る天候よりは幾倍もマシだと思うしかなかった。

 昨日の食堂は昼からの営業らしく、朝はどこか違う所で食べるしかなかった。それならばと観光と買い物を楽しんでしまおうと早朝にもかかわらず揃って出かける事となった。

 朝から何を食べようと探していれば、行列のできる屋台を発見する。この場所は居城の前面にある広場でそこに所狭しと屋台が並んで、様々な匂いが混ざり合い、鼻の奥を刺激して行く。その匂いに逆らうことが出来ず、銘々が一番空腹を満たしそうな匂いの下へと吸い込まれて行った。

 城内の住民は軽めの屋台に並び、旅行者やギルドで依頼を受ける人達は重めの屋台に並ぶ様だ。もちろん、スイール達は重めの屋台に並んでいた。重めと言っても、肉類を使ったサンドイッチがメインであり、ステーキを焼いている屋台は見当たらなかった。その代わりに、サイコロ状に切った肉を串に刺し、直火でゆっくりと焼いてく屋台が人気が集まっていた。

 好きなものを手に、傍らのベンチシートに腰掛け四人仲良く朝食を食べる。ほぼサンドイッチなのだが、具材にソースがなじませてあると、食べている後ろ側から垂れてしまうので少し汚く見えてしまう。まぁ、汚れてもいい布を膝にかけているので気にする必要もないのだが。

「これからどうする」

 珍しく、エゼルバルドが予定を聞き始めるが、彼には唯一、女性二人から口にして欲しくない言葉があった。

「もちろん、「水着」よ!!買い物をするの!!」

 水着の所だけ二人で声を合わせる程、買い物を楽しみにしていたらしい。
 だが、その二人から”一緒に来て”と口に出される事だけは避けたいのだ。それが唯一の気に病む事であった。
 もし、強引に誘われて行ったとしても、何件もの店を梯子され、最終的に初めの店に戻るなど、労力に見合わぬ買い物をされる予感がしているからだった。
 それならばと先手を打とうと先に話を出した。

「それなら、オレも水着持ってないから、買ってくるか」
「あら、そう。じゃぁ、別行動ね。何を買ったかは見せるまで秘密にするから、楽しみにしておくのよ」

 アイリーンから別行動を提案されたので”これはしめた”と、内心で素で喜び二つ返事で返した。
 ヒルダだけならの買い物であれば、すぐ終わると経験済みなのだが、二人一緒だと時間が読めない。アイリーンの買い物は長そうだと、気合の入れ方に嫌悪すら湧いてくる。
 尤も、よくヒルダの買い物に付き合う事があるが、彼女は”サッ”と済ますのでエゼルバルドとしても付き添っていても気分が沈むことは無かった。男性っぽい買い物をするヒルダにエゼルバルドは魅かれ始めていたが、本人は全く自覚をしていなかった。

「二手に分かれましょう。夕方まで自由行動で良いでしょうか?たっぷり時間はありますから、観光も兼ねて街を見てくると良いでしょう」

 スイールはヒルダとアイリーンに告げ、二手に分かれて買い物と観光を楽しもうとしたのだが、朝早い事もあって観光スポットには入れるのだが、肝心のお店が開いていない時間だとうっかりしていた。
 それを聞き仕方ないと四人で一番身近にある、目の前の旧王城観光ルートに入ってみることになった。

 入場料を払うだけの事はあり、一歩足を踏み入れてみれば、美麗な装飾を施された天井や”手を触れないでください”と書かれたプレートを掲げている美術品など、二つと無い装飾品に目を奪われて行く。これだけでどれだけの価値ががあるのかとアイリーンが算盤そろばんを弾いていた……。だが、その顔を見れば、結果を聞くべきでは無いだろう。
 そんな美麗な装飾品を眺めていても、ここに住んで毎日のように眺めていれば、人であれば飽きてしまうのだろうとも思うのだ。
 暮らすには簡素が一番だ、と改めて思っていた。

 街のが動き出す時間帯になり、スイール達は商店が並ぶエリアへ足を運び、二手に分かれる。

「どんな水着を買うかは現地までお預けよ。ウチらに着いてこないでよね」
「大丈夫だよ。見つけたら大声を上げて逃げるからさ」

 水着は着るまでお預けよと告げてくるアイリーンに、冗談交じりにだが、荷物持ちにされてはたまらないと、即座に返した。

 商店のショーウィンドウには、流行とされる派手な水着が今年は多いらしく、派手な色の地に花や南国の樹木がデザインされている物がマネキンに着せられ飾られていた。
 エゼルバルドはそれらの中から、半そでの薄いパーカーとトランクスタイプの水着を選んだ。スイールも何か派手目の物を手に取ったようで、ウキウキと軽やかな足取りで会計を済ませていた。

 その他には海岸だけで使うには勿体無い、サンダルも一緒に購入した。
 ブーツを何時も履いているのだが、宿での室内履きやちょっとだけ歩きたいときに便利になるようにと。
 水棲獣の革と植物の組み合わせで、水にも強く、作りにもこだわっており、長持ちするだろう。その分、値段は高めであった。



 買い物も終わり夕方を待たず宿でくつろいでいると、ヒルダとアイリーンの二人が戻ってきた。

 笑顔のヒルダに比べて、アイリーンはどこか暗い表情だった。出かけるときはあんなに明るく買い物に燃えていたのにどうしたのだろうか、と。しかも、”ぐぬぬ”と何処かの悪役が口にする言葉を吐いていた。
 その、理由を聞いてみたが、大した理由では無かった。

「安くなかったのよ!!」

 王都よりは安いと言われたが、それほどでなかったらしい。高い理由が、王都よりも前に売り出すための市場原理だそうで、よくよく考えてみればそうだろうと納得する。
 王都で売り出す前に買えるのが強みかも知れないが、早く手に入れるためにはそれだけの対価を支払う必要があるのだそうだ。

 それに比べてヒルダは上機嫌で買い物袋を胸に抱えていた。

「ねぇねぇ、聞いてよ!イイもの買っちゃってさ~。見て見ふぇモゴモゴ……」

 買い物袋に手を入れた所で、後ろからアイリーンが手を伸ばし、口と手を押さえて来た。

「秘密だって言ったでしょ!!」

 アイリーンが”あれほど言ったのに!”とご立腹だった。ここで見せてしまったら、後の楽しみが無くなってしまうでしょ、と。

 ”ごめ~ん”とヒルダが呟き、借りてきた猫のように大人しくなった。浮かれて気分上々だったのが、真っ逆さまに谷底へ落とされた気分になっていた。
 それではと、夕食は美味しいものでも食べに行こうと元気付け、気分転換に誘い出す。

 その後は高めのレストランへ行き、気分が高揚したヒルダが羽目を外す珍しい光景が見られたのであった。
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