奇妙な魔術師の放遊録 ~ゆかいな仲間たちは今日も我が道を進む?~

遊爆民。

文字の大きさ
71 / 78
第三章 王都への旅路

三章の閑話 食べ物の恨みは恐ろしい

しおりを挟む
 僕の名前はバッブス=アンドリュー。ちょっとした商人の三男坊だ。年齢は三十歳目前だ。家の使用人や知り合いからは放蕩息子と言われているが、そこまで放蕩息子ではないんだ、失礼しちゃうよね。

 僕の趣味はいろいろな場所を見て回る事だ。先日も王都まで行って様々な場所を見て来た。でも家のあるブールに着く直前、大きな鳥の化け物に襲われ、命からがら逃げ回っていた。

 まぁ、旅の人がやっつけてくれたから無事だったんだけどね。

 それを親父に話したら、”いい加減に嫁でも貰って落ち着け!”って言われてしまった。ごもっともだけど、僕の所に嫁に来てくれる奇特な人なんかいないと思うんだよね。うんうん、自分で言っててちょっと悲しくなったよ。

 それで、いまはキール自治領のラルナって街に来ているんだ。えっ?お前はブールに居るんじゃないのかって?親父に怒られたら、いつの間にかいたんだよ。自分でも不思議だと思っているよ。

 ラルナに来たなら噂を確かめなくちゃいけないと思ってる。そう、噂だ。とある場所で川魚なんだけどラルナでしか食べられない魚があるらしいと聞いてね。

 食べ物、それは人を形作る根幹。
 そして、見つけたんだ、それを。

 ラルナの街の一番北、横にラルナ長河の川口が見える場所にあるちょっと変わったお店だ。そこは屋根に瓦と言う土を固めてレンガの様にした黒い物体を乗せているんだ。壁は白く、いや真っ白くペンキでもない何かが塗られていて周りの風景に溶け込まず浮いているんだ。
 これはこの大陸の遥か東の国から来た料理人がこだわって建てたらしい。建物だけ見れば綺麗なんだけどね。
 この店はある魚を料理してくれるただ一軒のお店なんだ。獰猛な魚を捕ってきては時価で食べさせてくれる。ああ、考えただけでもヨダレが出て来るよ。早く食べたい。

 僕はお店の入り口をくぐった。テーブルが見えないから聞いたら靴を脱いで一段上がれと。なんで靴を脱ぐのかわからないけど、綺麗好きなのかな?
 低いテーブルが置いてあって、その内の一つに通された。

 メニューを見ると、目的の料理を見つけた。ピラゲーターの料理を。
 このフルコースを頼んでみた。

 時間がかかるらしく、一時間くらい待ったかな。お腹と背中がくっ付きそうだったよ。もうお腹ペコペコだ。
 運ばれて来たピラゲーター料理は見事に飾ってあった。驚いたのは頭だ。
 ワニの様なくちばしを頭ごと柔らかく似てある。くちばしは骨で食べられないけど、それ以外はにゅるんとしてて、女性は大好きな食感だと思う。僕はこれ好きだね。

 内臓も食べられるらしい。透明な塩味のスープに内蔵の一部分だけ入ってる。キモスイって何だろう。でも美味しい。この内臓もコリコリしてて、何だろうな獣肉の軟骨を食べている感じだ。

 胴体の一部はパイ生地に乗せられデザート替わりになっているって。これはデザートだから最後だね。他には切り身を焼いたり、パンくずを付けて油で揚げたりしてとても美味しい。このサクサクとした食感がたまらない。

 火で炙って、白いプチプチした粒が固まった上に乗せた食べ物もおいしい。口の中で白いプチプチした粒がパァっと広がって溶けてしまったみたい。

 最後に先ほど後回しにしたパイ生地のデザートだ。
 ほぐした身が全体に行き渡り、脂が解け落ちた生地はどのパイにも負けない。

 最後に、水を張った鍋が出てきて、余った食材をそこに全部入れちゃった。火にかけしばらくするとぐつぐつと煮立ち、覚ましたパスタを入れた感性だって。
 パスタを一口食べると、今まで食べたすべての味が凝縮されて、満足どころか昇天しちゃいそうだった。

 こんなの食べたの初めてだった。



 さて帰ろうと会計を済ませようとしたら、

「お会計は金貨三枚です」

 え、三枚?銀貨じゃなく、金貨で?ほんと?うそでしょ。
 この魚はそれだけの価値があるって?いやいや、それは無いでしょう。
 これ以上駄々をこねると官憲隊に突き出すぞって?脅したって駄目ですよ。
 え、金額かいてあったって?それを見て頼んだのだろうって。その通りだけど、
 はいはい、払いますよ。美味しかったですからね。

 財布を覗き込み、全財産をカウンターの上ですべての硬貨を積み上げて行くが、

「えっと、金貨二枚分しかない……」

 って、止めて、ちゃんと払うから、皿洗いでも何でもするから。
 助けて~!!



 バッブス=アンドリューはその腕を両側から押さえられ、引きずるように官憲隊の事務所へと届けられる。

 その後、官憲隊の事務所からは”誤解なんや~~”と大声が数日間聞こえたとか聞こえなかったとか。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

まさか私が王族の一員であることを知らずに、侮辱していた訳ではありませんよね?

木山楽斗
恋愛
王城の使用人であるメルフィナには、ある秘密があった。 彼女は国王の隠し子なのである。 その事実は、半ば公然の秘密となっていた。公にされたことは一度もないが、嗅覚に優れた者達はそれを察知していたのだ。 しかし中には、そうではない者達もいた。 その者達は、メルフィナを一介の使用人として考えて、彼らなりの扱い方をした。 それは許されるものではなかった。知らぬうちに王家に牙を向けた者達は、その行為の報いを受けることになったのだ。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...