マオ

chara

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夕食

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いつもの電車に乗り、マオがいる家ヘ帰った。
「ただいまー」
と気が抜けた声でつぶやくと
「おかえりー」
とマオが返事をしてくれた。
靴を脱ぎ、2、3歩歩いたところでほんのりご飯のいい匂いが漂っていた。リビングへの扉を開くと、そこにはマオがエプロン姿で食器に盛った料理を運んでいた。
「思ってたより帰ってくるの早かったね」
とマオが料理を運びながら訪ねた。
「ああ、今日はそんなに寄り道もしなかったし」
「そっか、じゃあ一緒にご飯食べよ」
「ああ」
などとマオと言葉を交わし、バックをそこら辺に置いた時
「あっ!、バック適当に置かないの!」
「えー、明日バイトで朝からそのバッグ使うからそこら辺に置いてもいいじゃん」
「ダメだって、部屋散らかっちゃうよ」
「はーい、バッグ、部屋に置いてきまーす」
「もう最初からそうしてよね」
と言葉を交わしたあと俺はバッグを部屋に置いてきた。その時俺は「怒ったようなマオも可愛いな」とマオに聞こえないくらいの大きさでつぶやいた。
そして食卓についた俺は「いただきます」と言い、ご飯を食べた。相変わらずめちゃくちゃ美味しかったなど自分の心の中で感想を呟いていると突然、マオが
「雄二ってさ、彼女いないの?」
と急に聞かれた。僕は飲んでいたお茶を吹き出すところだったがなんとか我慢して答えた
「仲のいい子ならいるけど彼女はいないかな~、ってか急にそんなこと聞かないでよこっちは心の準備できてないんだからー」
と少し口を尖らせた言い方をした。
「えー、だって気になったものは気になったんだもん」
「全く、そもそも俺に彼女がいたらマオみたいなかわいい子、家に入れないだろ」
と何食わぬ顔で言ったが少し経ったのち自分がさっき何を言ったことに恥ずかしさを感じ下を向いていた。マオのことを横目でチラッと見てみると少しにやけてこちらを見ている
「へ~~、私のことかわいいって思っててくれてたんだ~」とマオが嬉しそうな顔でこちらに言ってきた。僕はより恥ずかしさが増し、マオが作ってくれた料理をつまんだ。
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