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村の急速な成長
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フェンが村に来て、数年が経った。
開拓地は順調に発展していた。
まず変化したのは、積極的に移民を受け入れるようになったことだ。
なんでも中央の方では、モンスターが頻繁に出没するようになったそうだ。
聖女の祈りと神獣の加護を失い結界が薄れているのだろう。
さらには不作が続き、大規模な飢餓が訪れているという話もある。
そうした状況でも、中央に住む貴族たちは何ら対策を取らなかった。
平民などいくらでも替えがきくと事態を放置し、ついには難民が大量発生する事態に繋がったのだ。
「自分たちに影響がないからって、ずっと放置してるんだよ」
「へっ。今でも金を湯水のごとく使って、パーティを楽しんでるんだろうさ」
王宮に住む貴族たちを、難民たちは吐き捨てるようにそう評した。
「我々を受け入れて下さり、本当に感謝の言葉もありません」
「さすがは聖女様のいらっしゃる村です。何もしてくれなかった王宮の連中とは大違いです。この恩は必ず何倍にもして返します!」
「いいえ。元はといえば、私が居なくなったせいですし……」
聖女としての役割を果たせなかった私。
不甲斐なさに表情を曇らせたが、
「何をおっしゃるんですか。聖女様は何も悪くありません!」
「一方的に聖女様を国外追放した国が100%悪いに決まっています!」
開拓村の住人は、そう熱弁して私を励ます。
私にかけられる声は、とても暖かなものだった。
「みなさん良い人ですね。……フェン? どうしたのですか?」
「いや……。イディル王子の所業を思い出すと、はらわたが煮えくり返りそうでな。今からでも八つ裂きにしてくれようか」
「冗談でもやめて下さいね!?」
真顔でつぶやくフェンが、ちょっぴり怖い。
思えば私は、この村で楽しく生きていただけだ。
ここは今や第2の故郷と言っても差し支えない。
この場所を守るため。これからも微力ながら尽力しよう。
──私は新たに決意を固めるのだった。
***
それから私は、聖女の力をフル活用して村の発展に尽力した。
その1つが祈祷術を持つ者の育成である。
「この村にはエリーゼが居るから良いのではないか?」
「ダメですよ、フェン。万が一、私に何かあったときに、それを乗り越えられる体制を作っておかなければならないんです」
「エリーゼがそう言うのなら。……だがエリーゼに万が一などは起こさせない。エリーゼは我の大切な契約主だ。指一本でも触れさせるつもりはない」
「ありがとうございます。心強いです、フェン」
至近距離で見つめられながら、そんなことを言わないで欲しい。
フェンの人化形態は、王子も顔負けのイケメンなのだ。
思わず赤くなる顔を隠すように、私はパンパンと手で叩き気合を入れ直す。
そうして開かれる祈祷術講座。
集めたのは難民を中心とした少年少女だ。
不思議そうな顔で私を見る彼らに、私は胸を張って宣言した。
「あなたたちには祈祷術を使えるようになってもらいます!」
「ええ……祈祷術を!? 私たちに、そんな才能があるはずが……!」
「可能性を決めるのは、いつだって自分です。神獣様もそこで見守って下さっています。まずはやってみましょう?」
誰でも最初から上手くやれるはずがない。
実際、祈祷術は神の力を借りる代物だなどと言われ、扱うのはとても難しい。
しかし貴重な力は、今後を生きていくには武器にもなる。
集まった人々は、最初こそ半信半疑だったものの、祈祷術が使えるようになっていくと誰もが歓喜の表情を浮かべていた。
祈祷術を使える者が増えるにつれ、村の作物の実りはますます良くなっていく。
結果、新たな作物も育つようになり、開拓村はますます発展していく。
新たな特産品を口にする日が、今から待ち遠しい限りだ。
***
「エリーゼ、モンスターを狩るため今日から魔境に向かう。さすがに聖女様を、そんな危険な場所に連れて行く訳には行かないよな……」
「聖女様なんて、そんな余所余所しいこと言わないでください。あれだけ狩りの楽しさを教えておいて、今さらお留守番なんて許しませんからね!」
辺境にある村にも関わらず、気がつけば村には強固な結界が張られていた。
フェンの力は凄まじいの一言だった。
ありがたい反面、モンスターと戦う機会はめっきり減っていた。
せっかくの狩りのチャンス。
是が非でも同行したいところだ。
「もちろん我も付いていこう」
「ありがとうございます、フェン」
獣形態のフェンは、小さくなってちょこんと私の肩に乗る。
こうすることで、私のことを守ってくれているのだ。
……こう見えても私は、昔からサバイバルには慣れてる。守って貰う必要はないんだけどな?
みんな少しばかり過保護すぎるのだ。
「人間。何がなんでもエリーゼのことは守れよ?」
「当たり前だ。聖女様に傷1つでも付けたらエリーゼ村の名が泣く」
「あのう……。エリーゼ村は止めませんか?」
「聖女様のおかげで、ここまで立派な村になったのです。せめてもの感謝の気持ちです!!」
「野垂れ死ぬのを待つばかりだった我々に、手を差し伸べて下さった聖女様への恩。決して忘れません!」
「あうう……」
なんだか好意が重たい。
私は説得を諦め、テキパキと狩りの準備を進めることにした。
狩りは至って順調に進み、その日の夕食はちょっとだけ豪華になった。
***
やがて開拓村は、元が荒れ地だったのが嘘のような立派な村に成長していった。
噂を聞きつけ、次々と人が集まってきたのだ。
もちろん頑張ったのは私だけではない。
村人たちの頑張りと、難民たちの協力も大きい。
さらには神獣様の加護の影響もあるだろう。
──やがてエリーゼ村は、国内でも有数の村に成長していくのだった。
開拓地は順調に発展していた。
まず変化したのは、積極的に移民を受け入れるようになったことだ。
なんでも中央の方では、モンスターが頻繁に出没するようになったそうだ。
聖女の祈りと神獣の加護を失い結界が薄れているのだろう。
さらには不作が続き、大規模な飢餓が訪れているという話もある。
そうした状況でも、中央に住む貴族たちは何ら対策を取らなかった。
平民などいくらでも替えがきくと事態を放置し、ついには難民が大量発生する事態に繋がったのだ。
「自分たちに影響がないからって、ずっと放置してるんだよ」
「へっ。今でも金を湯水のごとく使って、パーティを楽しんでるんだろうさ」
王宮に住む貴族たちを、難民たちは吐き捨てるようにそう評した。
「我々を受け入れて下さり、本当に感謝の言葉もありません」
「さすがは聖女様のいらっしゃる村です。何もしてくれなかった王宮の連中とは大違いです。この恩は必ず何倍にもして返します!」
「いいえ。元はといえば、私が居なくなったせいですし……」
聖女としての役割を果たせなかった私。
不甲斐なさに表情を曇らせたが、
「何をおっしゃるんですか。聖女様は何も悪くありません!」
「一方的に聖女様を国外追放した国が100%悪いに決まっています!」
開拓村の住人は、そう熱弁して私を励ます。
私にかけられる声は、とても暖かなものだった。
「みなさん良い人ですね。……フェン? どうしたのですか?」
「いや……。イディル王子の所業を思い出すと、はらわたが煮えくり返りそうでな。今からでも八つ裂きにしてくれようか」
「冗談でもやめて下さいね!?」
真顔でつぶやくフェンが、ちょっぴり怖い。
思えば私は、この村で楽しく生きていただけだ。
ここは今や第2の故郷と言っても差し支えない。
この場所を守るため。これからも微力ながら尽力しよう。
──私は新たに決意を固めるのだった。
***
それから私は、聖女の力をフル活用して村の発展に尽力した。
その1つが祈祷術を持つ者の育成である。
「この村にはエリーゼが居るから良いのではないか?」
「ダメですよ、フェン。万が一、私に何かあったときに、それを乗り越えられる体制を作っておかなければならないんです」
「エリーゼがそう言うのなら。……だがエリーゼに万が一などは起こさせない。エリーゼは我の大切な契約主だ。指一本でも触れさせるつもりはない」
「ありがとうございます。心強いです、フェン」
至近距離で見つめられながら、そんなことを言わないで欲しい。
フェンの人化形態は、王子も顔負けのイケメンなのだ。
思わず赤くなる顔を隠すように、私はパンパンと手で叩き気合を入れ直す。
そうして開かれる祈祷術講座。
集めたのは難民を中心とした少年少女だ。
不思議そうな顔で私を見る彼らに、私は胸を張って宣言した。
「あなたたちには祈祷術を使えるようになってもらいます!」
「ええ……祈祷術を!? 私たちに、そんな才能があるはずが……!」
「可能性を決めるのは、いつだって自分です。神獣様もそこで見守って下さっています。まずはやってみましょう?」
誰でも最初から上手くやれるはずがない。
実際、祈祷術は神の力を借りる代物だなどと言われ、扱うのはとても難しい。
しかし貴重な力は、今後を生きていくには武器にもなる。
集まった人々は、最初こそ半信半疑だったものの、祈祷術が使えるようになっていくと誰もが歓喜の表情を浮かべていた。
祈祷術を使える者が増えるにつれ、村の作物の実りはますます良くなっていく。
結果、新たな作物も育つようになり、開拓村はますます発展していく。
新たな特産品を口にする日が、今から待ち遠しい限りだ。
***
「エリーゼ、モンスターを狩るため今日から魔境に向かう。さすがに聖女様を、そんな危険な場所に連れて行く訳には行かないよな……」
「聖女様なんて、そんな余所余所しいこと言わないでください。あれだけ狩りの楽しさを教えておいて、今さらお留守番なんて許しませんからね!」
辺境にある村にも関わらず、気がつけば村には強固な結界が張られていた。
フェンの力は凄まじいの一言だった。
ありがたい反面、モンスターと戦う機会はめっきり減っていた。
せっかくの狩りのチャンス。
是が非でも同行したいところだ。
「もちろん我も付いていこう」
「ありがとうございます、フェン」
獣形態のフェンは、小さくなってちょこんと私の肩に乗る。
こうすることで、私のことを守ってくれているのだ。
……こう見えても私は、昔からサバイバルには慣れてる。守って貰う必要はないんだけどな?
みんな少しばかり過保護すぎるのだ。
「人間。何がなんでもエリーゼのことは守れよ?」
「当たり前だ。聖女様に傷1つでも付けたらエリーゼ村の名が泣く」
「あのう……。エリーゼ村は止めませんか?」
「聖女様のおかげで、ここまで立派な村になったのです。せめてもの感謝の気持ちです!!」
「野垂れ死ぬのを待つばかりだった我々に、手を差し伸べて下さった聖女様への恩。決して忘れません!」
「あうう……」
なんだか好意が重たい。
私は説得を諦め、テキパキと狩りの準備を進めることにした。
狩りは至って順調に進み、その日の夕食はちょっとだけ豪華になった。
***
やがて開拓村は、元が荒れ地だったのが嘘のような立派な村に成長していった。
噂を聞きつけ、次々と人が集まってきたのだ。
もちろん頑張ったのは私だけではない。
村人たちの頑張りと、難民たちの協力も大きい。
さらには神獣様の加護の影響もあるだろう。
──やがてエリーゼ村は、国内でも有数の村に成長していくのだった。
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