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フィアナ、特進クラスに編入することになる
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「はっ、化けの皮が剥がれたな。そんなことをすれば、あっという間に爆発するだろう!」
(理想の合いの手です、マティ先生!)
私はチッチッチと指を振り、
「もちろん、そのままだと爆発します。でも、そこを解決できる仕組みが、人間の体には隠されていましてね。ここを、こうして――」
私は、サラサラサラっと空中に魔法陣を描き出すのでした。
それはテストでの答案に、更に改良を加えた自信作です。
「お……、おまえ! 今、いったい何を!?」
「マティさん、ここにニュートラルなマナを通してくれますか?」
私は、あんぐりと口を開けているマティさんに実演を依頼します。
観念したように、マティさんが魔法陣に手を触れ……、
ズガァァァァアン!
発動したのは、蒼炎に染まるレーザー砲。
バチバチと激しい火花を散らしながら、鋭い1撃がエレナさんの張った結界に突き刺さり、
「なっ、何だこれは!?」
「信じられん。今のは狙って起こした現象なのか?」
「もちろんです!」
2人が見せてくれたのは、気持ちいいまでのオーバーリアクション。
ルナミリアの人たちも、少しは見習って欲しいものです。
「制御の部分を変えれば、他の魔法に変換することもできるかもしれませんね。でも安定性の面では、やっぱり難があって――」
私が補足するように、そんなことを説明していると、
「もう十分じゃ。疑うようなことを口にして、本当に申し訳なかった」
「これが――真の……、天才か」
どうやらマティさんの助けもあり、無事、私の潔白が証明されたようです。
「平民でありながら、歴史を動かす新発明――なるほどな。私は間違っていたようだな」
更には憑き物の落ちたような顔で、マティさんはそんなことを言い出しました。
「真の天才が現れた時、私はその道を全力で支えようと決めていたはずなのにな。古い価値観に凝り固まって、あろうことか妨害に走ろうなど――まったく、自分が恥ずかしい」
「は、はぁ……」
「かくなる上は、この学園の教師の資格を返上することでミソギとさせて頂きたく――」
クワッ! と目を見開き、とんでもないことを言い始めるマティさん。
止めるべきエレナさんまで、なにやら深刻な顔でうんうん頷いてますし……、
(このままでは、模擬戦で試験管をボコボコにして、さらには退職に追いやったやべえやつって噂されちゃいます)
(そんなことになったら終わりです……!)
「と、とんでもありません!」
私は、マティさんを止めるべく口を開きます。
「マティさんは、私の回答用紙(ほぼ白紙)を見ましたよね!?」
「ああ、まさしく王者の回答だったな。美しい魔法陣――世界を変えるものは、かくあるべきということを示した立派なものだった」
「ッ!?」
予想と斜め上の言葉に、私は目を白黒させることしかできません。
口をパクパクさせて、
(ッ! これも王都流の面接術!)
私は、ふと我に帰ります。
普通に考えて、あの回答がそこまでベタ褒めされるわけありません。
だとすればこのやり取りも、私がエリシュアンに相応しいかを見極めるための物のはずです。
(これはつまり、マティさんの退職を防ぐ試験。そういうことですね!)
そう結論付け、私は口を開きます。
「あれぐらいの回答なら、少し研鑽を積めば誰でも解けますよ」
「そんな馬鹿な!? 模擬戦で見せた異能力に、あんな魔法陣まで――間違いなく生まれながらにして神童。溢れんばかりの才能に恵まれていたんだろう」
「いえ……。私、村では1番弱かったですし」
溢れんばかりの才能があれば、きっと模擬戦で百連敗なんて記録を叩き出すこともなかったことでしょう。
マティさんの言葉に、私は半眼になります。
「生まれながらにして、第3冠魔法が使えたわけではないと?」
「当たり前です。そんなことできたら、神そのものですよ」
何を当たり前のことを、と私はため息をつく。
「生まれながらにして神童でなかったとして、貴様は――いや、フィアナ嬢。君は、どうやってその領域に至ったというんだ?」
「えっと、出来るようになるまで諦めなかったことですかね」
魔法陣パズルにハマったときは、夢中になって3徹していました。
模擬戦だって、相手が嫌になるぐらい何度も繰り返しました。
もっとも娯楽の少ないルナミリアでは、それぐらいしか楽しみがなかったせいでもありますが……、
「だとしても、出来なくて投げ出したくなることはあるだろう。そうだな、戦闘練習も勝てる兆しすら見つからなければ――」
「簡単です。それでも勝つまでやればいいんです!」
「それでも、たとえ百回やって、1度も勝ち目すら見えなかったら――」
(やけに食い下がってきますね……)
ただの試験の質問にしては、今のマティさんからは鬼気迫るものを感じます。
「簡単なことですよ。百回やって勝てなければ、千回挑めぱいいんです! すべての技術を盗んで――最後には勝ちます!」
きっぱり告げた私に、
「はっはっはっ、百回で駄目なら千回か」
呆気にとられた様子のマティさんは、その後、何がおかしいのか豪快に笑いだしました。
「ちょっと!? そんなに笑わないで下さいよ。そりゃあ私だって、1回目からピシッと勝ちたいですよ。でも、相手が強すぎれば――」
(――って、これじゃあ私が模擬戦で百連敗した考えなしのアホみたいじゃないですか!)
まあ、事実なんですけどね!
私が、わたわた言い訳しようとしていると、
「言うは易し、行うは難し、だな。同じことを言っていた奴が、何人私の前から消えていったことか。それでも……、それを愚直に繰り返してきたから、君はその領域に至ったというのだな」
なにやら勝手に納得して、マティさんは深々と頷きました。
何を思ったのか、その目には薄っすらと涙が滲んでおり、
「苦しくは……、無かったのか?」
「いえ? 最高に楽しかったですよ!」
なにせ身体を思い切り動かして眠っても、いじわるパズルが解けるまで徹夜しても、ちょっと寝たら翌日にはピンピンしているんです。
これぞ、健康による暴力!
フル活用しなければ損というものです。
「フィアナ嬢――才無き平民でありながら、努力だけでその頂に至った真の天才。教育者として是非とも伺いたい。何か、秘訣のような物はあったのだろうか?」
(あ、あくまで天才シチュエーションを続けるんですね……)
内心で突っ込みつつ、少し考え、私が導き出した答えは、
「健康な肉体、ですかね?」
そんなアホみたいなもので。
(本音ですが、面接の答えとしては0点です。やらかしました!)
「あっ、いやっ!? 今のなしで──」
えーっと、えーっと、求む。頭のよさそうな面接向けの回答!
何も浮かばず、サーッと真っ白になる私。
しかしマティさんは、不思議と納得したような表情を浮かべると、
「血筋に価値は無し、健康な身体にこそ才は宿る。健康でさえあれば、努力次第で誰でもその頂にたどり着ける可能性がある――そういうことだろうか。至言、だな……」
マティさんは、噛みしめるようにそんなことを口にし、
「私がこの学園でするべきは、道を断つことではなく寄り添うこと。ああ、本当に目が醒めたようだよ――フィアナ嬢、感謝する」
深々と私に頭を下げてきました。
(ええっ……)
私は、曖昧に笑みを返すのみ。
そうしてマティさんは、やけにスッキリした顔で学園長室を去っていくのでした。
残された私は、エレナさんと顔を見合わせます。
「その……、最終試験は合格ということでいいのでしょうか?」
「最終試験?」
エレナさんは、不思議そうな目を瞬いていましたが、
「すべての試験を最高ランクで合格し、さらにはマティ君を改心させてみせた見事な手腕。まさしく国の未来を背負って立つに相応しい――我がエリシュアン学園は、才ある若者を歓迎する。フィアナよ、今後の活躍に期待しておるぞ」
エレナさんは、真面目な顔でそう宣言します。
そうして無事に、私のエリシュアン学園への編入が決まるのでした。
(理想の合いの手です、マティ先生!)
私はチッチッチと指を振り、
「もちろん、そのままだと爆発します。でも、そこを解決できる仕組みが、人間の体には隠されていましてね。ここを、こうして――」
私は、サラサラサラっと空中に魔法陣を描き出すのでした。
それはテストでの答案に、更に改良を加えた自信作です。
「お……、おまえ! 今、いったい何を!?」
「マティさん、ここにニュートラルなマナを通してくれますか?」
私は、あんぐりと口を開けているマティさんに実演を依頼します。
観念したように、マティさんが魔法陣に手を触れ……、
ズガァァァァアン!
発動したのは、蒼炎に染まるレーザー砲。
バチバチと激しい火花を散らしながら、鋭い1撃がエレナさんの張った結界に突き刺さり、
「なっ、何だこれは!?」
「信じられん。今のは狙って起こした現象なのか?」
「もちろんです!」
2人が見せてくれたのは、気持ちいいまでのオーバーリアクション。
ルナミリアの人たちも、少しは見習って欲しいものです。
「制御の部分を変えれば、他の魔法に変換することもできるかもしれませんね。でも安定性の面では、やっぱり難があって――」
私が補足するように、そんなことを説明していると、
「もう十分じゃ。疑うようなことを口にして、本当に申し訳なかった」
「これが――真の……、天才か」
どうやらマティさんの助けもあり、無事、私の潔白が証明されたようです。
「平民でありながら、歴史を動かす新発明――なるほどな。私は間違っていたようだな」
更には憑き物の落ちたような顔で、マティさんはそんなことを言い出しました。
「真の天才が現れた時、私はその道を全力で支えようと決めていたはずなのにな。古い価値観に凝り固まって、あろうことか妨害に走ろうなど――まったく、自分が恥ずかしい」
「は、はぁ……」
「かくなる上は、この学園の教師の資格を返上することでミソギとさせて頂きたく――」
クワッ! と目を見開き、とんでもないことを言い始めるマティさん。
止めるべきエレナさんまで、なにやら深刻な顔でうんうん頷いてますし……、
(このままでは、模擬戦で試験管をボコボコにして、さらには退職に追いやったやべえやつって噂されちゃいます)
(そんなことになったら終わりです……!)
「と、とんでもありません!」
私は、マティさんを止めるべく口を開きます。
「マティさんは、私の回答用紙(ほぼ白紙)を見ましたよね!?」
「ああ、まさしく王者の回答だったな。美しい魔法陣――世界を変えるものは、かくあるべきということを示した立派なものだった」
「ッ!?」
予想と斜め上の言葉に、私は目を白黒させることしかできません。
口をパクパクさせて、
(ッ! これも王都流の面接術!)
私は、ふと我に帰ります。
普通に考えて、あの回答がそこまでベタ褒めされるわけありません。
だとすればこのやり取りも、私がエリシュアンに相応しいかを見極めるための物のはずです。
(これはつまり、マティさんの退職を防ぐ試験。そういうことですね!)
そう結論付け、私は口を開きます。
「あれぐらいの回答なら、少し研鑽を積めば誰でも解けますよ」
「そんな馬鹿な!? 模擬戦で見せた異能力に、あんな魔法陣まで――間違いなく生まれながらにして神童。溢れんばかりの才能に恵まれていたんだろう」
「いえ……。私、村では1番弱かったですし」
溢れんばかりの才能があれば、きっと模擬戦で百連敗なんて記録を叩き出すこともなかったことでしょう。
マティさんの言葉に、私は半眼になります。
「生まれながらにして、第3冠魔法が使えたわけではないと?」
「当たり前です。そんなことできたら、神そのものですよ」
何を当たり前のことを、と私はため息をつく。
「生まれながらにして神童でなかったとして、貴様は――いや、フィアナ嬢。君は、どうやってその領域に至ったというんだ?」
「えっと、出来るようになるまで諦めなかったことですかね」
魔法陣パズルにハマったときは、夢中になって3徹していました。
模擬戦だって、相手が嫌になるぐらい何度も繰り返しました。
もっとも娯楽の少ないルナミリアでは、それぐらいしか楽しみがなかったせいでもありますが……、
「だとしても、出来なくて投げ出したくなることはあるだろう。そうだな、戦闘練習も勝てる兆しすら見つからなければ――」
「簡単です。それでも勝つまでやればいいんです!」
「それでも、たとえ百回やって、1度も勝ち目すら見えなかったら――」
(やけに食い下がってきますね……)
ただの試験の質問にしては、今のマティさんからは鬼気迫るものを感じます。
「簡単なことですよ。百回やって勝てなければ、千回挑めぱいいんです! すべての技術を盗んで――最後には勝ちます!」
きっぱり告げた私に、
「はっはっはっ、百回で駄目なら千回か」
呆気にとられた様子のマティさんは、その後、何がおかしいのか豪快に笑いだしました。
「ちょっと!? そんなに笑わないで下さいよ。そりゃあ私だって、1回目からピシッと勝ちたいですよ。でも、相手が強すぎれば――」
(――って、これじゃあ私が模擬戦で百連敗した考えなしのアホみたいじゃないですか!)
まあ、事実なんですけどね!
私が、わたわた言い訳しようとしていると、
「言うは易し、行うは難し、だな。同じことを言っていた奴が、何人私の前から消えていったことか。それでも……、それを愚直に繰り返してきたから、君はその領域に至ったというのだな」
なにやら勝手に納得して、マティさんは深々と頷きました。
何を思ったのか、その目には薄っすらと涙が滲んでおり、
「苦しくは……、無かったのか?」
「いえ? 最高に楽しかったですよ!」
なにせ身体を思い切り動かして眠っても、いじわるパズルが解けるまで徹夜しても、ちょっと寝たら翌日にはピンピンしているんです。
これぞ、健康による暴力!
フル活用しなければ損というものです。
「フィアナ嬢――才無き平民でありながら、努力だけでその頂に至った真の天才。教育者として是非とも伺いたい。何か、秘訣のような物はあったのだろうか?」
(あ、あくまで天才シチュエーションを続けるんですね……)
内心で突っ込みつつ、少し考え、私が導き出した答えは、
「健康な肉体、ですかね?」
そんなアホみたいなもので。
(本音ですが、面接の答えとしては0点です。やらかしました!)
「あっ、いやっ!? 今のなしで──」
えーっと、えーっと、求む。頭のよさそうな面接向けの回答!
何も浮かばず、サーッと真っ白になる私。
しかしマティさんは、不思議と納得したような表情を浮かべると、
「血筋に価値は無し、健康な身体にこそ才は宿る。健康でさえあれば、努力次第で誰でもその頂にたどり着ける可能性がある――そういうことだろうか。至言、だな……」
マティさんは、噛みしめるようにそんなことを口にし、
「私がこの学園でするべきは、道を断つことではなく寄り添うこと。ああ、本当に目が醒めたようだよ――フィアナ嬢、感謝する」
深々と私に頭を下げてきました。
(ええっ……)
私は、曖昧に笑みを返すのみ。
そうしてマティさんは、やけにスッキリした顔で学園長室を去っていくのでした。
残された私は、エレナさんと顔を見合わせます。
「その……、最終試験は合格ということでいいのでしょうか?」
「最終試験?」
エレナさんは、不思議そうな目を瞬いていましたが、
「すべての試験を最高ランクで合格し、さらにはマティ君を改心させてみせた見事な手腕。まさしく国の未来を背負って立つに相応しい――我がエリシュアン学園は、才ある若者を歓迎する。フィアナよ、今後の活躍に期待しておるぞ」
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