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怪しげな
しおりを挟むある日の仕事帰り、私がマンションの郵便受けを見ると郵便に紛れて、ある紙が床に落ちた。
何だろう?と思って見てみてると私は怖くなって、急いで部屋へ向かった。
その紙に書いてあったのは───
『ミヤマ ソウイチロウト ワカレロ。 サモナイト、キガイヲクワエルゾ。』
私と推し様が、付き合っていることを知っている……!?
誰!?私も推し様も、誰にも言ってないハズなのに……!
危害を加えるって……私?推し様?どっち!?
どっちにしろ、危険だ。
私は恐怖のあまり、推し様が帰って来るまで推し部屋で、ブランケットにくるまって動けなくなっていた。
推し様が深夜に帰宅する頃には、私は眠っていた。
「みーちゃん?」
「ひぃいいッ!」
「大丈夫!俺だよ、推し様!」
「お、し……様……?」
「みーちゃん?どうしたの!?」
「あの……あの……!」
「無理しなくていいよ。今は落ち着こう」
「鍵は……!?」
「鍵?ちゃんとしたよ」
「ドアチェーンまでした!?」
「えっ、どうしたの?」
「ドアチェーンまで、ちゃんとして!お願い!」
私の必死さに、推し様は異変に気付いたらしく、急いでドアチェーンをしてくれた。
そして、今日の郵便受けに入っていた郵便の中にあった紙を見せた。
「何これ……」
「だから、怖くて……」
「みーちゃん、食べられる?お腹空いてない?」
「あっ……」
推し様が帰って来てくれた安心感で、お腹がぐぅ~~と盛大に鳴った。
すると、推し様は温かい卵粥を作ってくれた。
卵粥の出汁と、推し様の優しさがじんわり沁みて泣きそうになった。
これから、どうしよう。
「やっぱり私ここを出て、他のところで暮らそうかな……」
明るく振る舞ったつもりなのに、推し様に猛反対された。
「ダメだよ、それこそ何されるか分からない」
「でも、別れたら危害は加えないって……」
「くっそ……」
私は紙の差出人(犯人?)の言う通りに、とりあえず表面上では別れたように見せかければ、何とかなると思っていた。
しかし、推し様は嫌だの一点張り。
それと、その紙の差出人は“あのストーカーだ”と言っていた。
その人が、どうやって知ったのかは謎だけど……きっと私の存在も知ってるハズ。
でも、どうして私と推し様が付き合っているって知ってるんだろう。
このマンションに住んでる人?それとも、近くに住んでる人?
どうやって知ったの?もしかして、他の誰かと組んでる?
ぐるぐると頭の中で回っている。
明日、仕事……休もう。
こんな状況のままで、仕事に行けない。
しばらく、どうするか考えないと……
推し様は今日は一段と優しく、だけど強く抱き締めてくれた。
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