好きなんです!

はるの美羽都

文字の大きさ
5 / 12

塩ツン王子の本音 2 (朱乃 奏視点)

しおりを挟む

    俺は、貸したシャーペンのお陰で仲良くなった(?)華夜はなやのことが気になりだした。
華夜は可愛い。俺から見たら、だけど……他のヤツより華夜の方が一番、可愛い。
華夜は相当、俺のことが好きらしい。
俺が告白にケチつけて却下しても、めげずに今でも告白してくる。
その一生懸命さと、俺に一途なところが健気だなぁと思う。
だからって別に遊んでいるわけではないし、ただの暇潰しでもない。
俺は小学校の頃から、好きな子に対して塩ツン対応をしてしまうらしい。
“好きな子には優しくね”と母さんに言われても、俺は真逆なことをして好きな子に嫌われてしまったことがあった。
多分……恥ずかしいんだと思う。好きな子に優しくするのが。
だって、好きな子に優しくしたら……クラスのヤツらに知れ渡って、冷やかされる。
そうしたら、好きな子だって嫌な思いをさせてしまう……そんなのは、嫌だ。
それなら、冷たくして嫌われる方がマシだと今の俺に至る。
親切で律儀な華夜のことを、何故か意識してしまったので急に塩ツン対応にスイッチが入ってしまった。
だから今更、告白を受ける気になれず今でも冷たくしてしまう俺って……
この中学受験で合格したのは、幼稚園からの幼馴染みである、新界しんかい 誠歩まさとだけ。
俺に理解のある幼馴染みは「まぁまぁ……」となぐさめてくれる。
「はぁああ……また、やってしまったああ……」
「まーまー!いつものことだ、仕方ないよ」
「仕方なくねーよ!これじゃあ、小学校ん時と変わんねーじゃんかよ……」
「大丈夫だよ、きっと。華夜さんなら、分かってくれると思うよ?」
「そう、かな……?いや、でもいつか諦めるよ」
「そうかなぁ?華夜さんは、諦めないと見た」
「いやいや」
「まぁ、見てれば分かると思うよ。それに、クラスでもネタみたいになってるし」
「あー、華夜の告白?」
「うん。華夜さんなら、冷やかされても大丈夫そうに見えるけどな。上手く交わせそうだし」
「……」
「まっ、華夜さんのこと知る為にも連絡先ぐらいは、交換しとかないとねー」
「なっ!?」
「俺、華夜さんと委員同じだから連絡先、持ってるけどね」
「何!?」
誠歩って、名前と同じように真面目そうに見えるのに……意外とチャラい!?
「まーまー、華夜さんに聞いてOK出たら、教えようか?」
「いっ、いらねー!」
「てことは、自分で聞くんだね?今でも塩ツン対応なのに、出来るの?」
「うるせー!じゃあ、また明日な!!」
「はぁーい」
笑いながら返事して帰ってった誠歩だけど、まさかアイツがチャラ男になっていたなんて……
恐るべし、中学生デビュー……
でも、今は中学二年だぞ。じゃあ、遅い中学生デビューってことになるのか?
てか、同じ委員だからって連絡することなんてある?
普通ねーだろ!もしかして、アイツも華夜のことを……?
絶対、華夜は譲らない。
俺なんか、受験の時にシャーペン貸した(のちに忘れてたけど)んだぞ!間接触れ合いしたんだからな!
でも、こんなに塩ツン対応してるから俺がOKする頃にはもう、諦めたから好きじゃなくなってたりして……


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

元婚約者が修道院送りになった令嬢を呼び戻すとき

岡暁舟
恋愛
「もう一度やり直そう」 そんなに上手くいくのでしょうか???

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...