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塩ツン王子の本音 2 (朱乃 奏視点)
しおりを挟む俺は、貸したシャーペンのお陰で仲良くなった(?)華夜のことが気になりだした。
華夜は可愛い。俺から見たら、だけど……他のヤツより華夜の方が一番、可愛い。
華夜は相当、俺のことが好きらしい。
俺が告白にケチつけて却下しても、めげずに今でも告白してくる。
その一生懸命さと、俺に一途なところが健気だなぁと思う。
だからって別に遊んでいるわけではないし、ただの暇潰しでもない。
俺は小学校の頃から、好きな子に対して塩ツン対応をしてしまうらしい。
“好きな子には優しくね”と母さんに言われても、俺は真逆なことをして好きな子に嫌われてしまったことがあった。
多分……恥ずかしいんだと思う。好きな子に優しくするのが。
だって、好きな子に優しくしたら……クラスのヤツらに知れ渡って、冷やかされる。
そうしたら、好きな子だって嫌な思いをさせてしまう……そんなのは、嫌だ。
それなら、冷たくして嫌われる方がマシだと今の俺に至る。
親切で律儀な華夜のことを、何故か意識してしまったので急に塩ツン対応にスイッチが入ってしまった。
だから今更、告白を受ける気になれず今でも冷たくしてしまう俺って……
この中学受験で合格したのは、幼稚園からの幼馴染みである、新界 誠歩だけ。
俺に理解のある幼馴染みは「まぁまぁ……」と慰めてくれる。
「はぁああ……また、やってしまったああ……」
「まーまー!いつものことだ、仕方ないよ」
「仕方なくねーよ!これじゃあ、小学校ん時と変わんねーじゃんかよ……」
「大丈夫だよ、きっと。華夜さんなら、分かってくれると思うよ?」
「そう、かな……?いや、でもいつか諦めるよ」
「そうかなぁ?華夜さんは、諦めないと見た」
「いやいや」
「まぁ、見てれば分かると思うよ。それに、クラスでもネタみたいになってるし」
「あー、華夜の告白?」
「うん。華夜さんなら、冷やかされても大丈夫そうに見えるけどな。上手く交わせそうだし」
「……」
「まっ、華夜さんのこと知る為にも連絡先ぐらいは、交換しとかないとねー」
「なっ!?」
「俺、華夜さんと委員同じだから連絡先、持ってるけどね」
「何!?」
誠歩って、名前と同じように真面目そうに見えるのに……意外とチャラい!?
「まーまー、華夜さんに聞いてOK出たら、教えようか?」
「いっ、いらねー!」
「てことは、自分で聞くんだね?今でも塩ツン対応なのに、出来るの?」
「うるせー!じゃあ、また明日な!!」
「はぁーい」
笑いながら返事して帰ってった誠歩だけど、まさかアイツがチャラ男になっていたなんて……
恐るべし、中学生デビュー……
でも、今は中学二年だぞ。じゃあ、遅い中学生デビューってことになるのか?
てか、同じ委員だからって連絡することなんてある?
普通ねーだろ!もしかして、アイツも華夜のことを……?
絶対、華夜は譲らない。
俺なんか、受験の時にシャーペン貸した(のちに忘れてたけど)んだぞ!間接触れ合いしたんだからな!
でも、こんなに塩ツン対応してるから俺がOKする頃にはもう、諦めたから好きじゃなくなってたりして……
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