許婚様は私がお好きらしい。

はるの美羽都

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許婚様

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「ごきげんよう」
「見て、綺羅きら様だ!」
「今日もお美しい……!」
薔薇バラでも振りいてるみたい……!」
「素敵だわ……」
「挨拶も可憐かれんにこなすなんて……」
ファンクラブの会員の方たちが、コソコソと話しておられますわね。
どんなコソコソ話でも聴こえるように、特注の超小型の補聴器を耳に忍ばせているので、とっても聴こえるんですの!
わたくしのお話、もっとたくさん聞かせてくださいな!
ウフウフしながら歩いていると、隣から
「何という、はしたない顔をしているのだ。桜」
と、許婚様が歩きながら注意してきましたわ。
「あっ、篠目しのめ様だわ!」
「篠目様、今日も凛々しいよな……」
篠綺羅しのきら様を、朝から拝めるだなんて……」
「今日は何だか、良いことありそう!」
「今日も、こっそりあがめられておりますわね」
「何の話だ」
「いいえ、何でもありません」
「そうか」
何故かしら。いつも私が登校する度に隣を陣取り、堂々と歩く───
友達が居ないのかしら?(失礼)
だとしたら、とてもかわいそうだわ!(とても失礼)
「あの……ご友人は、いらっしゃるのですか?」
「な……失礼なッ!」

はぁ……
怒られてしまいました。
ファンクラブの方たちには、温かい眼差しをいただきながらクスクスと笑われました。
主席の許婚様だもの。ご友人の一人や二人ぐらい、きっといらっしゃるわよ。
ただ毎日ずっと私の隣を歩いて登校し、下校するものだから許嫁ながらに心配してしまったのです。
私と一緒に登校、下校しても会話なんて業務連絡程度。
「明日も、いつも通りか」
「はい、そうです」
「分かった」 
たった一言、二言で終わる会話。その後は、ひたすら無言。
車で送って欲しいとお父様やお母様にお願いしても、あれこれわけの分からないことを言われて却下。
かなりのお金持ちのりょうさんでさえ、徒歩通学……何故。
前に一度、聞いてみたのですが……
「健康の為だ。護衛も近くに居るから大丈夫だ」
と、サラッと片付けられました。
むぅ、解せぬ。です!しかし、許嫁だからと言って別に怜さんに送り迎えをお願いしているわけでもないのに、気付けばそれが当たり前の日常として存在していました。
許婚様のことを詳しくは知りません。だからこそ、結婚するまでに色々と知りたいなと思っているのです。
地雷を踏まないよう、気を付ける為にも。
ですが多くを語らないし、許婚様がどんな人間なのかも未だに知りません。
知っていることと言えば、ポーカーフェイスで口数少ない、友達が居なさそう疑惑(失礼)、登下校はよほどのことがない限り一緒ってことぐらいですわ。
許婚様の存在を知ってから、高校二年生の現在に至るわけですが……知ったのは高校へ入学してから。
まさか同じ学校を受験していたなんて、全く知らなかったので心底、驚きました。
そして、学校がお休みの時にお見合いのような感じで私と許婚様は初めてお逢いしたのです。
その時も名前と年齢、どこの学校に通っていて趣味や血液型なんかを軽く話して、ちょっとその辺の庭を散策したぐらい。
つまらない人、感情を全く表に出さない人ぐらいにしか思ってなかった。
けれど、この人にも感情はあるんだって思えたことがあって、それからはポーカーフェイスが面白く思えたんですの。
可愛らしいわね、ぐらいにも思えるようになって勝手に楽しませてもらっています。
本人は全く知らないので、口が裂けても言いませんが。




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