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私に拒否権はないそうです
しおりを挟む来る10月は、生徒会役員選挙の時期───
許嫁様である怜さんは、一年生の頃から生徒会役員をしているそうです。
たまに「悪い、今日は一緒に帰れない」
「明日は、学校に用があるから一緒に行けない」
と業務連絡の書かれたメモ用紙が、人伝いに来ることも。
普通に「生徒会で」って、言ってくださればいいのに「用がある」って……何故、隠す。
変に隠されると、なんだか許嫁様がいかがわしいことをしているのでは……?と思ってしまいます。
一年生から生徒会役員をされている怜さんはきっと、生徒会長に立候補することでしょう。
私は遠目から見守ることにいたします。
私は生徒会という、お堅い集団は苦手なのです。
許嫁様のように勉学との両立が容易く出来るのなら、1度ぐらいは経験してみたかったのですが、私のような60点以上を取るのが平均的な人間に生徒会など……
大人しく、遠目から眺めるだけで充分ですわ。
最近、更に成績が下がりつつあるので(宿題そっちのけで紅茶巡りをしていたので……)成績をもっとあげる為にも、もっと勉学に勤しまなくては。
放課後の一人カフェ巡りや、読書、小説サイトにて読み漁ったり、キャッキャッウフウフしたり……
この平穏な日常が、私の幸せだったのに───
「どういうことか、説明を要求します」
「まぁまぁまぁ、綺羅様!」
「あの貼り紙の通りだ。生徒会からご指名など、実に光栄なことなんだぞ」
「私は立候補すらしておりません」
「知っている」
「ならば何故、私が生徒会に入らねばならないのですか!」
「俺が、指名した」
「は……?」
「俺が指名した」って……あの、ポーカーフェイス篠目が!?
って、なに失礼なことを……でも、心の中なら何言っても大丈夫よ。だって、口に出さない限りバレないんですもの!
「桜には会長のサポートを頼む」
「はぃいい!?私は、入るつもりありませんので辞退させていただきます。サポートなら、副会長様に頼めば解決する話では?」
「何だ、その間抜けではしたない声は。さてはお前、うちの学校の生徒会の仕組みを知らないな?」
「はい?」
仕組み?立候補した方の演説を聞いて投票したり、立候補が各役員に1名だった場合は信任・不信任投票をするんじゃなかったかしら。
「うちの学校の生徒会は、ちょっと変わっている」
「はぁ……それはなんでしょうか」
「生徒会長になった生徒は一人だけ、サポートという補佐みたいな役員を指名出来る。これは立候補をしている・していないに関係なく、誰にでもだ」
「先輩や後輩でも?」
「いや、先輩は卒業されるので同学年か、後輩のみだ」
「ならば、後輩の方がよろしいのでは?次期生徒会・会長として勉強させた方が、会長としての株も上がるのではないかと」
「まぁ、普通はそうだな。しかし、俺の場合は違う」
「それは、どういうことでしょう?」
「俺には、お前という許婚が居る」
「それが、何か……?」
「俺は、それを全校生徒に示す必要がある」
「何故!?」
「皆、俺がお前を好いていると思っている」
「はぁ……?何故?」
「だから、俺がお前と共に登下校したり一緒に居るのは……許嫁だからだッ!それ以上に深い意味は、ないッ!」
「あの……分かっておりますよ?私も悠々自適に好きに暮らせるのであれば、怜さんの必要な時には勿論、協力させていただきますし……」
「あ、いや、その……悪かった。大声を出してしまって」
「いえ……ちょっと、びっくりしましたけど大丈夫ですよ」
「それでだ、もしこの指名を辞退することになったら……」
「なったら、どうなるのですか?」
「会長の座を、辞さなくてはならない(嘘)」
「えっ……?」
「なので、指名する側もされる側もこの次期は多少、ピリつく(嘘)」
「そうだったのですか……全くの皆無だったので」
「だろうな。お前は普段通り、暢気に過ごしていたからな」
「あの……もしかして私、貶されてます?」
「いや、そういうつもりはないのだが……頼む。1年間だけ、俺のサポートをしてくれないか」
許婚様に頭を下げられるなんて……
「あの、頭を上げてくださいっ」
仕方ないわ。拒否権など用意されていないようですし……ここは1つ、後の悠々自適ライフの為に働きましょう、ええ。
「分かりました。では、生徒会の任期まで」
「……!ありがとう。必ずや生徒会長になってみせる」
「応援しておりますわ。私に務まるか分かりませんが、出来ることをさせていただきます」
「俺の許嫁なんだから、きっと出来る」
「有難きお言葉ですわ」
生徒会室を後にして、私は鞄を取りに行く。今日も変わらず、許婚様が送ってくれるというので。
************
そして、生徒会総選挙の時期がやってきて……
見事、許嫁様が生徒会長に就任することになりました。まぁ、当然といえば当然なのでしょうけれど、生徒会長からの指名を辞退した場合、生徒会長の座を辞さないといけないことが嘘だったと知った時は、許嫁様と1週間口をききませんでした。
だって、私に嘘をついたんですもの!
でも、良い意味?で捉えるなら……どうしても、私に許嫁様のサポート役をしてほしいということ……とも取れますが、それはどういうことでしょうか。
でも、明日から忙しくなりそうですわ。
優雅に紅茶タイムを取る時間もなさそうですし……ぐすん、我慢ですわ。
その分、お休みの時に存分に味わえば良いのですから!
頑張れ、私!頑張れ、私!
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