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許婚様が私を桜と呼ぶ理由
しおりを挟む私は長年、ずっと疑問に思っていたことを許婚様にぶつけてみようと思います。
何故、許婚様は私のことを「桜」と呼ぶのか。何故、下の名前の「綺羅」じゃないのか。
顔合わせの時は「桜川さん」と呼んでいたのに、いつしか気付けば「桜」と呼ばれていた。
聞こう、聞こうと思っては結局、聞けずじまいだったのでこれを機会に聞こうと帰り道に、許婚様に質問してみました。
すると、許婚様は少し恥ずかしそうに話してくれました。
「俺は花の中で、桜が一番好きなんだ。その好きな花の名前が入っていたのが、名字だったから。顔を合わせて日も浅いのに下の名前で呼ぶのは、何だか気安いような気がしたからだ。まさか、好きな花の名前が入った人に出逢うだなんて、思っていなかったから……」
「でも私は許嫁ですし、気安いということはないと思いますが……」
「俺は、もっとしっかりと相手のことを理解した時に、呼ぼうと思う。それに好きな花の名前を呼べるのは、何かこう……嬉しくてな」
なんでしょうか、このじんわりと温かくなっていく気持ちは。
ときめくというよりは、安心?するような……
とても心地良くて、幸せな気持ちです。
「教えてくださり、ありがとうございます」
「おかしいだろ?」
「はい?」
「好きな花の名前如きで、そんな風に思うのは」
「いえ、そんなことはありません。とても素敵だと思いました」
それなら、もっと桜と呼んでくださいなと言うと「まぁ……その、気が向いたらな」と、素っ気なく言われた。
解せぬ。優しくしたのに、つっけんどんされた……
本当、許婚様のことは分かりません。
ちなみに、私は親愛の心を持って「怜さん」と呼んでおります。
出逢ってから今も、その呼び名は変わっておりません。
まぁ、特に変えようとも思ってはいませんが、せめて優しさを全面に出して欲しいなぁと思います。
ポーカーフェイス過ぎて、優しさだったとしても優しさとは思えない時があるので。
私が言ったところで、何も変わらないのですけれど一応、ダメ元で要求しておきました。
「まぁ……その、善処する」
という前向きな回答が得られたので、とりあえずはヨシとしましょう。
私たちは許婚であり後に結婚するので、これから先は長い。だからこそ、ゆっくりでも少しずつでもお互いを知り、歩み寄れるところは寄って支え合っていけたらな……と高校生ながらに、そう思うのです。
まぁ、許婚様が一体どうお考えで思っていらっしゃるのか、私には存じ上げませんが……
しかし、また許婚様のことを知ることが出来たので、良き1日でした。
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