許婚様は私がお好きらしい。

はるの美羽都

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入れ違い(篠目 怜視点)

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    俺のクラスは、文化祭の模擬店及び出し物で全学年のクラスを抑えて、堂々の1位になった。
その暁に、超人気!ファンタジーランド貸し切りご招待、という褒美をいただいた。
1日遊び放題、記念撮影し放題という素晴らしい褒美に、クラスの奴らは浮かれていた。
確かに、好きな人にはこの上ない褒美だろう。
しかし……そういうところに興味も、好いてもいない俺からすれば、どうやって1日を乗り切れば良いのか全く分からない。
ずっと、土産屋をぐるぐる回るのもどうかと思うし……
せっかく来たのだ、記念に何か1つでも乗っておくか。
食べ物屋もいくつか回っておこう。
桜に見せる為に、いちいちカメラで撮り溜める俺は……何だか女子みたいだな。
「キャーッ!篠目しのめ様が限定スイーツの写真、撮ってる~!」
「えっ、どこどこ!?」
「あっ、お土産屋さんでも真剣な眼差しで吟味ぎんみしていましたわ!」
「私も、同じ物を買おうかしら!?」
「でも、あれは綺羅様へのお土産では……?」
「そうなの!?キャーーッ!素敵……!」
何だか、女子たちの視線が怖いな……
俺は元から、そういうタイプではないぞ。桜に報告する為に撮っているのだから。
「あの……」
「はい!」
「これは、その……桜に報告する為に撮っているものだ」
「えっ」
「だから、俺自身が好き好んで選んで購入しているわけではないので、勘違いしないように」
「あっ、はい!」
「では……」
これでいい。これで、俺への誤解は解けたであろう。
「そうなの!?キャーーッ!」
また、女子の悲鳴(篠目フィルター)が聴こえた。
何故、女子はあんな甲高い声を目いっぱい出せるのだろうか。
男だと、野太い声ならいけるのだが。
女子という生き物が、よく分からない。
そういえば、甲高い声なら桜も頻繁に出しているな。
あんなに声を出して疲れないのだろうか、元気だな。
桜は俺のこと、つまらないと思っていないだろうか……



 ―――俺は大きくなった桜に初めて逢った時、恥ずかしながら一目惚れをした。
それも、生まれて初めての一目惚れだった。
ふわふわしたゆる巻きの髪の毛に、ちょこっとおめかし程度に整えた化粧。
私服もワンピースで、とても桜に似合っていた。
桜は、どちらかというと社交的で誰とでも打ち解けられるタイプだと思う。
例を挙げるとするならば、井栗いぐりだ。
井栗ともすぐに仲良くなれた。それは素晴らしい才能だと思う。
これも桜が可愛くて、優しくて明るいからだ。
俺は桜のように社交的ではない。
人見知りで口数も少ないし、明るくもない。
冷酷な男とまで言われていた。
元々、口数が少なくて人見知りなだけなのに。
勝手にあれこれとイメージや、レッテルを貼られてしまい今更、くつがえすことも面倒だと思って、今の今まで放置して見て見ぬフリをし続けていた。
しかし、桜に出逢ってから……本当の俺を知って欲しいと思った。
だけど、なかなか上手くいかない。桜の前では緊張してしまい、思うように出来ない自分が居た。
何度、反省会をしても直らなかった。
実際に本人を目の前にしてしまうと、頑丈な外面の俺がかぶさってくるのだ。
それでも、桜は俺の隣に居てくれる。優しく「うふふ」と笑って。
こんな女神のような素敵な人、俺には勿体ないとは思ったが俺のような人間に愛想良くしてくれる人間など今後、現れるのだろうか?と思うと、とても不安になった。
なので、許婚にすることにしたのだ。
そうすれば、誰にも取られることなく桜は俺のモノになるだろうと思った。
この考えを弟にすると「すっごい束縛だね……てか、その思考で大丈夫?まぁせいぜい、嫌われないようにしなよ」と言われた。
俺の、桜を誰にも取られたくないって気持ちで許嫁にしたことは、良くないことなのだろうか……
しかし、よく考えてみれば桜にも好みの殿方が居るかも知れないのに、好き勝手に許婚と決めつけて良かったのだろうか。
とても不安で、少し怖かった。
しかし、桜は受け入れてくれた。桜と同じ学校だったのは、本当に偶然だったので神様が俺の味方をしてくれたのだと、勝手に思っている。
せめて、桜の前だけでも感情的になったり外見やイメージとは違う、本当の俺を知ってもらいたいと思っているのだが……卒業するまでには、そうなっているのだろうか?
まぁ、俺が頑張るしかないのだが。
物思いにふけっていると、クラスの女子が「黄昏たそがれ篠目様、素敵っ!」とパシャパシャ写真を撮っていった。
いやぁ、人気者は大変だなぁ!
こんな俺でも今や生徒会長として活躍し、篠目様、会長様と生徒たちから慕われている。
桜の話によると、俺のファンクラブもあるそうじゃないか。
人生、何があるか分からないな。あっはっはっは!……はぁ。

 俺なりにファンタジーランドを満喫し、桜への土産もどっさり購入して翌日、学校へ登校したのだが今度は桜たちのクラスが、メルヘンランドのディナー&パレードの為、公欠だと聞いた。
嘘だろう?まさかの入れ違い……!
土産を大事にして持って来たというのに……
この土産たちは、ロッカーにでも置いておくか。
鍵付きだから、とりあえずは安心だろう。
桜は今頃、どんな服装にしようか迷っているところだろうか?
思いっきり、楽しんできて欲しい。そして、帰ってきたら土産屋話も聞かせて欲しいと思った、俺であった。




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