許婚様は私がお好きらしい。

はるの美羽都

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先輩方の卒業式

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    3月───
先輩方が晴れて、この学校から卒業されます。
わたくしたちの先頭に立ち、いつの時も私たち後輩を引っ張っていってくださいました。
そんな先輩方の想いを胸に、伝統を引き継ぎます。
……なんて、許婚様が言いそうなことを言ってみました!どうでしょうか。
少しは許婚様のような雰囲気に、なれましたでしょうか。
最近は心の中で「許婚様なら、こう言うだろう」という言葉をつぶやく謎の遊びにハマっている、桜川  綺羅です。
許婚様は卒業式で、在校生代表の送辞を読む予定です。
さほど緊張はしていないとおっしゃっていましたが、本番でも素敵なお姿が見られると思うと、私はテンションが上がってしまいますわ!
「怜さん、頑張ってくださいませ」
「あぁ、ありがとう」
許婚様は何故か、私にだけ微笑んでくださいます。
他の女子生徒には、微笑みさえ出さないそうなのですが……一体、何故なのでしょう?
しかし、許婚様が私にだけに見せてくださる表情カオがあるというのは、何だか特別に思えて幸せですわ!
私たちが卒業する時には、許婚様は卒業生を代表して答辞を読む───
最終学年になっても、許婚様は素敵なのでしょうね。
「桜」
「はい」
「少し付き合ってくれないか」
「はい?」
「卒業生の皆様。ご卒業、誠におめでとうございます。卒業生の皆様におかれましては───」
「素敵でしたわ!完璧です」
「そうか、なら良かった」
許婚様は私に送辞を聞かせてくださった、あの1回しか練習されていないそうです。
「緊張感を持つ為だ」
とおっしゃっていましたが、緊張して噛んでしまったり止まってしまいかねないか不安にならないかと聞いても「ならない」と、おっしゃっていました。
文章を考えていく中で何度も読み上げて、変ではないか。おかしくないかと確認するからだそうです。
出来る方は、やはり違いますね。



    ―――先輩方の卒業式、当日。
「綺羅ちゃんにお花を飾ってもらえるだなんて、素敵な想い出だわ」
「そんな!私こそ、先輩にお花を飾れるだなんて光栄ですわ!」
お世話になった先輩方の胸元に、可愛らしいコサージュを飾らせていただく作業も、生徒会の仕事ですわ。
「おい、篠目!」
「何ですか、先輩」
「お前……」
なんで俺より身長がデカくなってんだよ!!と、ある先輩に許婚様は詰め寄られておりました。
「知りませんよ!それは、俺の体に聞いてください!」
「俺よりデカくなりやがって……!」
「俺、運動は苦手なんですよぉおおお!」
最終的には、何故か追いかけられていました。
死に物狂いで許婚様は走っておられましたが、卒業生の担任の先生が目に入った瞬間、歩き出したので先輩の方が怒られておりました。
許婚様は成績はとても優秀なのですが、運動が苦手なので体育では良くて3、悪くて2の成績なのです。
意外ですわよね。私も知った時は意外過ぎて驚きましたが、ギャップに感じて可愛らしいなと思いました。


「ただいまより、卒業式を挙行きょこういたします───」
いよいよ、卒業式が始まりました。
先輩方の姿が見られるのは、今日で最後ですわ。
しかと、目に焼き付けておかなければ……
順調に式が進み、この後は許婚様の送辞です!
「在校生代表、篠目 怜」
「はい!」
「卒業生の皆様。ご卒業、誠におめでとうございます。校門に咲いている桜たちも、ひらりと花びらを踊らせて、先輩方のご卒業をお祝いしていらっしゃいます。卒業生の皆様におかれましては───」
滞りなく、許婚様の送辞が上手くいきました。
次は……前生徒会長の答辞ですわ。
「満開の桜が、私たちの門出を祝っているかのようで、とても温かい気持ちになりました。
私たちは本日をもって、この学園を卒業いたします。今思い返すと、様々な想い出が蘇り───」


「怜さん!」
「桜」
「お疲れ様でした!」
「あぁ、ありがとう」
無事に先輩方の卒業式が終了し、卒業生をお見送りして体育館の片付けもホームルームも終了し、許婚様は一人で生徒会室にいらっしゃいました。
私が来るまでは、前生徒会長様とお話されていたそうです。
「見事な送辞でしたわ」
「そんなに褒めても何も出ないぞ」
「そういうつもりで言ったわけではありませんわ!」
「そ、そうか……それはすまなかったな」
「いえ!」
許婚様と卒業式のお話をしつつ、私たちが卒業式を挙行される時は、どんな後輩に送辞を送られるのだろうか話したり、卒業したら何がしたいのかを話し合ったりしました。
先輩方が引き継いできた伝統と誇りを、これからも私たちが引き継いで後輩たちに良いバトンタッチが出来るように頑張りますわ!
本当に、卒業生の皆様。ご卒業、誠におめでとうございます!
今後ますますのご活躍を、心より願っておりますわ。




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