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2.王都書生編
15.年上の女は侮りがたし也 のススメ
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拘束したレングを連れて、代官所に到着した。
エクリン家の次期当主チャールズがいきなり、御用商人を拘束して登場したので、代官所はパニックになった。代官のゴットンの場所をチャールズさんが役人たちへ聞くも、ゴットンは急ぎ姿を消した後だった。
ここ数日で、獅子の牙で内紛が急に勃発し、タイミングよくチャールズが町に現れ、御用商人が逮捕されたら、次は自分だ、と警戒するのは当然か。
でも、あらかじめ新生「獅子の牙」頭目トビアスに命じてゴットンを見張っていてもらったんだよね。荷物を馬車に乗せ、パルスキーの町を出ようとしたところで、新生「獅子の牙」の20名に囲まれ、あえなく拘束され、代官所まで連行されてきた。
これから、2人に対して、尋問が始まるだろう。罪に問うために、裏帳簿だけでなく、それぞれからの自白もとらないといけない。
チャールズさんが、代官所に踏み込んだ際、ゴットンの姿が代官所になく、皆でゴットンの行方を捜すよう命じた際、俺は、どさくさに紛れて、拘束されていたレングに、こっそり細工をした。全能草の葉を無理やり食べさせ、催眠状態にして、真実をすべて語るように刷り込みを行った。
これで、ゴットンがいくら黙秘しようとも、レングが包み隠さず自白をするので、ゴットンも、自分が、自白しないと不利になる、「囚人のジレンマ」に陥ることになる。結局、ゴットンも包み隠さず自白せざるを得ないだろう。
これで、一件落着。ようやく、パルスキーの町のゴタゴタが片付いた。
安心したところで、エクスがナイスなアドバイスしてくれる。
『主殿よ。町を再建するのじゃろう?復興のためのカネはどうするのじゃ。町を差配するのはカネがかかるからのう。我も昔、魔王領を支配していた時に文官たちとともにカネに苦労したものじゃわ』
なるほど。さすが魔王様。経験からくる言葉は重たい。
チャールズさん、シルフェさん、代官所の役人たちが、まだ慌てて、後始末にあたふたしている混乱に紛れて、レングから不正に蓄えた隠し財産の場所を自白させる。
「真実を話せ。お前の不正に蓄財した隠し財産はどこにある?」
、レングに場所を示させ、転移魔法を使い、急ぎ、レングの屋敷内の蔵から不正蓄財を半分ほどネコババきた。まぁ、たぶん、町の復興に使うつもりだから、勘弁してよね。
とりあえずは、エクスの亞空間に金貨、金の延べ棒、宝石など(俺が一生遊んで暮らせるほどの額)を保管してもらっている。
後日、ジャームスさんとチャールズさんが、レングの隠れ財産の額が、裏帳簿と見事に半分ほど合わないと頭を抱えていたが、気が付かないふりをした。
数日して、シルフェさんは、一旦、第三王女殿下へ復命するために王都へ戻っていった。
途中、途中で、第三王女へ経過を報告していたみたいだけど、ひと段落したので、直に復命してくるとのことだ。「パルスキー不正問題口出し無用及びお漏らし隠匿の盟約」の通り、エクリン家の自浄作用で、町の不正は解決され、手が出せなかった、という報告をしていたとのことだ。
シルフェさんが王都に戻る前、王都での連絡先を交換した。
無事、パルスキーの復興が成り、俺が王都に戻ったら、一緒に食事をする約束をした。
俺に年上の彼女ができるかも、「ウヒヒ!」っと一瞬浮かれたが、シルフェさんの鋭さに、ドキッとさせられた。
「アルフ君がかかわると事が順調に進む過ぎるのよね。違和感がありすぎるわ」
バックスと獅子の牙の仕置きがスムーズに行き過ぎたこと
レングとゴットンの逮捕拘束が電光石火だったこと
逮捕後、レングが素直に自白していること
などなど、いろいろと俺の隠している「力」のことを疑われた。
年上の女は侮りがたし也。
「小役人のススメ」以外の教訓をはじめて胸に刻んだ。
でも、その都度、「オプションB」を発動し、必殺の「論点すり替え」の術でごまかし、まったく疑われていることに気が付かないふりをしてなんとか押し通した。
これで、町の復興にようやく取り組める。
行政大学校の入試の時期を考えると、残り期間の約7か月で、五年前の税収レベルにに戻る道筋をつけないとならない。
我が師匠「小役人のススメ」の知恵を使い、八面六臂の活躍をしてやろう。
参考になる一説は、まずはこれ。
「問を解するは、細まで分け、因を見極めるべし。因を除く策を講じ、後に因と策の一致を責とすべし」とある。つまり、「税収が下がっている原因を細部に分けて特定し、その対策を立て、最後に原因-対策との整合をとれていることを確認しなさい」という意味だ。
繰り返しとなるが、俺の課題は、「税収を5年前のレベルに戻す道筋をつける」
「小役人のススメ」に従い、もう少し細かく考えてみる。
パルスキーの町の税金は、主に次の二種類となっている。
----------------------------------------------------------------
①町の住民にかかる税金
➁商人や宿屋などの事業主にかかる税金
----------------------------------------------------------------
①の町の住民にかかる税金については、税収が下がっている原因として以下が考えらえる。
町の住民が減ってしまっている
町が不景気になってしまい、一人当たりの税収が下がっている
税金が適切に徴収されていない
同様に、➁事業主にかかる税金として、同様に以下が考えられる。
事業主が自体減ってしまっている
町が不景気になってしまい、一事業主あたりの税収が下がっている
税金が適切に徴収されていない
それぞれの原因と対策をとらないとだな。
詳しくは、後で考えるとして、、、、。
それと、後のおおまかな予定を立てるとこんな感じだ。
1週間で実情調査完了
2週間で復興計画の立案
1.5か月で計画実行
4.5か月で、計画の進捗、計画の効果判定と微調整
それで、7か月目で、短期的な効果の判定。
うまくいったことをジェームスさんへ報告し、推薦状を書いてもらい、入試を向かえる。
ということで、まずは、町の状況を正確に把握しないと、だ。
いよいよ、内官のタマゴとしての腕の見せどころだ!
頑張らないと、と俺は気合を入れた。
エクリン家の次期当主チャールズがいきなり、御用商人を拘束して登場したので、代官所はパニックになった。代官のゴットンの場所をチャールズさんが役人たちへ聞くも、ゴットンは急ぎ姿を消した後だった。
ここ数日で、獅子の牙で内紛が急に勃発し、タイミングよくチャールズが町に現れ、御用商人が逮捕されたら、次は自分だ、と警戒するのは当然か。
でも、あらかじめ新生「獅子の牙」頭目トビアスに命じてゴットンを見張っていてもらったんだよね。荷物を馬車に乗せ、パルスキーの町を出ようとしたところで、新生「獅子の牙」の20名に囲まれ、あえなく拘束され、代官所まで連行されてきた。
これから、2人に対して、尋問が始まるだろう。罪に問うために、裏帳簿だけでなく、それぞれからの自白もとらないといけない。
チャールズさんが、代官所に踏み込んだ際、ゴットンの姿が代官所になく、皆でゴットンの行方を捜すよう命じた際、俺は、どさくさに紛れて、拘束されていたレングに、こっそり細工をした。全能草の葉を無理やり食べさせ、催眠状態にして、真実をすべて語るように刷り込みを行った。
これで、ゴットンがいくら黙秘しようとも、レングが包み隠さず自白をするので、ゴットンも、自分が、自白しないと不利になる、「囚人のジレンマ」に陥ることになる。結局、ゴットンも包み隠さず自白せざるを得ないだろう。
これで、一件落着。ようやく、パルスキーの町のゴタゴタが片付いた。
安心したところで、エクスがナイスなアドバイスしてくれる。
『主殿よ。町を再建するのじゃろう?復興のためのカネはどうするのじゃ。町を差配するのはカネがかかるからのう。我も昔、魔王領を支配していた時に文官たちとともにカネに苦労したものじゃわ』
なるほど。さすが魔王様。経験からくる言葉は重たい。
チャールズさん、シルフェさん、代官所の役人たちが、まだ慌てて、後始末にあたふたしている混乱に紛れて、レングから不正に蓄えた隠し財産の場所を自白させる。
「真実を話せ。お前の不正に蓄財した隠し財産はどこにある?」
、レングに場所を示させ、転移魔法を使い、急ぎ、レングの屋敷内の蔵から不正蓄財を半分ほどネコババきた。まぁ、たぶん、町の復興に使うつもりだから、勘弁してよね。
とりあえずは、エクスの亞空間に金貨、金の延べ棒、宝石など(俺が一生遊んで暮らせるほどの額)を保管してもらっている。
後日、ジャームスさんとチャールズさんが、レングの隠れ財産の額が、裏帳簿と見事に半分ほど合わないと頭を抱えていたが、気が付かないふりをした。
数日して、シルフェさんは、一旦、第三王女殿下へ復命するために王都へ戻っていった。
途中、途中で、第三王女へ経過を報告していたみたいだけど、ひと段落したので、直に復命してくるとのことだ。「パルスキー不正問題口出し無用及びお漏らし隠匿の盟約」の通り、エクリン家の自浄作用で、町の不正は解決され、手が出せなかった、という報告をしていたとのことだ。
シルフェさんが王都に戻る前、王都での連絡先を交換した。
無事、パルスキーの復興が成り、俺が王都に戻ったら、一緒に食事をする約束をした。
俺に年上の彼女ができるかも、「ウヒヒ!」っと一瞬浮かれたが、シルフェさんの鋭さに、ドキッとさせられた。
「アルフ君がかかわると事が順調に進む過ぎるのよね。違和感がありすぎるわ」
バックスと獅子の牙の仕置きがスムーズに行き過ぎたこと
レングとゴットンの逮捕拘束が電光石火だったこと
逮捕後、レングが素直に自白していること
などなど、いろいろと俺の隠している「力」のことを疑われた。
年上の女は侮りがたし也。
「小役人のススメ」以外の教訓をはじめて胸に刻んだ。
でも、その都度、「オプションB」を発動し、必殺の「論点すり替え」の術でごまかし、まったく疑われていることに気が付かないふりをしてなんとか押し通した。
これで、町の復興にようやく取り組める。
行政大学校の入試の時期を考えると、残り期間の約7か月で、五年前の税収レベルにに戻る道筋をつけないとならない。
我が師匠「小役人のススメ」の知恵を使い、八面六臂の活躍をしてやろう。
参考になる一説は、まずはこれ。
「問を解するは、細まで分け、因を見極めるべし。因を除く策を講じ、後に因と策の一致を責とすべし」とある。つまり、「税収が下がっている原因を細部に分けて特定し、その対策を立て、最後に原因-対策との整合をとれていることを確認しなさい」という意味だ。
繰り返しとなるが、俺の課題は、「税収を5年前のレベルに戻す道筋をつける」
「小役人のススメ」に従い、もう少し細かく考えてみる。
パルスキーの町の税金は、主に次の二種類となっている。
----------------------------------------------------------------
①町の住民にかかる税金
➁商人や宿屋などの事業主にかかる税金
----------------------------------------------------------------
①の町の住民にかかる税金については、税収が下がっている原因として以下が考えらえる。
町の住民が減ってしまっている
町が不景気になってしまい、一人当たりの税収が下がっている
税金が適切に徴収されていない
同様に、➁事業主にかかる税金として、同様に以下が考えられる。
事業主が自体減ってしまっている
町が不景気になってしまい、一事業主あたりの税収が下がっている
税金が適切に徴収されていない
それぞれの原因と対策をとらないとだな。
詳しくは、後で考えるとして、、、、。
それと、後のおおまかな予定を立てるとこんな感じだ。
1週間で実情調査完了
2週間で復興計画の立案
1.5か月で計画実行
4.5か月で、計画の進捗、計画の効果判定と微調整
それで、7か月目で、短期的な効果の判定。
うまくいったことをジェームスさんへ報告し、推薦状を書いてもらい、入試を向かえる。
ということで、まずは、町の状況を正確に把握しないと、だ。
いよいよ、内官のタマゴとしての腕の見せどころだ!
頑張らないと、と俺は気合を入れた。
応援ありがとうございます!
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