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4.行政大学校イベント編
6.キャンプは夜半の活動で盛り上がりが決まることのススメ
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王都から1-2日の短い距離のため、翌日の旅路も順調だった。
もうすぐ調査区域で、日が傾きかけた時分に予定地付近や近づいた。ここで一旦御者たちと別れ、今日はキャンプを張り、明日早朝からハンターたちと俺たちだけで魔獣分布の調査を行う予定だ。
途中、馬車の中で、ジェシカさんから聞いた話によると、今回「魔獣狩り」が行われる場所は、王都から北東に馬車で2日の距離にある広大な山沿いの一帯となる。魔獣狩りは隔年で少しずつ場所を変え10年で一回りし、元の場所に戻ってくる。
また、今回、魔獣狩りに参加する騎士・兵士はあわせて一旅団。なんと3000名。
数百人程度の規模かと思っていたので、そんな大規模なイベントだと聞き、正直驚いた。
一旅団は500名ずつの六つの「備隊」と呼ばれる連隊で構成されおり、備隊が部隊運用の最小単位となる。備隊には斥候隊、魔法師隊、歩兵隊、輜重隊、騎馬隊(騎士団)などがあり、騎馬隊(騎士団)は備隊における花形で機動部隊として位置づけられている。
俺からすると、敵の機先を制するための斥候部隊が備隊の一番花形だと思うけど、感性は人それぞれだからな。
魔獣狩りの際には、旅団の構成から考えると、備隊ごとで動き、まず斥候部隊が魔獣をみつけ、機動部隊である騎士団が急ぎ包囲・牽制をし、魔法師団が遠隔攻撃で追い詰め弱らせてから、最後は、歩兵隊が直接魔獣をしとめる、のが通常のやり方になるだろう、と想像する。
ということで、参加者合計が一旅団3000名、つまり、500名ごとの備隊が6部隊いる。運用の最小単位が備隊ということなり、魔技研は、魔獣の強さや生息数が均等になるようこの一帯を6つの区画を分け、備隊を配置する陣立てを提案することになる。
早朝、今日から2日間の調査の役割分担の説明がされた。
□ハンターの4名:探知魔法で魔獣の探知を担当する
□ジェシカさん以外の魔技研幹部の3名:探知魔法で魔獣を探知した後の聞き取りと記録係
□ジェシカさん:幹部たちから上がってきた記録を統合・整理し最終版の記録作成
俺は護衛係といってもハンターがいるので、やることがない。
そのため、荷物持ちを買って出た。
一方のシルフェさんは、得意の水魔法で、接近する魔獣がいないかと防御壁を予備展開し魔技研4名と俺を常時護っている。魔王幼女様の変幻自在の魔法制御の教育のおかげで、あまり系統魔法について意識したことはなかったが、水魔法も結構便利なものだな、と心の中で感心する。
ハンター4名は、2名ずつのグループになり、探知魔法をそれぞれ展開しながら、魔獣の生息数を調べていき、記録係の魔技研3名がそれを聞き取り記録する。ジェシカさんは記録係からあがってきた記録を最終確認し、統合化して、ひとつの最終記録をつくりあげていく。
ハンターたちの探知魔法の索敵範囲が狭いことは気になったが、ハンターたち~幹部3名~ジェシカさんまでの連携の素早い熟練の動きに、ある意味感激した。
『なんとも人海戦術の原始的なやり方よのう。我が探知魔法を展開すれば、この一帯など五分で終わるぞ。主殿よ』
エクスの場合はこの一帯というよりも、王都を含めてこの地方全体を一気に探知できるから比較参考にはならないんだけど。
ジェシカさんがまとめた記録を盗み見ると、魔獣の大まかな系統(狼系とか昆虫系とか)と数が記録されていた。危険度のランク付けは、直接は識別できないみたいで、系統別の情報と過去にこの辺りで狩られた魔獣とを比較し、推測で判断するしかないみたいだ。
俺は、魔法を使えることがばれないように、もちろん余計な手出しはしない。
これは徹底する。
俺は、小心者の小者なのだ。
『自分が小心者であることにプライドを持っている分、主殿はたちが悪いのう』
夕刻になり、今日の目標区画の調査は無事完了したようだ。
俺は、単に荷物を運んだだけなので、野営の準備をするハンターたちを手伝う。
フィールドワーク中に妨害され、危害を加えられると聞いた時、同行するハンターが怪しいのではと疑ったが、このハンターたちのリーダーと魔技研とは、6年ほどの付き合いがあり、ハンター達の身元もしっかりしているそうだ。
「アルフレッド君は、最近、研究会にはいったのかい?前回の調査の際はメンバーにいなったよね?」
とハンターの一人のフーバさんが聞いてくる。
30代男性の如何にもやり手ハンターという雰囲気だ。
「はい。最近魔技研に入会させていただき、ジェシカさんから勉強のために同行するよう勧めていただきました」
前回の調査の際もこのハンターたちが同行していて、事前調査の際に怪我人がでていることも知っているはずだが、念のため、当たり障りない返答をしておく。
「魔技研1回生の期待のホープなのよ」
俺がフーバさんと話し始めたら、ジェシカさんが調子のよいことを言ってきた。
今夜も10名で夕食をたべ、ハンターたちが交代で夜番をする。
今日で3回目の夜番となるが、夜番の役割もガイドの料金にはいっているのだろうと想像する。
俺は、いつもどおり、幹部の男性2名と同じテントで横になる。
もちろんいつもどおり熟睡はできないが。
夜中になり、エクスが俺を起こしてくる。
『主殿よ。周辺で使役魔法が発動された気配を探知したぞ』
俺もほぼ同時に使役魔法の気配を感じた。
急ぎ、あたりを探知魔法に隠匿魔法を重ね掛けして展開する。念のため先行させていたトビアス配下の「赤獅子会」のメンバーたちに俺らが野営している地点へ急ぎ集合するように使い魔を送る。
『夜半の活動がキャンプの醍醐味だのう。主殿よ。血が騒ぐのじゃ!』
俺は、キャンプの時は夜半は活動しないものだぞ、と心の中で思ったがエクスが一人盛り上がっているのであえて何も言わなかった。
もうすぐ調査区域で、日が傾きかけた時分に予定地付近や近づいた。ここで一旦御者たちと別れ、今日はキャンプを張り、明日早朝からハンターたちと俺たちだけで魔獣分布の調査を行う予定だ。
途中、馬車の中で、ジェシカさんから聞いた話によると、今回「魔獣狩り」が行われる場所は、王都から北東に馬車で2日の距離にある広大な山沿いの一帯となる。魔獣狩りは隔年で少しずつ場所を変え10年で一回りし、元の場所に戻ってくる。
また、今回、魔獣狩りに参加する騎士・兵士はあわせて一旅団。なんと3000名。
数百人程度の規模かと思っていたので、そんな大規模なイベントだと聞き、正直驚いた。
一旅団は500名ずつの六つの「備隊」と呼ばれる連隊で構成されおり、備隊が部隊運用の最小単位となる。備隊には斥候隊、魔法師隊、歩兵隊、輜重隊、騎馬隊(騎士団)などがあり、騎馬隊(騎士団)は備隊における花形で機動部隊として位置づけられている。
俺からすると、敵の機先を制するための斥候部隊が備隊の一番花形だと思うけど、感性は人それぞれだからな。
魔獣狩りの際には、旅団の構成から考えると、備隊ごとで動き、まず斥候部隊が魔獣をみつけ、機動部隊である騎士団が急ぎ包囲・牽制をし、魔法師団が遠隔攻撃で追い詰め弱らせてから、最後は、歩兵隊が直接魔獣をしとめる、のが通常のやり方になるだろう、と想像する。
ということで、参加者合計が一旅団3000名、つまり、500名ごとの備隊が6部隊いる。運用の最小単位が備隊ということなり、魔技研は、魔獣の強さや生息数が均等になるようこの一帯を6つの区画を分け、備隊を配置する陣立てを提案することになる。
早朝、今日から2日間の調査の役割分担の説明がされた。
□ハンターの4名:探知魔法で魔獣の探知を担当する
□ジェシカさん以外の魔技研幹部の3名:探知魔法で魔獣を探知した後の聞き取りと記録係
□ジェシカさん:幹部たちから上がってきた記録を統合・整理し最終版の記録作成
俺は護衛係といってもハンターがいるので、やることがない。
そのため、荷物持ちを買って出た。
一方のシルフェさんは、得意の水魔法で、接近する魔獣がいないかと防御壁を予備展開し魔技研4名と俺を常時護っている。魔王幼女様の変幻自在の魔法制御の教育のおかげで、あまり系統魔法について意識したことはなかったが、水魔法も結構便利なものだな、と心の中で感心する。
ハンター4名は、2名ずつのグループになり、探知魔法をそれぞれ展開しながら、魔獣の生息数を調べていき、記録係の魔技研3名がそれを聞き取り記録する。ジェシカさんは記録係からあがってきた記録を最終確認し、統合化して、ひとつの最終記録をつくりあげていく。
ハンターたちの探知魔法の索敵範囲が狭いことは気になったが、ハンターたち~幹部3名~ジェシカさんまでの連携の素早い熟練の動きに、ある意味感激した。
『なんとも人海戦術の原始的なやり方よのう。我が探知魔法を展開すれば、この一帯など五分で終わるぞ。主殿よ』
エクスの場合はこの一帯というよりも、王都を含めてこの地方全体を一気に探知できるから比較参考にはならないんだけど。
ジェシカさんがまとめた記録を盗み見ると、魔獣の大まかな系統(狼系とか昆虫系とか)と数が記録されていた。危険度のランク付けは、直接は識別できないみたいで、系統別の情報と過去にこの辺りで狩られた魔獣とを比較し、推測で判断するしかないみたいだ。
俺は、魔法を使えることがばれないように、もちろん余計な手出しはしない。
これは徹底する。
俺は、小心者の小者なのだ。
『自分が小心者であることにプライドを持っている分、主殿はたちが悪いのう』
夕刻になり、今日の目標区画の調査は無事完了したようだ。
俺は、単に荷物を運んだだけなので、野営の準備をするハンターたちを手伝う。
フィールドワーク中に妨害され、危害を加えられると聞いた時、同行するハンターが怪しいのではと疑ったが、このハンターたちのリーダーと魔技研とは、6年ほどの付き合いがあり、ハンター達の身元もしっかりしているそうだ。
「アルフレッド君は、最近、研究会にはいったのかい?前回の調査の際はメンバーにいなったよね?」
とハンターの一人のフーバさんが聞いてくる。
30代男性の如何にもやり手ハンターという雰囲気だ。
「はい。最近魔技研に入会させていただき、ジェシカさんから勉強のために同行するよう勧めていただきました」
前回の調査の際もこのハンターたちが同行していて、事前調査の際に怪我人がでていることも知っているはずだが、念のため、当たり障りない返答をしておく。
「魔技研1回生の期待のホープなのよ」
俺がフーバさんと話し始めたら、ジェシカさんが調子のよいことを言ってきた。
今夜も10名で夕食をたべ、ハンターたちが交代で夜番をする。
今日で3回目の夜番となるが、夜番の役割もガイドの料金にはいっているのだろうと想像する。
俺は、いつもどおり、幹部の男性2名と同じテントで横になる。
もちろんいつもどおり熟睡はできないが。
夜中になり、エクスが俺を起こしてくる。
『主殿よ。周辺で使役魔法が発動された気配を探知したぞ』
俺もほぼ同時に使役魔法の気配を感じた。
急ぎ、あたりを探知魔法に隠匿魔法を重ね掛けして展開する。念のため先行させていたトビアス配下の「赤獅子会」のメンバーたちに俺らが野営している地点へ急ぎ集合するように使い魔を送る。
『夜半の活動がキャンプの醍醐味だのう。主殿よ。血が騒ぐのじゃ!』
俺は、キャンプの時は夜半は活動しないものだぞ、と心の中で思ったがエクスが一人盛り上がっているのであえて何も言わなかった。
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