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5.王権政争救出編

10.面倒な面会は、満腹時の幸福タイムにすることのススメ

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 ここでもやはり、シルフェさんは快適そうだった。

 牢獄の扉をオーファとともに転移魔法ですり抜け、結界内でくつろぐシルフェさんを見る

 「アルフ君。今日も来てくれたのね。ありがとう。うれしいわ」

 「シルフェさん。元気そうでよかったです」

 「昨日とは違う看守たちがまた数人来たけど、結界がビクともしないから、あきらめて帰ったわ。私は、アルフ君に、み、操を立てているから、身がきれいなままであることは覚えておいてほしいの」

 真っ赤な顔して、俺に訴えてくる。今日も可愛いなー。シルフェさん。

 俺は、結界内のシルフェさんの横に座り、オーファの紹介と今日の成果と明日の予定を伝える。

 公爵と魔法契約をしたため、門閥貴族からの嫌がらせはなくなること、明日、第一王子そして法務大臣との交渉が成功したら、無罪放免となり、第三王女のところへ帰れることなど説明した。

 シルフェさんは、公爵との交渉のあたりから、俺に全力で抱き着いてきた。正直、重いし、身体を強くくっつけてくるから息ができず苦しかった。興奮したシルフェさんを落ち着かせるのが大変だったな。まぁ、そんなに歓喜するほど喜んでくれてよかったよ。

 一旦オーファをノーフェースのアジトまで転移魔法で連れ帰り、明朝8時に再度アジトで待ち合わせをした。

 俺?

 俺は、シルフェさんの牢獄へ戻り、シルフェさんと朝まで一緒に抱き合って眠りについた。床を魔法で柔らかくして結界で護っているとはいえ、牢獄だし、シルフェさんが不安だろうから二人でくっついて寝た。ただそれだけだけど、シルフェさんは安心できるようで、すごくうれしそうだった。

 




 朝になり、オーファを迎えに行き、第三王女の監禁部屋に転移する。

 アリアさんはまだ結界内の床に寝ていた。アリアさんは、スカートだったので、白のガーターベルトと白いパンツが見えていたが、オーファの手前、気が付かないフリをする。

 「アリアさん。おはようございます」

 俺が声をかけると、アリアさんは目を覚ました。

 「アルフ君。おはよう。今日も来てくれたのね。昨晩はシルフェと一緒だったのかしら?」

 「えぇ。そ、そうですね」

 俺の照れながらの返答を聞き、アリアさんが「やっぱり!!」、という顔をする。

 「もし、交渉が長引くようならば、結界が護ってくれるといっても、私も不安だし、よければ、今晩は私と一緒に寝てくれないかしら。少しくらいならば、イタズラしてもかまわないわよ」

 アリアさんが俺の反応を試すように、少し小悪魔的な顔をして誘ってくる。

 「皇族になにかしたら、それこそ不敬罪で、死罪となってしまいます。悪ふざけはご容赦ください。アリア様」

 俺は、軽くいなし、あえて、アリアさん ではなく アリア様 と呼んだ。

 「あら。シルフェへの義理立てかしら。固いわね」

 とアリアさんは悪びれる様子もない。
 元々こういうイタズラ好きな人なのだろう、と解釈する。

 『主殿よ。モテ期到来か?クックック。両方と契っておけばよかろうが』

 エクスよ。シルフェさんはともかく、アリアさんに何かのはずみで手なんかだした日には、よくて政治利用され、悪ければ、国中から、不埒者とお尋ね者扱いされてしまうぞ。

 そんなやりとりをしながら、第一王子が少人数になる時間を探知魔法を発動しながら見計らう。





 午後1時くらいになり、ようやく休憩するようだ。王子は、部下を引き連れて執務室から談話室へ移動を開始した。

 周囲に威張りくさって、自分は仕事しない「口だけ番長」ということもなく、意外にまじめに執務に励むのだな、と妙に感心する。

 俺は、第一王子の談話室前に転移する。

 いつも通り、談話室の前には護衛に騎士がいるため、これもいつも通り当て身で2名とも気絶させ、ノックをして優雅に第一王子の執務室へ仮面黒ローブ姿のオーファと共に入る。

 「お初にお目にかかる。第一王子殿下よ。私は、ゲファルナと申すものですじゃ。以後、お見知りおきを」

 と、さも面会の約束があったように挨拶をする。

 「貴様。何者か?」

 第一王子の護衛騎士3名のうち一人が俺に誰何してくる。今、異国の大貴族風に完ぺきに名乗ったのに、と俺はがっかりする。

 「ゲファルナと名乗ったぞ。第三王女殿下の幕下(ばっか)の一人じゃ」

 「なに?アリアの部下だと?」

 ようやく本日の本命の第一王子が口を開く。
 これはチャンスとばかりに俺は第一王子へ話かける。

「そうじゃ。殿下。それと、こちらが第三王女殿下からの紹介状になる。どうぞお改めを」

 俺はアリアさんからの招待状を第一王子の護衛騎士の一人に渡し、騎士は第一王子へ手渡す。

 「アリアが我に命乞いでもしにきたか?すでに大勢は決した。今更遅いわ」

 「殿下よ。まずは第三王女殿下の紹介状をご覧くださらんかのう」

 俺は冷静に、紹介状を読むよう第一王子へ進める。

 「下らぬ。読むまでもないわ」

 やっぱり、拒否してきたか。

 できれば、少し話を引き延ばして第一王子の為人を図りたかったが致し方ない。さっさと本題に入ろう。

 「それは残念なことじゃ。じゃが、我の紹介状は第三王女殿下のみならず、ウルフォン公爵殿からもあるぞ。そのあたりの経緯も第三王女殿下の紹介状にあったのじゃが、致し方なし。我、自ら説明しましょうかのう」

 第一王子の目が怪しく光ったのを俺は見逃さない。

 「ウルフォン公爵だと?」

 「そうじゃ。ベルグ・ウルフォン公爵殿からの殿下への進言状を預かってきておる」

 俺は、再度、第一王子の護衛騎士の一人に渡し、騎士は第一王子へ手渡す。
 第一王子は、今度はウルフォン公爵家の蠟封であることを確かめた後、封を切る。進言状を急ぎ読む。一度読み終わったのち、再度初めから読み返した。

 「バカな!!アリアを見逃せだと。公爵は何を考えているのだ!!」

 第一王子は、怒鳴り声を上げた。

 ランチをまだ食べていないから、気が立っているのかな?

 俺は、腹ペコ激オコ王子を前に、ランチ後の満腹感に浸っている、「幸福タイム」くればよかったかな?と少し後悔した。
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