小役人のススメ -官僚のタマゴと魔王による強国造り物語-

7．フロンティア開発編

11．カネもうけに走りすぎて世俗にまみれることのススメ

　町の機能を一通り説明したところ、第一期の住民全員が両膝をついてきた。

　「私たちは、国王様に感謝の気持ちを忘れず、この国の発展に身を捧げます」

　と国民代表として、シンバが前にでて、俺に感謝の言葉を伝えてきた。

　「うむ」と俺は返事をする。宜しく頼むぞ。みんな。

　もう一度言うが、このエクス・ゲファルナート魔法王国の方針は、２つ。
　一つ：魔法技術を核とした産業化による技術立国
　一つ：周辺国のおける貿易の中心地となる貿易立国

　この方針に沿いながら、今後、国を豊かにするために、次の４つを増やしていくことにある。

　①国民がみんな金持ちになり、使えるお金を増やすこと
　➁周辺国から資金を募って、この国を発展させるための投資資金を増やすこと
　③国王の俺が国としてつかうお金を増やすこと（もちろん税金で払ってもらった分も使うよ）
　④輸出しまくって、周辺国での魔法具の売り上げ額を増やすこと。食料など輸入しないといけない分も差し引いても買いまくってもらうぜぃ。

　しばらくの間は、④のエクス・ゲファルナート魔法王国産の魔法具を売りさばいて国を発展させていくことに軸足をおく。

　俺は周辺国販売用に、ブラックストーン搭載した魔法具を何種類か制作した。

　もちろん、アリアさんやルートン家の邪魔はしないように、フランド王国との共同開発している「サージカルヒール」とは、別の、俺独自の制御機構(スイッチ)を搭載させている。

　これを量産して、値崩れを起こさないように調整しながら、この国の戦略物質として荒稼ぎする予定だ。

　,,,,,,,,アリアさん 、ジュリドさん、すまん。

　この間の嘘で塗り固めたブラックストーンの説明を早くも守れない状況になってしまった。

　今回、制作したのは、複数の系統の魔法をつかっちゃっているよ。 

　新魔法具は、こんな感じだ。商品のネーミングにも力をいれたんだよ。

　□「トイレの王様」：旅路のトイレの魔法具。
→対物、対魔法だけでなく、視界、ニオイや音も遮断する魔法結界を展開できる。
→王族や貴族をターゲットだな。旅路のトイレで身を守るためでなく、別の用途にも使われそうだけど、そこは購入者の好きにしてくれていいよ。

　□「固い契人」：契約魔法の魔法具。
→魔法師がいなくとも、魔法契約が締結できる。
→これは、中規模以上の商人、貴族がターゲットだな。

　□「鉄壁セキュリティ」：探知魔法防壁と逆探知魔法の魔法具。
→探知魔法で痛い腹をさぐられることをブロックできて逆探知を試みる。
→国家や貴族がターゲットだな。

　□「おまかせマップちゃん」：探知魔法と表示魔法の魔法具。
→探知魔法を使い探索し、それを地図に書き起こせる。
→国家、貴族がターゲット。

　その他、もっと便利になる魔法具のアイデアもあったのだけど、いきなりやりすぎるのはよくないと自重した。

　自重した中にどんなものがあったかというと、

　例えば、荷物を簡単に運べる「力もちのもちこ」：浮遊魔法と風魔法の組み合わせの魔法具。
そもそも「浮遊魔法」が魔法師の世界で認知されていないので、国内でこっそり使う以外はやめておこうと思い直した。

　『主殿よ。どうでもよいが、魔法具のネーミングセンスがダサすぎないか？』

　うるさいよ。

　あとは、国内防衛用か今後の同盟国へ秘密裏に戦時用のブラックストーン搭載魔法具も準備しておく。ネーミングはまだこれからだけど。防衛が中心の魔法具だから、このくらい、戦争反対の俺の良心も許してくれるはず。

　□陽（光）魔法による、通信送受信の魔法具
　□陽（光）魔法と水魔法による、光反射で、姿を見えなくする魔法具。姿をくらませて逃げることも、奇襲なんかにもつかえる。
　□陰（重力）魔法と水魔法の組み合わせで対物理、対魔法を受け流す防御壁の魔法具

　周辺国の富裕層が相手なので、魔法具で生活が便利になる対価として、白金貨をいっぱい吐き出してもらうぜぃ！！

　『主殿よ。カネもうけに走りすぎじゃぞ。だが、これで裕福になれば、我も甘味が食べ放題じゃな』

　エクス。お前も魔王のくせに、すっかり世俗にまみれたのう。