王道学園と、平凡と見せかけた非凡

壱稀

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37話

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唯side


はぁはぁ。
ここまで来れば宗史達も追ってこれないだろう!!


俺は後ろを振り向き、今走ってきた方を見て追ってきていないか確認する。


ほんっとに皆心配性だよな!
俺、強いって言ってんのにさ!


沢山「逃走者」を捕まえてそれを証明してやろう、と。俺はむんっと気合いを入れた!
そして、誰がより風紀委員長として相応しいのか。

あんなひ弱で、どこにいるか分からないようなヘイより、強くて統率力もある俺の方が相応しいに決まってる!!

ようっし!暴れてやるぞ!

そうと決まれば、「逃走者」を探さねばと、辺りを見回す。
てか、ここってどの辺りだ?
いつのまにか校舎からは放れ、庭園みたいな所に居た。
花綺麗だな!!


しゃがみこんで、赤やピンクの花をじっと見ていると、目の端に何かが動いたのが見えた。
「逃走者か!?」と、勢いよく立ち上がる。


と、


「…君は誰?」


すっっげぇ美人が居た!!


「誰?」と良いながら首をかしげ、金糸のようなキラキラとした銀色の髪がふわりと肩から落ちた。
雅みたいな美人だけど、もっとか弱そうな美人だ!!!
うわー!うわー!!

「お、俺如月 唯!!お前は!?すっっげぇ美人だな!」

興奮した俺は、ざっざっと急いでそいつに近寄った。
だって、なんか儚げで消えちゃいそうだったから!
名前は!?と、何度も聞くと、そいつは笑って教えてくれた!


「僕は、椚 零一(クヌギ レイイチ)だよ」

「零一だな!!」

よろしく!!と、零一の手をとってぶんぶん降ると、零一はクスクスと笑いながら「よろしく」って言ってくれた!!



そして、俺は新しくできた友達が嬉しくてー…ちょっとだけ油断してたんだ。




「見つけたぜー」

「!?」


声と土を踏む音に振り向くと、10人近くの「逃走者」達がいつのまにか俺達の近くに居た。


…そして、そいつらの俺達を見る目がネッタリとしていて気持ち悪くてー…
俺は零一の手をぎゅって握り締めた。



唯side end



哀留side


皆さんお気づきだろうか。
なんか最近俺の出番少なくなってきてね??今回だってさ、小猿くんから話始まってんだぜ?!

主人公、俺!!

そりゃ、存在感薄いさ!
まぁ、あえて薄くしてんだけどさっ!
ほら、平凡を愛するかrー……誰だ?今「負け惜しみじゃね?」て思った人!!
思った人、正直に挙手しなさい!!


……やっぱりしなくていいです!!
いっぱい挙手上がるのが分かってるからね!泣かないよ!男の子だからねっ!
でも、たまには泣かせてね!!←

だって、よく考えて見てみなさい!
俺が存在感薄いんじゃなくてさ、周りが存在感濃いんだよ!
顔がイケメンって時点で、もう俺負けてるよね。
俺の周り、顔面偏差値高いんだけど。
ドSばっかだし。
勝てるわけないじゃん。


でも、見ていてくれてる人は見ていてくれてるよね?!
ね!?
俺が主人公だって、見ていてくれてるよね!?

頑張れ哀留!
負けんな哀留!!!


グッと拳を作り、気合いを入れて顔の位置まで掲げる!
…ーえ?
何で顔の位置までだって?
気合いの入れ方まで小さいって??


…いやいやいやいや。
天高くまで拳を振り上げてご覧なさいよ…………
隠れてるのが、バレちゃうでしょうが…!!!!←



長い前ふりですいません。
決して、日頃の鬱憤を愚痴っていたわけではありません。
隠れている間、暇だったので仕方なく語っていただけです。


さて、なぜ隠れているかというとー…
小猿くんを見つけてしまったからです←


庭園らしき所の垣根に身を隠したら(決して迷子じゃないよ!)、小猿くんが居てなにやら話していた。
どうやら小猿くんの他にも人がいるようなんだけど…アーチやら立派な花やらが邪魔して見えない。


とりあえず、今下手に動いたら野生の勘を働かせた小猿くんに見つかりそうで、俺は動けずに居たってわけです。
あー…早くどっかいってくんないかなー…



と、垣根に寄りかかってぼけっと空を見ていたら、

「何だよ放せよ!!触るな!!」

小猿くんの甲高い叫びが聞こえてきた。
「え、デカイ1人芝居?」と思いながらこっそりと垣根の間から覗くと…


男達に囲まれた小猿くんが居た。


小猿くんは男達「逃走者」に腕を捕まれ反撃出来ないようで、唯一動かせる口を使いわめき叫んでいた。


……
うむむ。
どうするべ。


正直、囲まれているあの状態はまずいと思う。

例え今競いあっている敵同士であろうと、あの人数に1人はキツいだろう。
喧嘩強いんだぜ!て、良い放っていた小猿くんだけど、拘束されちゃあ手も足も出まい。

しかもアイツラ「逃走者」達は、皆川先輩からのご褒美?があるから、俺達に攻撃する気満々だろうし……。


普通の話の主人公ならば、同然ここで助けに入るだろうよ。
例え、小猿くんが敵だとしても。
例え、向こうが何人いようとも。



……普通の主人公ならば、だ。



え、俺?
無理じゃね?←


見てよ、このか弱い体つきと闘争心の無さ!!!村人Aレベルだよ!


風紀委員長としての立場と意気込みはどうしたかって?
けっ←
風紀委員長でも、出来ないことと出来ないことってあるんだよ!←結局出来ない


でも、このままではまずいとは思うのでー…ゴソゴソと小さなバックを漁る。

せっちゃんのトラウマあるけど、頑張るんだ俺!!
今こそ、男を見せるんだ!!


俺は助けを呼ぶために、トランシーバーのスイッチを入れた。

いや、入れようとしたらー…


「………」

「あ!!!哀留!!!」


ひゃっふーい!
小猿くんに見つかった!←


「なにやってんだよ哀留!!助けろよ!!!!お前らも俺達だけじゃなくて、哀留も捕まえろよ!!」

小猿くんの叫びに、「逃走者」達の視線も俺に移り、ターゲットにされた。


おいおいおいおい!!!!
こら猿!!!
お前が余計なこと言うから、助け呼ぶ暇もなく、俺にまで被害来るじゃねーかぁぁぁぁ!!!!
て、助けろって言っといて、捕まえろよとか…何そいつらに催促してんだよ!!
矛盾してんじゃんか!

何かね!?
自分が捕まってんのに、俺だけ捕まってないとかズルいって話しかね?!
何様なんだよ小猿がぁぁぁ!!!


内心は怒りで激しい突っ込みをしているが、見た目は小鹿のようにプルプルしている俺のようすに、ニヤニヤと笑いを浮かべた奴等が近づいてきた。
その表情が「はっ、チョロいな」って顔してた!
ちくしょう!反論できねぇぇ!!


絶対無理!俺ボコられる!
そう判断した俺は、小猿くんを置き去りにして走り去ろうとした。
俺まで売りやがった奴を助ける義理はない!!
大丈夫!皆も理解してくれる!!


そう決意し、クラウチングスタートを切ろうとした俺の耳にまたもや小猿くんの声が聞こえた。

えー…もう知らないよー…と、聞こえないフリをしようとしたが、


「やめろ!!触るなー!!零一逃げろ!!」


聞き捨てならない名前が聞こえた。
「え、」と急いで見ると、いつの間にか花壇に押し倒されている小猿くんと、もう1人。

男達が邪魔で見えなかったもう1人、捕まっている生徒が見えた。


それは、銀髪のー…


「は、え!何で!??」


俺は我が目を疑った。
え、何でアイツが!?
て、何で小猿くんと一緒に捕まってんの!!?


アイツの姿を見た瞬間、それから俺は無我夢中だった。


逃げ出そうとした足の向きを変えて、男達の方へと駆け出した。
向かってきていた「逃走者」達の間を走り抜けて、途中で目についた物をガッと掴みぶん投げた。

いくらなんでも、この人数に素手はまずい。そんな腕っぷしに自信あるわけではないし。だから俺は手当たり次第に、男達に物を投げた。


そうー…
落ちていたレンガを←


花壇に使うレンガかな?
良い武器(←)を手に入れた俺は、投げる投げる!
「ぶっ!」「あぶねぇぇ!!」とか言いながら避けたりかすったりしている男達と、それで拘束がとかれた小猿くんが反撃をしだした。

口から出任せではなく、本当に小猿くんは喧嘩慣れしているようで、次から次へとバッタバッタと「逃走者」達を倒していく。

その混乱に紛れて、俺は一旦武器(←)を置いて、アイツの元へと駆けた。


「零、大丈夫か!?」

「!大丈夫…!!」


一瞬、零一はビックリしたような表情だったが、声をかけたのが俺だとわかると、ほっとしたように笑んだ。
それを見て俺も息を吐いて、零の手を掴む。

小猿くんがいくら強くて「逃走者」を倒していっていると言っても、今の零をこのままにしてはいられない。


…若干だけど制服が乱れていた。


零の容姿は、美人だ。
睫毛はバシバシ長いし整った顔立ちで、細いし。
下手すりゃ女子よりも美人だったりするその容姿に、奴等が血迷った行動をする寸前だったのかもしれない。
よく見れば、小猿くんも制服乱れてるし(まぁ、小猿くんの場合は今暴れてるって原因もあるだろうけど…)

とりあえず小猿くんには悪いけど、この場から離れないとー…と、零の手を掴み走ろうとしたらグッと引っ張られた。

「え、何?!」と振り向いたら零の困った顔と、そんな零の手を掴む小猿くんが居た。


「どこいくんだよ!??」

「何処って、逃げるんだけど!?」


そう言えば、小猿くんが怒り出した。

「何で逃げるんだよ!!卑怯だぞ!!」


えー…何それー…


とにかく、一刻も早く此処から離れて零を落ち着かせたかった俺は、

「卑怯でも何でもいいから、零の手放して!」

て小猿くんに言ったんだけどー…まぁ、素直に放してくれる訳もなく。
しかもこんな押し問答をしている間にも、「逃走者」の奴等は俺達に攻撃してくる。
それを、俺は零の手を引いて避けて、小猿くんは零のを離さずに反撃する。

あれですよ、小猿くんの攻撃と俺の攻撃にキレたらしく、倒されていない奴等は何としても俺らをボコろうと目を血ばらせています。

正直、小猿くんに注意をひきつけて、その隙に零を連れて逃げようとしてたんだけどー…
だって、小猿くんなら1人でも切り抜けると思ったんだよ。
現に、今もめっちゃ優勢だからね。


なのに、小猿くんはどうやら逃げる事と零を連れていくのが気にくわないらしくー…離そうとしない。
このままじゃあ埒があかない、と。
俺は零に目配せをした。

そして、頷いて了承してくれた零と一緒に俺達は一気に走り出した。

「うっわ!?」

俺と零2人の力で一気に駆け出したから、必然的に小猿くんも走り出す事に。
途中止まられると意味がないから、一気に行く。


後ろから、

「逃げやがった!!」

「追うぞ!」

「餓鬼共がぁぁ!!」

と言う野郎共の怒号と、

「止まれよ!逃げんのか!?」

と喚く小猿くんの叫びが聞こえたが、総無視だ!


てか、小猿くん。
君はどっち側なんだよ!!!



逃げる間もギャアギャア喚く小猿くんに、哀奈直伝の飛び蹴りをかまそうかと本気で思ったけど、俺の中の小さな良心がそれを止めた 。


感謝しろよ!
俺の中の小さな天使に!!←




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