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40話
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哀留side
俺が危うく蓮達に殺されそうになっている間に、松江からルール変更の放送がされた。
『今から、皆川による救済処置をとるでー』
……救済処置?
はて、皆川先輩=救済って言葉が結び付かないぞ?
逆に、破壊じゃね?
俺が思わずそう呟けば、蓮とカナたんも頷いてくれた。
ですよねー。
でも、こっちの疑問などスルーし放送は続く。
そして、マジやめろ馬鹿野郎!と叫んでしまうようなルール変更になっていた。
いや、途中何回も叫んで「聞こえねぇだろド阿呆!」と、蓮に口を手で抑えられました。
その時、鼻も一緒に抑えられたのは偶然だと思いたい。
わざとダメ!!死んじゃう!!
さてさて、まず。
救済処置は、「逃走者」へ。
白か黒の布を巻かれた者は、その後捕獲場所へ連れて行かれ、時間終了までそこから動けないー……だったが、
ここで皆川先輩がその布を外せる権利を持つことになった。
布を外すって事は……
すなわち、再び「逃走者」として復活出来ると言う事。
…て事はさ、布巻いても巻いても外されれば意味ないし。
せっかく今、捕獲場所に集めている奴等も、皆川先輩の手で脱出可能。
下手すりゃ、ふり出しに戻る……
ナニソレ、馬鹿なんじゃねーの?(真顔)
それを止める(阻むには)、皆川先輩をタイムリミットの時間までに足止めするか、本人に捕獲した証の布を巻くしかない…
「……えーー…その2択かよ」
それも、どっちもあの人に接触しないと行動に移せない。
えー………と、思わず遠い目をしていると、
『あ、でもそうやとさすがに可哀想すぎやから、捕獲場所に集めんでも時間終了時点でのチームカラーの色数で勝敗決めるからなー、ほな!』
と言う、軽やかな松江の声でブツリと放送が終わった。
えー………
えー…………
えー……………
え「えーえーうるせぇよ」バシンッ
バイオレンスです。
蓮さんバイオレンス過ぎます!
突然後頭部を、容赦なくぶっ叩かれました!
てか、優しさが足りません。いや、元々優しさがありません!!
「バカかお前は!現実逃避したいじゃないか!させろや!」
めちゃくちゃめんどくさい!てか、皆川先輩怖い!!もう走りたくない(本音)!という現実から逃げても良じゃないか!
そう後頭部を擦りながら振りかえると、
「逃避した所で、現実は変わんねぇだろ。逃げてんじゃねぇよ」
……
やだナニコレ。
男前な台詞ほざきやがった。
これを俺なんかが言ったら、「ぷーくすくす」と笑われ、「キャラ違うし。勘違い乙」と合掌されるだろう。
だがしかし、蓮は顔が良いからこんな台詞言っても「流石です」で済む。
寧ろ、惚れるやつ増えるだろう。
もう、お前それ以上イケメン率上げてどうすんの?競争してんの?
1位になったらなんかメダルでも貰えんの?参加賞の飴とかないの?
…というジト目で見上げたら、
「とりあえず、愛染先輩に連絡つけるぞ。捕獲場所に居る奴等をどうするか決めないとー…」
軽やかにスルーされた。
え、俺空気ですか?
気配消してないぜ?
なんだか悲しくなった俺は、ぐすりと鼻を啜りながら蓮の服の裾を両手でぎゅうっと掴んだ。
そして、
それを力の限り引っ張った。
伸びろ伸びろ伸びろ伸びろ伸びろ…!!!
せめてもの抵抗だ。
どいつもこいつも好きかってしやがって。
俺は体力がないんだよ。
「…おい」
これから、更に走って魔王を阻めと?
ふざけんな、町人が魔王に対抗できるとおもってんのか?
勇者連れてこい勇者を!
「テメェ、」
あぁ、だめか。勇者だけじゃ敵わないから仲間をー………
あ。
ぐいぐいきゅうぎゅうと、蓮の上着の裾を伸ばしていた俺は、そこであることに気づいた。
あ、決して蓮が鬼の形相で俺を見下ろしていることに気づいたんじゃないよ。
むしろ、それは気づいちゃいけないよ。
とりあえず、伸びきってベロンってなった裾を見たカナたんが冷めた目しているけど、結果オーライとして。
俺は、蓮とカナたんに閃いた提案をする。
「魔王には勇者をぶつけよう!」
これを聞いた2人が、仲良く首をかしげた姿がなんだか可愛くて、俺は笑いを堪えるのに必死だった。
(その堪えた顔があまりにも不細工すぎて2人が、引いたのはまた別の話だ)
哀留side end
雪羅side
『ほな!』
ブツリと切れた放送に、俺は髪をかきむしった。
(やってくれんじゃねーか、あのオレンジ野郎)
奴の事だ、どうせ自分がつまんねぇからって変更したルールなんだろう。
こうなれば、全員が皆川に集まる。
「逃走者」は、解放されたくて。
それを追う奴等は、それを阻むために。
「…チッ」
どうすっかなぁ…
タイムリミットまで、此処でこうして捕まえた奴等を留まらせ見張っているか…
手っ取り早く皆川を潰して、他を時間までに狩るか…
まぁ、俺としてはよくぞここまでこの場に留まって居られたなー…と、自分を誉めてやりてぇくらい我慢はしたと思うが…
そろそろ、暴れても問題はねぇだろ…?
…と。
とりあえず、捕まえた奴等は逃げらんねぇように潰しておくか…と、ゆらりと奴等に近付こうかとした時、
「せっちゃぁぁぁぁぁぁあぁあん!!」
「……」
…忘れもしねぇこの耳障りな声は、あのくそチビ。
声がした方へ視線だけを向ければ、案の定こちらに走ってきている。
その後ろには、水沢達がノロノロと付いて来てやがる。
…俺は目をスッと細め、奴に向き直り両手を広げてやる。
いわば、「俺の胸に飛び込んでこい」的なヤツだ。(←自分で言っててイラっとしたが)
それを見たチビは、一瞬目を見開いたようだったが笑みを深めて速度を上げて向かってきた。
その距離が少しずつ縮まり…
5…4…3…2…
1…
「せっ、せっちゃん!そんなに俺に会いたかっ…」
0
ザッ
ビュン!!
ズザザザザー…
「………おや?」
「人生のまぐれを、此処で全部使い果たしたな…」
「チッ!!」
「………カナたん、感心してないで俺を労って!蓮、俺のまぐれは湯水のように沸き出るんだよ!まだいける!(←?)てか、せっちゃん舌打ち違う!!俺に謝ってぇぇぇえ!!!」
地面にずしゃりと寝ながらチビが叫ぶ。
チッ、マジで何なんだテメェは!!
両手を広げた所に走り寄ってきたチビに、俺は距離が0になった瞬間…
広げていた腕を脇に締め、右手に拳を作りチビの腹めがけて突き上げた。
が、それを寸前で避けて、チビはスライディングの如く地面に滑りやがった。
信じらんねぇ…
苦虫を噛んだように顔をしかめ、下に居るチビを見ながら舌打ちする。
「せっちゃん酷い!暴力反対!!俺の胸キュンを返せ!」やらなんやら騒いでいるが、当たり前だろが。
テメェが俺にした仕打ち(トランシーバー事件)の鬱憤くらい、その身に受けろってんだ!
……
しかし、さっきのこいつの動体視力はどうなってんだ?
まさか俺の攻撃が避けられるとは思わなかった…
もしかして、本当は強いのを隠しているのかー…?
と、まだ地面に転がっているチビに、探るように視線を向けると、
「…やべぇ、マジ今のはあたったらリバース確実だった。哀奈に言われた通りに格闘技習ってて良かったー…………
あれ?なんだろう、「平凡フラグが立った!!」って、ク◯ラが立った並のテンションで幻聴が聞こえた。ヤダナニコレ怖い!!」
…………
怖ぇのはテメェだ。
ブツブツと独り言と、キョロキョロと挙動不審に周りを窺いだしたチビ…
あぁ、さっきのは水沢が言った通りに、まぐれを使い果たしたんだろう、と。俺はそう結論付けた。
どうでもよくなった、が正しい。
「あー…、で?何で来た」
そして、面倒くさくなった俺は水沢に視線を向ける。
もはや、このチビとの会話は不可能だ。
…だが、俺のその問いに答えたのは奴だった。
「せっちゃんせっちゃん。いい作戦を思い付いたんだよ!」
キラッキラと目を輝かせ迫って来たチビに、「気持ちわりぃ!」と顔面をガッと掴んだのは仕方がねぇ…
マジでキモい。
雪羅side end
皆川side
(放送終了後)
はは、首尾は上場だな。
俺が伝えた変更を、松江が放送を使い参加者に知らせた。
「逃走者」にとっては有利なルールになり、それを追う側は油断のできない状況になった。
反応は様々で、「逃走者」達は更にやる気を出し殺気だってきた。
追う側…今この場に居る唯達は苦々しく俺を睨んでいる。
あぁ、唯以外の2人がだけどな。
「余計なことをしやがって…」と言う様子がありありと伝わってくる。
はっ、楽しくして何が悪いんだか。
不敵に笑んで鼻で笑ってやる。
すると…やはりと言うかなんと言うか、1人だけ変わらない奴が居た。
「つまり、東がキーマンだから!東を捕まえればいいんだろ!?」
「…うん~、まぁ止めなければならないのは確かだけどぉ~…」
本音を言えば、俺に唯を近づけたくない葉桜だろうが、結局俺が「逃走者」を解放していくんだから、その意見に反対はないらしい。
しかし、キーキーと喚くようにがぜんやる気を出した唯が、俺に執着するのが気にくわないらしい。
嫉妬深い目で俺を睨んでいる。
だが、そんな余裕無いと思うけどな…
俺はこの機会を更に楽しくするために、やらなければならないことがある。
「さてと、じゃあ俺は捕獲場所に居る奴等を解放してこないとな」
「「チッ!」」
これを先ずやらなければ、このルールにした面白みがない。
それを分かっていたのだろう、唯のナイト2人が即座に舌打ちをした。
そして。
それをきっかけに、「逃走者」も動き出した。
「はっ、これで思う存分潰せるなぁ」
「抜け駆けはなしだろ」
「ばっか野郎、早いもん勝ちだろうが!」
例え捕まっても救済処置がある。
これで奴等の枷は完全になくなった。
「くっそが!!」
「唯ちゃん、後ろに下がって!」
「嫌だ!俺が東を捕まえるんだ!!
…お前らどけぇぇぇ!!!」
うぉぉおぉぉお…!!!
と、再び起こった乱闘を後目に、俺はその場に背を向けた。
おそらく他の奴等もこの場か…あるいは哀留の方へと集まり、お互い時間終了まで最後の狩りあいをするだろう。
それに遅れをとるわけにはいかないからなぁ…
さっさとやってしまおうと、ここから近い捕獲場所へと俺は足を向けた。
…しかし、松江の奴。
余計な事を付け加えたな。
あれで、気づく奴は気づく…
果たして誰が「あの事に」気づくか。どちらが勝利を手にするか…
これから起きるであろう出来事に期待した俺は、その時気を緩めていた。
だから、
俺の後を付けていた奴が居た事に……気づかなかった。
(気づいたのはもう少し後)
next
俺が危うく蓮達に殺されそうになっている間に、松江からルール変更の放送がされた。
『今から、皆川による救済処置をとるでー』
……救済処置?
はて、皆川先輩=救済って言葉が結び付かないぞ?
逆に、破壊じゃね?
俺が思わずそう呟けば、蓮とカナたんも頷いてくれた。
ですよねー。
でも、こっちの疑問などスルーし放送は続く。
そして、マジやめろ馬鹿野郎!と叫んでしまうようなルール変更になっていた。
いや、途中何回も叫んで「聞こえねぇだろド阿呆!」と、蓮に口を手で抑えられました。
その時、鼻も一緒に抑えられたのは偶然だと思いたい。
わざとダメ!!死んじゃう!!
さてさて、まず。
救済処置は、「逃走者」へ。
白か黒の布を巻かれた者は、その後捕獲場所へ連れて行かれ、時間終了までそこから動けないー……だったが、
ここで皆川先輩がその布を外せる権利を持つことになった。
布を外すって事は……
すなわち、再び「逃走者」として復活出来ると言う事。
…て事はさ、布巻いても巻いても外されれば意味ないし。
せっかく今、捕獲場所に集めている奴等も、皆川先輩の手で脱出可能。
下手すりゃ、ふり出しに戻る……
ナニソレ、馬鹿なんじゃねーの?(真顔)
それを止める(阻むには)、皆川先輩をタイムリミットの時間までに足止めするか、本人に捕獲した証の布を巻くしかない…
「……えーー…その2択かよ」
それも、どっちもあの人に接触しないと行動に移せない。
えー………と、思わず遠い目をしていると、
『あ、でもそうやとさすがに可哀想すぎやから、捕獲場所に集めんでも時間終了時点でのチームカラーの色数で勝敗決めるからなー、ほな!』
と言う、軽やかな松江の声でブツリと放送が終わった。
えー………
えー…………
えー……………
え「えーえーうるせぇよ」バシンッ
バイオレンスです。
蓮さんバイオレンス過ぎます!
突然後頭部を、容赦なくぶっ叩かれました!
てか、優しさが足りません。いや、元々優しさがありません!!
「バカかお前は!現実逃避したいじゃないか!させろや!」
めちゃくちゃめんどくさい!てか、皆川先輩怖い!!もう走りたくない(本音)!という現実から逃げても良じゃないか!
そう後頭部を擦りながら振りかえると、
「逃避した所で、現実は変わんねぇだろ。逃げてんじゃねぇよ」
……
やだナニコレ。
男前な台詞ほざきやがった。
これを俺なんかが言ったら、「ぷーくすくす」と笑われ、「キャラ違うし。勘違い乙」と合掌されるだろう。
だがしかし、蓮は顔が良いからこんな台詞言っても「流石です」で済む。
寧ろ、惚れるやつ増えるだろう。
もう、お前それ以上イケメン率上げてどうすんの?競争してんの?
1位になったらなんかメダルでも貰えんの?参加賞の飴とかないの?
…というジト目で見上げたら、
「とりあえず、愛染先輩に連絡つけるぞ。捕獲場所に居る奴等をどうするか決めないとー…」
軽やかにスルーされた。
え、俺空気ですか?
気配消してないぜ?
なんだか悲しくなった俺は、ぐすりと鼻を啜りながら蓮の服の裾を両手でぎゅうっと掴んだ。
そして、
それを力の限り引っ張った。
伸びろ伸びろ伸びろ伸びろ伸びろ…!!!
せめてもの抵抗だ。
どいつもこいつも好きかってしやがって。
俺は体力がないんだよ。
「…おい」
これから、更に走って魔王を阻めと?
ふざけんな、町人が魔王に対抗できるとおもってんのか?
勇者連れてこい勇者を!
「テメェ、」
あぁ、だめか。勇者だけじゃ敵わないから仲間をー………
あ。
ぐいぐいきゅうぎゅうと、蓮の上着の裾を伸ばしていた俺は、そこであることに気づいた。
あ、決して蓮が鬼の形相で俺を見下ろしていることに気づいたんじゃないよ。
むしろ、それは気づいちゃいけないよ。
とりあえず、伸びきってベロンってなった裾を見たカナたんが冷めた目しているけど、結果オーライとして。
俺は、蓮とカナたんに閃いた提案をする。
「魔王には勇者をぶつけよう!」
これを聞いた2人が、仲良く首をかしげた姿がなんだか可愛くて、俺は笑いを堪えるのに必死だった。
(その堪えた顔があまりにも不細工すぎて2人が、引いたのはまた別の話だ)
哀留side end
雪羅side
『ほな!』
ブツリと切れた放送に、俺は髪をかきむしった。
(やってくれんじゃねーか、あのオレンジ野郎)
奴の事だ、どうせ自分がつまんねぇからって変更したルールなんだろう。
こうなれば、全員が皆川に集まる。
「逃走者」は、解放されたくて。
それを追う奴等は、それを阻むために。
「…チッ」
どうすっかなぁ…
タイムリミットまで、此処でこうして捕まえた奴等を留まらせ見張っているか…
手っ取り早く皆川を潰して、他を時間までに狩るか…
まぁ、俺としてはよくぞここまでこの場に留まって居られたなー…と、自分を誉めてやりてぇくらい我慢はしたと思うが…
そろそろ、暴れても問題はねぇだろ…?
…と。
とりあえず、捕まえた奴等は逃げらんねぇように潰しておくか…と、ゆらりと奴等に近付こうかとした時、
「せっちゃぁぁぁぁぁぁあぁあん!!」
「……」
…忘れもしねぇこの耳障りな声は、あのくそチビ。
声がした方へ視線だけを向ければ、案の定こちらに走ってきている。
その後ろには、水沢達がノロノロと付いて来てやがる。
…俺は目をスッと細め、奴に向き直り両手を広げてやる。
いわば、「俺の胸に飛び込んでこい」的なヤツだ。(←自分で言っててイラっとしたが)
それを見たチビは、一瞬目を見開いたようだったが笑みを深めて速度を上げて向かってきた。
その距離が少しずつ縮まり…
5…4…3…2…
1…
「せっ、せっちゃん!そんなに俺に会いたかっ…」
0
ザッ
ビュン!!
ズザザザザー…
「………おや?」
「人生のまぐれを、此処で全部使い果たしたな…」
「チッ!!」
「………カナたん、感心してないで俺を労って!蓮、俺のまぐれは湯水のように沸き出るんだよ!まだいける!(←?)てか、せっちゃん舌打ち違う!!俺に謝ってぇぇぇえ!!!」
地面にずしゃりと寝ながらチビが叫ぶ。
チッ、マジで何なんだテメェは!!
両手を広げた所に走り寄ってきたチビに、俺は距離が0になった瞬間…
広げていた腕を脇に締め、右手に拳を作りチビの腹めがけて突き上げた。
が、それを寸前で避けて、チビはスライディングの如く地面に滑りやがった。
信じらんねぇ…
苦虫を噛んだように顔をしかめ、下に居るチビを見ながら舌打ちする。
「せっちゃん酷い!暴力反対!!俺の胸キュンを返せ!」やらなんやら騒いでいるが、当たり前だろが。
テメェが俺にした仕打ち(トランシーバー事件)の鬱憤くらい、その身に受けろってんだ!
……
しかし、さっきのこいつの動体視力はどうなってんだ?
まさか俺の攻撃が避けられるとは思わなかった…
もしかして、本当は強いのを隠しているのかー…?
と、まだ地面に転がっているチビに、探るように視線を向けると、
「…やべぇ、マジ今のはあたったらリバース確実だった。哀奈に言われた通りに格闘技習ってて良かったー…………
あれ?なんだろう、「平凡フラグが立った!!」って、ク◯ラが立った並のテンションで幻聴が聞こえた。ヤダナニコレ怖い!!」
…………
怖ぇのはテメェだ。
ブツブツと独り言と、キョロキョロと挙動不審に周りを窺いだしたチビ…
あぁ、さっきのは水沢が言った通りに、まぐれを使い果たしたんだろう、と。俺はそう結論付けた。
どうでもよくなった、が正しい。
「あー…、で?何で来た」
そして、面倒くさくなった俺は水沢に視線を向ける。
もはや、このチビとの会話は不可能だ。
…だが、俺のその問いに答えたのは奴だった。
「せっちゃんせっちゃん。いい作戦を思い付いたんだよ!」
キラッキラと目を輝かせ迫って来たチビに、「気持ちわりぃ!」と顔面をガッと掴んだのは仕方がねぇ…
マジでキモい。
雪羅side end
皆川side
(放送終了後)
はは、首尾は上場だな。
俺が伝えた変更を、松江が放送を使い参加者に知らせた。
「逃走者」にとっては有利なルールになり、それを追う側は油断のできない状況になった。
反応は様々で、「逃走者」達は更にやる気を出し殺気だってきた。
追う側…今この場に居る唯達は苦々しく俺を睨んでいる。
あぁ、唯以外の2人がだけどな。
「余計なことをしやがって…」と言う様子がありありと伝わってくる。
はっ、楽しくして何が悪いんだか。
不敵に笑んで鼻で笑ってやる。
すると…やはりと言うかなんと言うか、1人だけ変わらない奴が居た。
「つまり、東がキーマンだから!東を捕まえればいいんだろ!?」
「…うん~、まぁ止めなければならないのは確かだけどぉ~…」
本音を言えば、俺に唯を近づけたくない葉桜だろうが、結局俺が「逃走者」を解放していくんだから、その意見に反対はないらしい。
しかし、キーキーと喚くようにがぜんやる気を出した唯が、俺に執着するのが気にくわないらしい。
嫉妬深い目で俺を睨んでいる。
だが、そんな余裕無いと思うけどな…
俺はこの機会を更に楽しくするために、やらなければならないことがある。
「さてと、じゃあ俺は捕獲場所に居る奴等を解放してこないとな」
「「チッ!」」
これを先ずやらなければ、このルールにした面白みがない。
それを分かっていたのだろう、唯のナイト2人が即座に舌打ちをした。
そして。
それをきっかけに、「逃走者」も動き出した。
「はっ、これで思う存分潰せるなぁ」
「抜け駆けはなしだろ」
「ばっか野郎、早いもん勝ちだろうが!」
例え捕まっても救済処置がある。
これで奴等の枷は完全になくなった。
「くっそが!!」
「唯ちゃん、後ろに下がって!」
「嫌だ!俺が東を捕まえるんだ!!
…お前らどけぇぇぇ!!!」
うぉぉおぉぉお…!!!
と、再び起こった乱闘を後目に、俺はその場に背を向けた。
おそらく他の奴等もこの場か…あるいは哀留の方へと集まり、お互い時間終了まで最後の狩りあいをするだろう。
それに遅れをとるわけにはいかないからなぁ…
さっさとやってしまおうと、ここから近い捕獲場所へと俺は足を向けた。
…しかし、松江の奴。
余計な事を付け加えたな。
あれで、気づく奴は気づく…
果たして誰が「あの事に」気づくか。どちらが勝利を手にするか…
これから起きるであろう出来事に期待した俺は、その時気を緩めていた。
だから、
俺の後を付けていた奴が居た事に……気づかなかった。
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※11/12に10話加筆しています。
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