王道学園と、平凡と見せかけた非凡

壱稀

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46話

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やっと終わった…………



俺の心は、本当にこの言葉に尽きた。


ふへー…
と、しゃがみ込んでいると、周りが我を取り戻したのかざわざわしだした。


「っだこれ?!!」

「くさ!墨だこれ!!」

「……目、目にはいったぁぁぁあ!!!」

「うえっ」



うん。
カオス!!!(いい笑顔で)



何を隠そう、俺が準備してバケツに入れてたのは墨。
それを、俺はこの場にぶちまけた。
逃走者達に向かって。


なんでかって?
それh「オイ!!!!!!!!!!哀留!!!!なんだよこれ!!黒いの俺にもついただろ!!!??謝れよ!!!!!」


うぇーーーい…

ずかずかと、ぎゃんぎゃん喚きながら近付いてくる小猿くん。
ちょ、落ち着こうか。

全てから解放された今、俺のHPはゼロに近いぞ。


どーしよっかなー………と、動けずに居ると。


「止まれ」

「喚くな」

「近寄らないでくれますか」


蓮・せっちゃん・カナたんが小猿くんの前に立ちはだかってくれた。
まるで、俺を護るように。


え、なにこれ……
トゥンク←

胸がときめく音がした…



やばいこれ、疲れからの優しさにときめくとか…これが俗に言う、つりせん効果か?!←


3人の背中を見ながら、今回の事で俺の中で何かが芽生えー……………




















るはずもない!!!!!
フラグなんぞたててなるものかっっっ!!!!
あっぶねーあっぶねー!!!!
「チッ!!」って、どっかの腐女子の舌打ちが聞こえたような気がするけども、幻聴に違いない!!



俺がフラグと戦っているとき、小猿くんは大好きなイケメンに立ちはだかれ、ぐぬぬと呻いたが…今度は癇癪を起こしだした。

俺がイケメンに庇われてんのが気に食わんのだろう。
ギャースカギャースカと騒ぐ様に、俺らは耳をふさぎ。信者達はあたふたしながらそれを宥める。


……もう、マジで一旦黙ってくれぇー…… 



すると俺のその願いが届いたのか、またもや『ピンポンパンポーン』と音が鳴り響いた。


『えー…なんや一人白熱しとるみたいやけど、出場者は講堂に集合!





結果発表するで』



松江だ。



いよいよ…………


決着がつく。














in講堂



講堂に戻った俺らがぞろぞろとステー上に上がると、歓声と拍手。
生徒たちには、中々に楽しんで貰えたようだった。


あ、因みに逃走者達は。
俺らが移動しだしたときに、皆川先輩に呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンした黒服の大人達(マジで何者??)に全員どこかに連れて行かれました。

ほんとさ、皆川先輩に良いように使われた挙げ句に墨とかぶっ掛けられて、結局賞金もナシで……最後はガクブルしながら謎の大人達に連れて行かれて…何と言って良いのやら。
彼らの後ろ姿を見て、おもわず目頭を押さえてしまった。
強く生きてくださいー…(合掌)



ふっと、先ほどの光景を思い出して遠い目をしていたら、正面からガッと強い衝撃が来た!!!


ふわりと、目の前に広がる金髪と茶髪。 
ぎゅうっっと、温もりに包まれた。


こんなことをするのはあの2人しか居なくてー…


「…円、ひぃりん」


そっと名を呼び、頭をふわふわと撫でればぐももった声が聞こえた。


「哀ちゃん…哀ちゃん!!!」

「お疲れ様でした委員長!!!!」


「……うん」


なんだか、胸がほんわりとした。
顔を上げた2人は、今にも泣き出しそうな…ホッとしたような顔をしていた。
あぁ、大分心配をかけてしまったのだろう…
そんな2人に俺は大丈夫だから…と、少しでも安心して貰えるようにと笑った。



すると、円とひぃりんの顔がぼっと赤くなる。
ん??
何?


「っ、哀ちゃんかw「お3人方ーもうええかー??時間つまっとるんやけどー」
 

松江の呆れたような声に振り向くと、講堂内全員の視線を集めていた。

生徒達からは罵詈雑言。
ステー上の奴等からはシラケた視線(1人だけ嫉妬の視線)。
…………………………
いやん(棒読み)




その後。
当たり前の如く蓮にどつかれ、中央に立たされた。
痛い。
どつくの、当たり前にしないで欲しい…
中央に俺と松江と小猿くんの順で並び。
その後ろに、俺側には風紀が。
小猿くんの側には生徒会が並ぶ。
チラリと見ると、生徒会役員達から離れたところに立つ、月ちゃんと目が合った。

労うように微笑まれて、俺もへらりと笑う。
ありがとう。





「えー、では。とりあえず皆さんお疲れさんしたー!」

マイクのスイッチを入れ、松江が喋りだす。


いよいよ、決着がつく。
ごくりと固唾をのむ面々。
そのせいか、生徒達も大人しく、松江の言葉を聞き入っていた。


「それでは、ちゃっちゃと結果発表-と、いきましょか!」


すると。ぱっと、講堂内の電気が消えて、松江だけにスポットライトが当てられた。
そして、どこからともなくドラムロールが流れ、


「この度の勝負の勝者はーーーーー………




























桐生哀留率いる、風紀委員会ーーー!!!!!!」


松江のその言葉と同時に、パッとスポットライトが俺達にあたり、講堂内が生徒達の歓声で響いた。


「やったねぇー哀ちゃんー!」

「本当凄いっす!!」


またもや勢いよく飛びつかれ、円とひぃりんにぎゅうぎゅう締められ。

締められながらもチラリと、蓮とせっちゃんとカナたんを見れば、円達みたいに喜びを表に表す奴等じゃ無いけどもー……3人もなんだかんだホッとした様子だった。



てかさ!
勝ったんだから、喜ぼうぜ!!


「へいへい!」と、円達に抱きつかれながらも、大袈裟にハイタッチの要領で手の平をだせば、
蓮は、結果が当然だろうと言った様子で。
せっちゃんは偉そうに。
カナたんは苦笑しながらも。




俺達は、バチンと、手の平を合わせた。





生徒達からの歓声のその中には、俺への中傷も叫ばれているが、心なしか…心なしか(大事なので2回言いました)、この勝負が始まる前よりは少ないような気がする…… タブン

盛大な拍手と、蓮達への賛辞の歓声を聞きながら、俺は心底ホッとした。



よかったぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー………………
これで、風紀委員長が小猿くんとか、学園崩壊は免れたわけで。
俺も小猿くんの鼻を明かした事で、あのお菓子の恨みを少しは晴らせたもので…



てか、この勝敗は絶対最後のあれのおかげだわ。
うん、あれに気づいた俺って天才!!!
と、俺は自画自賛していた。
もちろんこれは、風紀委員室にもどったら、皆に自慢して皆に「哀留様天才ーー!!!」って言いながら、土下座して貰うけどなっ!



鳴り止まない拍手のなか、グフフフと不気味な笑いをしているとー…




「…………こんなの嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」 


キィーーーーン。



「っ………!!!」


いつの間にか松江のマイクを奪ったのか、小猿くんが叫んでいた。


ちょ………
おま、マイクでその声の音量はアカン。

その場にいた全員が耳を押さえて崩れ落ちた。
鼓膜破れんぞ!まじで!!



だが、ここはさすがの小猿くん。
うん、空気読まんよね!
案の定、次々に自分の意見を叫びだす。


「こんなの間違ってる!!!!!!俺が哀留に負けるなんて嘘だ!!!!!逃走者の数は、俺達の方が多かったぞ!!!!!紅、なんでそんな意地悪言うんだ???!!!!あっ!!!!哀留にそう言えって、脅されたのか!!!!!!?そうなんだな??!!最低だぞ哀留!!!!」 


キィーーーーーン。



何でそうもおかしな思考回路をしてるんだ?!
俺が脅した??!
アホか!!!!!!
そして。
マ、マイクを使わないでくれ………!!! 
お前の声量はマイクいらずだ!
見ろ!お前の信者達も後ろで崩れ落ちてるぞ!!! 


だが悲しいかな……
小猿くんはそんな周りの様子に気づかず(いや、気付よ!!)、全員が崩れ落ちてる為そんな小猿くんを抑えれる者が居らず。
それに気を良くした小猿くんは、お構いなしに次々に自分論を語りだす。




だ、だれか、救世主をーーー…………

かくなる上はー…と、俺が上履きに手を伸ばした瞬間(←小猿くんにぶん投げようと思います)






「こーら、唯ストップ」




ゆっるい声で、救世主が現れた…!!!


今回の対決の発案者。
愉快犯。
皆川先輩が!!!





………………



この人が救世主で良いのか??!!


なんか腑に落ちないながらも、小猿くんからマイクを取り上げる皆川先輩を皆が見つめる。
とにかく…グッジョブ!!


皆川先輩に、後ろから緩く抱きしめるようにされている小猿くんは、「な、何するんだよ?!」とか言いながらも満更では無いようで…頬を染めていた。


うげろ←


おっと、失礼←←



そして、無事にマイクを取り上げた皆川先輩に、小猿くんはここぞとばかりに甘える。
発案者だからね!
自分を好いているであろう先輩に甘えて、今回の結果を覆そうとしてる。


「なぁなぁ東!!今回の結果間違ってるだろ?!!明らかに俺達の方が勝ってたのにー……何で哀留が勝ちなんだ??!哀留が何かズルしたんだろ??!」


きゅっと腕に抱きつき、上目遣い。
顔だけは可愛いからね!自分の魅せ方をよく知っている感じだな、ありゃ。





あ、今更だけども。
小猿くんは、普通の?アンチ王道?とはちょーっと違うのさ。
なんだっけ?王道くんって、自分の容姿に無自覚・無頓着で、キュンッとする行動も無自覚でして、周りを惹きつけるんだっけ?
天然?
んで、顔で選んでも無いけども美形との関わりを持っちゃって好かれちゃう的な?
(哀奈からの知識より)



んでも、小猿くんは違う。


明らかに、周りが思っている自分の容姿を自覚していて、この学園ではそれが有効になるのを自覚している。
関わる奴等も、美形を選んでる。
「顔で選ぶな!」とか言っときながらね。
美形を侍らせて満足してる感じで、自分が気に入る奴は手元におきたい。


だから、俺が邪魔なんだよな。


いつもなら自分より格下で容姿も普通の俺が、風紀委員長って言う肩書きで。
(言うのも悔しいけども)蓮達美形連中に囲まれ。
あまつさえ、掌握したはずの生徒会の月ちゃんも俺の味方で。
蓮達も、自分に靡かない。



いつだっけなー……

あぁ、確か月ちゃんと小猿くん達と生徒会室で鉢合わせしたときだったかな?
あんとき、すんげー形相で睨まれたの。


あの時に確信したんだけどもね。
哀奈から得た知識(認めたくも無いけど!!)とは違う、アンチ王道くんだなーって。

んで。
自分の容姿も自覚してるから、今も可愛らしさを最大限に使って皆川先輩に甘えてる。


後ろに居る小猿くん信者達は、皆川先輩に嫉妬してる。
小猿くん「が」色仕掛け?してるって、気づかんのかね?
あーやだやだ。




そして。
甘えられてる皆川先輩は、蕩けるように笑みを浮かべた。

その表情を見て、ぱぁっと機嫌が浮上する小猿くん。



……………




いやいやいやいや、あの顔はアカンヤツやー……



風紀委員一同は悟った。



「あ、小猿(くん)詰んだな」………と。





だってね…
蕩けるような笑みを「口元に」浮かべててもー…


目が笑ってないんだよね………





あれは皆川先輩が、

「飽きた」

時の表情だった。







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