王道学園と、平凡と見せかけた非凡

壱稀

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54話

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勢いよく開いた扉からは、3人が雪崩込むように入ってきた。


「ふ、副委員長!今メールが…!」


「委員長からー……!!来いって!!」


「あのチビが居るのか?!」



カナたん、ひぃりん、せっちゃんが、騒ぎながら蓮に詰め寄る。



あぁ、なんて懐かしい光景…!(思い出に浸る)



必死に、俺の所在を確かめる3人の様子に……


俺は心が温かくなった。


俺からの連絡に居ても立ってもいられず、退学処分になったのにも関わらず確かめに駆けつけて来てくれるだなんてー………





お前ら、本当に俺のことが好きなんだねっっ!!!!(照)




にやにやにやにや。
溢れるほどの嬉しさに、にやつきが止まらない。
(俺ってば、やっぱり人気者じゃん!!!)←




…………と。




「「「……………………」」」


「……………………?」



ん?
あれ?


なんか、3人がこっちを凝視している。


蓮の胸ぐらを掴んでいるせっちゃんなんか、こっちにガン飛ばしてるよ?
なんで?




………………………


あぁ、そっか!!!!



会いたかった俺が居て、驚いてるんだね?!
両手広げて、感動の再会と行こうか!!!



バッと、満面の笑みで両手を広げる。
寂しい思いをさせてごめんね。
さぁ、感動の再会をー…………




「……………ヲイ、アレはなんだ」


「……なんで、あんなのが此処に居るんですか?」


「…………変質者?」





……………………






「アレ」「あんなの」「変質者」。
どうやら、それは俺に向けて言われている事らしい。
ん?なんで??
なんで、あんなに軽蔑・怒気・不信な目で見られてんの??



広げていた両手を所在なさげにプラプラと揺らしていると、3人の側に居る蓮が自分の「頭」と「目」に指を指しているのに気づいた。




頭と目ー………………




……………………


……………………………














あぁぁぁ!!!!!!
そうそうそうそう。


3人が入ってきた瞬間、咄嗟に頭に乗せたんだった!!!

髪の毛を!!←その前に瓶底眼鏡は付けてたよ!


そっか、そっか。
だから俺って気付かないのか。
そりゃそうだよな!


部外者立ち入り禁止の、風紀委員室の端っこに、モジャ毛の瓶底眼鏡が居たらそりゃそうだよな!
お前誰だよ状態だよな!!


ごめんごめん、俺(哀留)が居るかもって期待して来たのに、こんな格好でごめんな。
大丈夫!この姿には理由があってー……でも本当の姿は、皆大好き哀留君だよー!!!!←




「やぁ、みn「とりあえず潰す」……………」



………………んん?



バキボキと、指を鳴らして近付いてくる般若……基せっちゃん。


と。


こちらを軽蔑な視線で睨んでいるカナたん。


と。


携帯を握りしめて、今にも泣きそうに表情を歪めてきょろきょろと何かを探す、ひぃりん。



おまけに、


呆れた表情で完全なる傍観者に徹している、蓮。




…………


え、どっから突っ込んだ方が良い??!!!

今はアレだ!!!身の危険を感じるせっちゃんを止めねば!!!
ちょっと、マジで、落ち着こうか!!!!


 「ちょっちょっつ!!落ち着け、話し合おう!!!!その、指バキボキ鳴らすのを、まず止めよう!!!」



「あぁ゙??!今からてめぇを殴り飛ばすから良いんだよ。なんで此処に居やがる?部外者が」


いや!!
良くない!!!


てか、なんなの?!
普通、声で俺ってわからないの??!!!
カナたんもひぃりんも気付いてないみたいだしー…


なんなの?!
お前ら、俺を何で判断してるんだ??! 
溢れ出す平凡オーラか?!今でも出てー………あぁ、この姿は平凡じゃない、かー……?←


じゃあ、じゃあー…………………

ん?
何で判断してるんだ??!←平凡以外自分の良さが分からない


あぁ、そうだ!
蓮なんて、俺に抱きついて分かったんdー………





あぁー……………







なる程なる程。
これはあれか……
哀奈からの試練か?呪いか?

そういや、この瓶底眼鏡とモジャ毛は哀奈から用意されたものだけれどもっ!
「本当は王道転入生がー………素顔が美人でないと…………でも、外したら平凡顔っていう逆転の発想も………」とかなんか一人でブツブツ言ってたけれども。

うん。哀奈なりにきちんと考えてくれた際の、この変装だったんだろう!
そう思おう!!!!!←




んで、要するに……



この姿で自分と気付いて欲しければ、相手に抱きつけと言うことか……?!! (勘違い)



相手にー……






…………………







え、この般若に?!!


今にも
「ぶっ飛ばすぞっ☆ぶっ潰すぞっ☆」
て言ってる奴に?
抱きつけと……?






え、








無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!!!!!




死 ね っ て ???



(*普通に、眼鏡とヅラを外せば良いのにそれを忘れている)



俺が激しく心の中で自問自答をしている間に、じりじりと間合いを詰められ…近付いてくるせっちゃん。



あ、やべ。



背中に壁がついた………




だがしかし!
こんな所で死んでなるものかー……と、
蓮にSOSのメッセージを視線で飛ばす。



『ちょ、マジでこの般若、俺を殺るつもりや!!
助けてっっ!!!』


「…………」



『ちょっ!!!蓮、助けてってば!!!!』



「……………………?」






………………………







ヲイ、イケメンが小首かしげてんじゃねーよ。
需要がねーよ、需要が!!!







…………俺はこの時、焦っているあまり気付かなかったんだ。










視 線 で な ん て 助 け は 呼 べ な いー……………


と。←今更







蓮からの手助けを絶望した瞬間、


グイッ!!ダン!!!


と、胸ぐらを掴まれ引き寄せられ、また壁へと叩きつけられる。



おっっっっふ…
背中いてぇぇぇぇ!!!!!!!!!
マジでやりやがった、このせっちゃんめっっっ!!!!
俺に手を出しやがったぁぁぁぉぁぁ(怒)!!!!



ギリギリと締められる首元に、目の端で流石に焦った蓮の姿が見える。


「藍染先輩!ソイツはー………」





バァァァァァァァン!!!!!!!





そんな蓮の制止を遮るような、爆音。
今度は何??!!!
もう、俺のキャパはいっぱいいっぱいだよ??!
まずは、このせっちゃんに制裁をー…!!!



「……あ」

「…え、」





カナたんとひぃりんの、驚いたような声が聞こえる。
俺は、せっちゃんの体が邪魔して状況が良く分からない。

何々??!
何の爆音だったの??!
コツコツって足音が聞こえるー………から、誰か入ってきた…………?



後ろに振り向いたせっちゃんも、なんだか驚いた様子で……胸ぐらを掴んでいる手の力が弱まった。



え、マジで何ー……………







「…………岸沼」





…………え、




振り向いてるせっちゃんが声を出した。






え、円ー……………?




来たの??!
と、円が見えるようにといまだにせっちゃんに掴まれながらも、体をずらして見れば、



ばちりと、視線があって……



「まど……」



次の瞬間。
伸ばされた長い腕に体を引き寄せられ、目の前は真っ暗になりー………





「哀ちゃんー………!!」




温もりに包まれた。












「え、ちょっ!ヲイ?!岸沼??!」



ひぃりんが円に焦って声をかけてるのが聞こえるけどもー……


円は答えるつもりがないのか。
俺をぎゅうぎゅうに抱きしめている。



「……何をしているんです?!岸沼、そいつはー……」


「……ヲイヲイ、ついに狂ったか?」



円の胸元に抱き込まれるようにしているのか、前が真っ暗だから周りの状況がよく分からないんだけどもー……

ひぃりんに引き続き、驚愕しているカナたんと気味悪がるせっちゃんの声は聞こえる。




えっとー……………




と、とりあえず。
円を離さねば、と。


どうにか手を円の背中に周して、ぽんぽんとそこを叩く。


「ま、どか。円、ちょっと離して」


抱きしめる力が強くて、少し話ずらい。
ぽんぽんとひたすら叩き続けるが、ピクリとも反応無し。



えー………なんで??



なんかおかしい様子に、俺は根気よく話しかける。
なんか、この子いつもと違うよ??




「………え、あれ?もしかしてー………?」



「岸沼の名前を呼んで、る……もしかして、」



「……………まさか、」





俺がひたすらに喋っていると、円越しにカナたん・ひぃりん・せっちゃんの戸惑う声が聞こえてきた。


んんん?
なんか、やっっっと俺に気付いてくれた感じ???!
そんな雰囲気が漂ってきたよ?!!


そうだよね!!
今のところ、円を「円」呼びしてるのって、俺しか聞いたこと無いもんね!!!
(円が、哀留(家族)以外から名前を呼ばれるのを許さないから)


まぁ。
それで、俺って判断されるのも何かアレだけどもさっ!!!!←
この際、しょうが無い!!
寛大な俺は、許してやろう!!



円の様子も気になるけども、3人の驚く顔も見たい!!!そして、せっちゃんはとりあえず見てろよ!!



「円、少し離れー…」


「やだ」





………やっと喋ってくれたかと思うと、「やだ」かよ。


「まど」


「何で何で何で何でぇ??!!
哀ちゃんは、何で俺の前から消えちゃったの??!!こんなにも大切なのに、大事なのに、何でぇ??!
俺が嫌いなのぉ??
アイツのせい??




あの猿たちを潰せば……



哀ちゃんは、俺の傍に居てくれるの?」





………………





なんだろう………




ここまで円を病ませてしまったのはー……俺の罪?
光り輝く、俺の罪?←


好かれてるのは知ってたけどさ、だってワンコだし!!
寂しがり屋の、忠犬ワンコ。



ごめん、ごめん。と、円の頭を撫でる。
すると、ようやく少し力を緩めてくれて、顔を上げる。


が、…………邪魔だな、この瓶底眼鏡。
モジャ毛も。
円がよく見えん!!!


潔く、ぺいっと眼鏡とヅラを外して、顔を上げた円の両頬を両手でぎゅっと挟む。




あー……………………




すっげぇクマ。
泣きすぎたのか、充血している真っ赤な目。



円特有のフワフワしていた雰囲気が無くなってて、鋭くー…………暗い。



俺の存在が、コイツにとってのどんなものかー………



今は気付かない・見ない振りをして。



円の額と俺の額をそっと合わせる。


ごめん、ごめんな。



蓮と月ちゃんは、俺が病院で目を覚まして元気いっぱいに悪巧みをしているー……ってのを知ってたけども。


円達には、講堂で小猿に落とされて倒れた俺の姿が最後……だったんだもんな。
その後は、退学処分に風紀委員長の退任。
それからの俺の情報は、蓮に口止めしていたし……




心配かけた。
寂しい思いもさせた。



ごめん。


でも、


「円も、皆もー………
これから、力を貸して欲しいんだ」



私欲のために好き勝手する小猿も、歪んでいる理事長も止めるために。



この学園を正しく導くために。

生徒のために。
お前達のために。


俺のために。




「戦う、力を貸してくれ」




そっと、円から離れて…俺達の様子を見ていた3人に向き合う。



瞳に涙を溜めている、ひぃりん。

心底安堵したような表情の、カナたん。

不敵に笑む、せっちゃん。



そんな3人を見周わし、


「俺はね、ただじゃぁ転ばないよ。
やられたら、やり返す。


当然だろ?」




平凡なめんなよ。




だから、皆。
再び、俺と同じ道を歩んでくれるか?









(てか!!!
せっちゃんも、なめんなよ!!!!
マジで!背中!!
痛いんだかんなぁぁぁ!!!!!)


(い、委員長ぉぉぉぉぉぉぉ生きて、生きてて良かったぁぁあわぁぁぁぁぁぁん!!!(大泣き))



(え、何?哀ちゃん背中って?え、藍染先輩?藍染?

…………………まずは先にお前を潰す)



(ハッ。
出来るもんなら来いよ、狂犬が…!)



(…………本当、生きてて良かったです)






((……………こいつらの中では、哀留は死んだことになってたのかー…(憐れ)))







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