オマケなのに溺愛されてます

浅葱

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大事の前の小事

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結局埒があかないのでこっちが折れた。とりあえず「叩いてごめんなさい」と頬に触れながら謝ると、上目遣い(身長差どうなってんの?)で様子を伺われてしまった。…こういう時純粋に顔面が強いのはずるいと思う。あざとい…!と、思いつつも顔がいい。この人はこの顔で生きてきて、かなりの得をしているに違いないと奏多は確信する。だって現に、自分ももう許してしまいそうになっている…し…


「お前に叩かれたくらいどうということは無い」
「………………」
「だが、勝手に口づけたのは悪かった。可愛い顔を無防備に近づけるから、つい我慢が出来なかった」
「………………!!」

ジークベルトの台詞に、周囲から歓声が湧きあがる。なんだかすっかりバカップルを見るような目で見られている。おかしい、こんなはずじゃなかったのに…!




(………まあいいや、もういいや、とりあえず怒りも鎮まったみたいだし、状況の擦り合わせを優先しよう…)

言いたいことも、訂正したいことも山程あったが今はぐっと堪える。そもそもそれどころじゃない。ジークベルトにしたって、こんなところで油を売ってる場合ではないはずだ。


「あのね、ジークベルト。ちょっと色々話したいこと……とか、あと聞きたいこともあるんだけど、いいかな」

そう言いつつ、クロードの方を確認すると彼も頷いてくれていたのでひとまずジークベルトの了承を得てからクロードの聞かせてくれた話をもう一度、今度はジークベルトも交えて3人ですることにした。情報の擦り合わせという奴だ。

「あと、とりあえず何か着て下さい…」

とクロードに向かってそう言うと、なんだか不思議そうな顔をされてしまった。不思議なのはこっちだよ。

結局ジークベルトが自分の着ていた上着をクロードに渡してくれたのだが、残念ながら裸ジャケットになってしまって余計に不審者感が出てしまった。ので、もういいか……と奏多はクロードに服を着せることを諦めた。もうこんな瑣末なことに拘っていては話が進まないと気が付いたのである。


そうして、奏多とクロードとジークベルトの3人は、元いたテントの中で少なくない時間話し合うこととなった。
それは、聖女召喚が引き起こす、この世の災厄とそれに伴う貧困、虐殺、飢饉のフルコース、そしてそれを許容し続けてきた国家的危機についての話であった。
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