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握力と肺活量

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大きく分けた3クラスの中でも能力や家柄ごとに細かくクラス分けがされるのだが、それはひとまず置いておくとして

「今度は是非とも騎士科コースに振り分けられたい…」

その為にはまず、最初に行われるテストで基礎体力と身体能力の高さを見せなければならない。

(以前の私はろくに身体を動かしたこともなかったから、最初の段階で弾かれてしまったのよね)

そう、確か最初に行われたテストは握力測定だったはず…とリアーナは思い返す。
その後走り込み、腕立て、肺活量なんかを測られていた気がするとリアーナは思い出した内容を書き留めながら考える。
しかしリアーナや殆どの令嬢は握力測定の段階で先に進む必要なしと判断される為、あまり具体的に覚えていないというのが実情である。

そもそも最初の一年目で騎士科に進む女子というのは稀なのである。この段階で騎士科に振り分けられる女子とは余程先天的に身体能力に恵まれているか、もしくはあらかじめ騎士科に入ることを想定した準備を行っているかの二択に絞られる。

(握力なんて、普通の令嬢ならそもそも鍛えるはずがないものね)

しかし今のリアーナは違う。剣術の練習を既にはじめているリアーナの握力はこの一年でかなり伸びたに違いない。
最初は剣を持ち上げることすら出来なかったのだから、今はまだ両手持ちとはいえはじめた当初に比べれば剣を握る力も、それを振り下ろす筋力もそれなりに身についていると信じたい。

(となると、後は……腕立て?それから肺活量……)

腕立てはともかく、肺活量とはどうやって鍛えれば良いのだろうか?

闇雲に大声を出すのは違う気がするし、とリアーナは考える。そもそもなんの為の肺活量測定なのだろうか?と考えたところで自室の扉がノックされた。
リアーナは広げていたメモ紙を隠してから入室を許可する。すると、そこには何故かミレアムが立っていた。


その男の顔を見た瞬間に、リアーナの胸に嫌な予感が過ぎる。

(…………そういえば、何故かアムリの姿が見えないわね)

しまった、とリアーナは思う。もしかするとこれは、少し不味い事態かもしれない。


「リアーナお嬢様、本日の訓練は参加されないのですか?」

そう言って慇懃な態度でこちらに近づいてくるミレアムの姿を見上げながら、リアーナは考える。

ミレアムとの距離は、気がつけばほんの僅か数センチにまで迫ってきていた。
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