俺とあいつの、近くて遠い距離

ちとせ。

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本編

プロローグ

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高三の夏休み最後の日。
蒸し暑い夜だった。

眠れなくて。
あいつと携帯電話で話してて。
近くの川原に涼みに行こうって話になった。

川で水浴びして。
線香花火して。

それで帰るつもりだったのに。
どうしてあんなことになったのか。

土手の芝生にあいつと寝転がってて。
気づいたときには唇と唇がぶつかってた。


「俺、お前が好きだ」


汗ばんだ肌。
生暖かい風。
芝生の青臭い匂い。


「もう俺に、話しかけんな」


震える声。
握り締めた拳。
憎々しげに俺を睨みつけるあいつ。



*   *   *



この恋が実るわけないって、最初からわかってた。

だって、俺も男であいつも男。
俺はゲイだけど、あいつは違う。

初恋だった。
ずっと好きだった。
けどそのままで、ずっと親友のままでいいと思ってた。

それなのに。

どうしてこうなったんだろう。
なにがいけなかったんだろう。
どうすればよかったんだろう。


初恋と親友を同時に失くしたあの夏の日に、俺の心は囚われたまま。

また、夏が来ようとしていた。
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