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妻達との会話
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独立宣言日の朝。
朝からバタバタでメイドさん達や色んな業者の人達が館の中を慌ただしく動いている。領主達を迎え入れる準備をしているのだ。
俺の部屋にはナナナとアニーがドレス姿でソファーに座っていた。
部屋の外に出ると準備している人達の邪魔になるので彼女達には俺の部屋で待機してもらっていた。
アニーはピンクのドレスを着て、ナナナはオレンジのドレスを着ている。
独立宣言にエルフと獣人が王妃として出席するのだ。
奴隷になったり、差別されてきた種族が王妃になるということは奴隷解放や差別問題に対しての強いメッセージになる。
独立宣言。俺の街は発展したので国として独立します。
今日のパーティーは、それだけではなかった。
俺の国に所属しねぇーか? という勧誘も含まれていた。
貴族達と日付を合わせないといけなかったので独立宣言が今日になってしまった。
色々と複雑な状況の独立宣言なのだ。本来あった国の王族が魔王に殺され、国として運営できなくなってしまった。そして隣国の戦争が始まり、俺の街が国として独立する。
領主達には選択肢があった。選択次第では仲間になるし、敵にもなる。
どれだけの領主が俺の国に所属してくれるのだろうか?
不安で心臓が飛び出しそうになった。
本来なら武力で制して「お前の街は俺の国」とすることもできる。
だけど、まずは俺の話を聞いて、俺の国に所属したいかどうか意志を聞いてみたかった。
「大丈夫ですか?」
とアニーが尋ねた。
「もちろん」
と俺は微笑む。
「領主様、ウロチョロしてないでココに座ったら?」
とナナナがソファーの真ん中を指差す。
「もう領主様じゃないんですよ。王様なんですよ」
とアニーが指摘する。
「王様かぁ」
とナナナが呟く。
俺はアニーとナナナの間に座った。
「王様ぁ」とナナナが言いながら抱きついて来た。
「ダメですよ」
とアニーが言う。
「なんで?」
「だって、ズルいです」
とアニーが言う。
「アニーもすればいいじゃん」とナナナ。
アニーが俺に抱きついて来た。
俺は2人の頭を撫でた。
脳内では今日言うべきことを何度も頭の中で構成し直していた。
マイナスな事柄から言う方がいいよな。入り口がマイナスで出口はプラス。
演説前で俺は緊張していた。
「王様になった領主様もボクは好きだよ」
とナナナが言う。
「ありがとう」と俺は言った。
緊張しすぎて苦しくなって自分の胸をトントンと叩いた。
「小次郎様は、どういう国にしたいんですか?」
とアニーが尋ねた。
「う~ん」と俺は悩む。
重要な質問である。
やるべきことばかり考えていて、どういう国にしたいかについて考えていなかった。
アニーが尋ねたのは理念である。
理念というのは目的である。
なんのために俺は国を運営したい?
「国民全ての人がご飯を食べて、寝る場所の心配がない国にしたい。差別が無い国にしたい」
と俺は言った。
この理念は国としてミッションになっていくんだろ。
人間として当たり前の生活が全ての国民に与えられる国。
基本的人権が全ての国民に与えられる国。
「賛成」とナナナが手を挙げた。「そんな国になったらいいよね」
「私も賛成です」とアニーが言った。
「それじゃあ、どういう王様になりたいの?」
次はナナナが尋ねた。
俺の理想の王様はどんな人だろうか?
俺は何を正しいと思っていて、どういう王様になりたいのか?
次は自分の信念を聞かれているようだった。
この子達は俺が考えないといけないことをジャストミートで質問して来る。
金色のガッ◯ュベルみたいに優しい王様というのは俺は違うと思う。厳しい側面がないと統治《とうち》はできないだろう。
どんな王様に俺はなりたい?
俺が曲げられない信念とはなにか?
「俺は……」と呟いた。
頭の中が整理できない。
だから思いついたことをツラツラと呟いた。
「みんな不公平の中を生きているのはわかっている。だけど不公平さとか関係なく、俺は……みんなを守りたい。みんなを守る王様になりたい」
「賛成」
とナナナが言った。
「私も賛成です」
とアニーが言った。
そうか。俺は国民全ての人がご飯を食べて寝る場所の心配がない国にしたくて、差別がない国にしたくて、みんなを守る王様になりたいんだ。
自分の理念と信念がわかると緊張が落ち着いていく。
理念と信念に賛同してくれる領主がいたら俺の国に来れればいいのだ。
朝からバタバタでメイドさん達や色んな業者の人達が館の中を慌ただしく動いている。領主達を迎え入れる準備をしているのだ。
俺の部屋にはナナナとアニーがドレス姿でソファーに座っていた。
部屋の外に出ると準備している人達の邪魔になるので彼女達には俺の部屋で待機してもらっていた。
アニーはピンクのドレスを着て、ナナナはオレンジのドレスを着ている。
独立宣言にエルフと獣人が王妃として出席するのだ。
奴隷になったり、差別されてきた種族が王妃になるということは奴隷解放や差別問題に対しての強いメッセージになる。
独立宣言。俺の街は発展したので国として独立します。
今日のパーティーは、それだけではなかった。
俺の国に所属しねぇーか? という勧誘も含まれていた。
貴族達と日付を合わせないといけなかったので独立宣言が今日になってしまった。
色々と複雑な状況の独立宣言なのだ。本来あった国の王族が魔王に殺され、国として運営できなくなってしまった。そして隣国の戦争が始まり、俺の街が国として独立する。
領主達には選択肢があった。選択次第では仲間になるし、敵にもなる。
どれだけの領主が俺の国に所属してくれるのだろうか?
不安で心臓が飛び出しそうになった。
本来なら武力で制して「お前の街は俺の国」とすることもできる。
だけど、まずは俺の話を聞いて、俺の国に所属したいかどうか意志を聞いてみたかった。
「大丈夫ですか?」
とアニーが尋ねた。
「もちろん」
と俺は微笑む。
「領主様、ウロチョロしてないでココに座ったら?」
とナナナがソファーの真ん中を指差す。
「もう領主様じゃないんですよ。王様なんですよ」
とアニーが指摘する。
「王様かぁ」
とナナナが呟く。
俺はアニーとナナナの間に座った。
「王様ぁ」とナナナが言いながら抱きついて来た。
「ダメですよ」
とアニーが言う。
「なんで?」
「だって、ズルいです」
とアニーが言う。
「アニーもすればいいじゃん」とナナナ。
アニーが俺に抱きついて来た。
俺は2人の頭を撫でた。
脳内では今日言うべきことを何度も頭の中で構成し直していた。
マイナスな事柄から言う方がいいよな。入り口がマイナスで出口はプラス。
演説前で俺は緊張していた。
「王様になった領主様もボクは好きだよ」
とナナナが言う。
「ありがとう」と俺は言った。
緊張しすぎて苦しくなって自分の胸をトントンと叩いた。
「小次郎様は、どういう国にしたいんですか?」
とアニーが尋ねた。
「う~ん」と俺は悩む。
重要な質問である。
やるべきことばかり考えていて、どういう国にしたいかについて考えていなかった。
アニーが尋ねたのは理念である。
理念というのは目的である。
なんのために俺は国を運営したい?
「国民全ての人がご飯を食べて、寝る場所の心配がない国にしたい。差別が無い国にしたい」
と俺は言った。
この理念は国としてミッションになっていくんだろ。
人間として当たり前の生活が全ての国民に与えられる国。
基本的人権が全ての国民に与えられる国。
「賛成」とナナナが手を挙げた。「そんな国になったらいいよね」
「私も賛成です」とアニーが言った。
「それじゃあ、どういう王様になりたいの?」
次はナナナが尋ねた。
俺の理想の王様はどんな人だろうか?
俺は何を正しいと思っていて、どういう王様になりたいのか?
次は自分の信念を聞かれているようだった。
この子達は俺が考えないといけないことをジャストミートで質問して来る。
金色のガッ◯ュベルみたいに優しい王様というのは俺は違うと思う。厳しい側面がないと統治《とうち》はできないだろう。
どんな王様に俺はなりたい?
俺が曲げられない信念とはなにか?
「俺は……」と呟いた。
頭の中が整理できない。
だから思いついたことをツラツラと呟いた。
「みんな不公平の中を生きているのはわかっている。だけど不公平さとか関係なく、俺は……みんなを守りたい。みんなを守る王様になりたい」
「賛成」
とナナナが言った。
「私も賛成です」
とアニーが言った。
そうか。俺は国民全ての人がご飯を食べて寝る場所の心配がない国にしたくて、差別がない国にしたくて、みんなを守る王様になりたいんだ。
自分の理念と信念がわかると緊張が落ち着いていく。
理念と信念に賛同してくれる領主がいたら俺の国に来れればいいのだ。
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