性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万

文字の大きさ
81 / 115

妻達との会話

しおりを挟む
 独立宣言日の朝。
 朝からバタバタでメイドさん達や色んな業者の人達が館の中を慌ただしく動いている。領主達を迎え入れる準備をしているのだ。
 俺の部屋にはナナナとアニーがドレス姿でソファーに座っていた。
 部屋の外に出ると準備している人達の邪魔になるので彼女達には俺の部屋で待機してもらっていた。

 アニーはピンクのドレスを着て、ナナナはオレンジのドレスを着ている。
 独立宣言にエルフと獣人が王妃として出席するのだ。
 奴隷になったり、差別されてきた種族が王妃になるということは奴隷解放や差別問題に対しての強いメッセージになる。

 独立宣言。俺の街は発展したので国として独立します。
 今日のパーティーは、それだけではなかった。
 俺の国に所属しねぇーか? という勧誘も含まれていた。
 貴族達と日付を合わせないといけなかったので独立宣言が今日になってしまった。

 色々と複雑な状況の独立宣言なのだ。本来あった国の王族が魔王に殺され、国として運営できなくなってしまった。そして隣国の戦争が始まり、俺の街が国として独立する。

 領主達には選択肢があった。選択次第では仲間になるし、敵にもなる。

 どれだけの領主が俺の国に所属してくれるのだろうか?
 不安で心臓が飛び出しそうになった。

 本来なら武力で制して「お前の街は俺の国」とすることもできる。
 だけど、まずは俺の話を聞いて、俺の国に所属したいかどうか意志を聞いてみたかった。

「大丈夫ですか?」
 とアニーが尋ねた。

「もちろん」
 と俺は微笑む。

「領主様、ウロチョロしてないでココに座ったら?」
 とナナナがソファーの真ん中を指差す。

「もう領主様じゃないんですよ。王様なんですよ」
 とアニーが指摘する。

「王様かぁ」
 とナナナが呟く。

 俺はアニーとナナナの間に座った。

「王様ぁ」とナナナが言いながら抱きついて来た。

「ダメですよ」
 とアニーが言う。

「なんで?」

「だって、ズルいです」
 とアニーが言う。

「アニーもすればいいじゃん」とナナナ。

 アニーが俺に抱きついて来た。
 俺は2人の頭を撫でた。

 脳内では今日言うべきことを何度も頭の中で構成し直していた。
 マイナスな事柄から言う方がいいよな。入り口がマイナスで出口はプラス。
 演説前で俺は緊張していた。
 
「王様になった領主様もボクは好きだよ」
 とナナナが言う。

「ありがとう」と俺は言った。

 緊張しすぎて苦しくなって自分の胸をトントンと叩いた。

「小次郎様は、どういう国にしたいんですか?」
 とアニーが尋ねた。

「う~ん」と俺は悩む。
 重要な質問である。
 
 やるべきことばかり考えていて、どういう国にしたいかについて考えていなかった。

 アニーが尋ねたのは理念である。
 理念というのは目的である。
 なんのために俺は国を運営したい?

「国民全ての人がご飯を食べて、寝る場所の心配がない国にしたい。差別が無い国にしたい」
 と俺は言った。

 この理念は国としてミッションになっていくんだろ。
 人間として当たり前の生活が全ての国民に与えられる国。
 基本的人権が全ての国民に与えられる国。

「賛成」とナナナが手を挙げた。「そんな国になったらいいよね」

「私も賛成です」とアニーが言った。

「それじゃあ、どういう王様になりたいの?」
 次はナナナが尋ねた。

 俺の理想の王様はどんな人だろうか?
 俺は何を正しいと思っていて、どういう王様になりたいのか?
 次は自分の信念を聞かれているようだった。

 この子達は俺が考えないといけないことをジャストミートで質問して来る。

 金色のガッ◯ュベルみたいに優しい王様というのは俺は違うと思う。厳しい側面がないと統治《とうち》はできないだろう。

 どんな王様に俺はなりたい?
 俺が曲げられない信念とはなにか?

「俺は……」と呟いた。
 頭の中が整理できない。
 だから思いついたことをツラツラと呟いた。
「みんな不公平の中を生きているのはわかっている。だけど不公平さとか関係なく、俺は……みんなを守りたい。みんなを守る王様になりたい」

「賛成」
 とナナナが言った。

「私も賛成です」
 とアニーが言った。

 そうか。俺は国民全ての人がご飯を食べて寝る場所の心配がない国にしたくて、差別がない国にしたくて、みんなを守る王様になりたいんだ。

 自分の理念と信念がわかると緊張が落ち着いていく。
 理念と信念に賛同してくれる領主がいたら俺の国に来れればいいのだ。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...