性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万

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勇者大戦

 今は動くべき時ではないことぐらい頭ではわかっていた。
 でも勝手に体が動いていてしまう。

 カヨと出会った時のことを俺は思い出していた。
 20歳の頃である。仕事もせずに毎日をフラフラとしていた。
 学も無いし、お金も無いし、彼女もいなかった。
 俺のポケットの中には何も入っていなかったのだ。

 このままじゃダメだ、と自分自身でもわかっていた。
 ちゃんと仕事をしなくちゃいけない。何かをしなくちゃいけない。そんな事を漠然と思っていた。
 何者にもなれるけど何者でもない自分。何がしたいかサッパリわからん。モラトリアム。人生を変える劇的なモノを求めていた。そういう時期が俺にもあったのだ。

 そんな時にカヨが俺の目の前に現れた。
 場所は喫茶店だった。
 俺はコーヒーを啜りながら、その当時、好きだった舞城王太郎の本を読んでいた。
 
「見つけた」と声が聞こえた。
 俺は読んでいた本から顔を上げた。

 そこには見知らぬ女の子が立っていた。
 彼女はショートヘアーの美しい女性だった。俺と同じぐらいの年齢である。
 女の子と会話することなんて、ほとんどないから呼吸が乱れた。
 
「ずっとアナタのことを探していたんだから」
 と彼女が言ったのだ。

「……人違いだと思います」
 俺は言った。

 よくよく聞いていると知り合いに似ていて間違って喋りかけてしまったらしい。勘違いから俺達は始まったのだ。

 その時の俺は勘違いでも彼女に見つけられたのだ。
 あの時、彼女が見つけてくれなかったら今の俺はいなかっただろう。

 なぜか俺達は仲良くなり、頻繁に会うようになって付き合い始めた。
 彼女は俺の隣にいてくれた。
 だからこそ俺は頑張れたのだ。
 辛いことがあっても悲しいことがあってもカヨは一緒にいてくれた。
 そして俺達は結婚して子どもができた。

「カヨ」と俺は叫んだ。

 ワープホールを作って瞬間移動した。
 俺の体が、彼女を守るために勝手に動いていた。

 カヨの目の前に俺が出現する。

「カヨ、逃げよう」
 と俺は言った。

「なによ、アンタ」
 と彼女が驚いている。

 中二勇者が攻撃をしかけようとしていた。
 魔法で空気弾を飛ばす。
 中二勇者が吹っ飛んだ。
 空気弾を使ったのは、相手に怪我をさせたくなかったからである。
 中二勇者も召喚されただけの日本人なのだ。

 俺はカヨの手を引っ張った。

「やめて。離して」
 と女子高生が俺の手を離そうとバタバタと手を動かす。

 そんなことをしていると脇腹を誰かに蹴られた。
 蹴られた衝撃で俺は倒れてしまった。

 俺を蹴ったのはソビラトの勇者だった。
 ソビラトの勇者。緑色の服を着ている。

「カヨ。逃げるんだ。早く」
 と俺が言う。

「何言ってるの? アンタには関係ないでしょ」
 と女子高生がめちゃくちゃ怒鳴っていた。

 そして彼女は聖剣を握りしめて、中二勇者に飛び込んで行く。

 ソビラトの勇者も剣を握りしめて俺に振り下ろした。
 刃が俺に届く前に、空気弾でソビラトの勇者を攻撃した。
 
 中二勇者がかめ○め波でも出すみたいに溜めのモーションに入った。
 カヨの動きも大振りだった。
 ほぼほぼモーション無しの空気弾で中二勇者をもう一度飛ばす。

「逃げよう」
 と俺が言う。

「さっきからアナタなによ」
 とカヨが怒鳴った。

「俺は君を守りたいだけなんだ」
 と俺が言う。

 そこにヤバい奴がやって来てしまった。
 ワープホールを使って、一瞬で俺達の目の前に城を守っていた勇者が現れた。

 地元で一番強いヤンキーの先輩が来たみたいな威圧感。
 バッチリ剃り込みがある。昔のヤンキーがしてそうな髪型。
 それにドラマでしか見たことがない変な形の学ランを着ている。
 たぶん80年代から召喚されたんだと思う。

 魔力量が半端じゃないことはわかった。
 黒いオーラが実際に見えるようだった。

 コイツがヤバいことがカヨもわかったらしく、後ずさった。

「お前等、なにしてんだよ」
 とヤンキー勇者がキレた。
「こっちはずっと待ってんだ」

「すいません」
 倒れた状態で中二勇者が謝った。

「エジーの勇者を拉致って来いっていう命令が、そんなに難しいのか?」
 あぁ? と怒鳴り声。
 
 昔のヤンキー怖っ。

「カヨ。逃げろ」
 と俺は言った。

 俺は彼女の前に立つ。
 
 ただの蹴りだった。

 胸のあたりをヤンキー勇者に蹴られた。
 腕でガードした。
 その腕からボギボキと音が鳴る。そして俺は飛ばされた。

「アイツ、どうしますか?」
 と中二勇者がヤンキー勇者に尋ねた。

「知らねぇーよ。何も聞いてねぇーから、ほっとけばいいだろう」
 とヤンキー勇者が言う。

 カヨがヤンキー勇者に殴られて気絶した。そしてヤンキーの肩に担がれた。

「カヨ」
 と俺は叫んだ。
 腕が複雑骨折したままヤンキーの元へ向かおうとした。
 だけど、それは出来なかった。
 誰かに後ろから掴まれたのだ。
 そして俺も誰かに担がれた。

「あれはヤバい」
 とバランの声。

「バラン、離せ」
 と俺が言う。

 腕が骨折していて、うまく動けない。

「あれと戦ったら小次郎でも死ぬ」
 
 すごい勢いでバランが跳躍した。
 そして俺達の国へ戻って行く。

「カヨ」と俺は叫ぶ。
 彼女が攫われてしまった。
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