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第1章 幼なじみの転生は気付けない(23) SIDE ケイン
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ひとまずオレの家で2人は一息ついた。
「ここが勇者様のお家ですか」
「ボロいだろ」
「ここから立派な勇者として巣立っていく過程を見られると思うと、わくわくしますね」
「ポジティブだなあ」
……ん?
「過程を見られる?」
「はいそうです」
元気なお返事だ。
「どゆこと?」
「そりゃあ、勇者様が魔王を倒す旅について行くんですよ」
「初耳なんだが!?」
「末永くよろしくお願いしますね」
「魔王を倒したいなら、末永くなっちゃだめだろ……」
「旅の途中であたしたちが恋におちるかもしれないじゃないですか」
「え……」
もしかしてオレのこと好きなの?
ものすごい美少女だし、悪い気はしない。
ちょっと照れるぞ。
だけど、オレの心にはまだ幼馴染への恋心が残っている。
それこそ死ぬまで想っていたのだ。
いくら転生した先で美少女に言い寄られたからと言って、そうそう切り替えられるものじゃない。
「まあ、あたしが勇者様に恋愛感情を持つとはかぎりませんけどね」
あっぶなあ!
オレのこと好きなの? とか聞いちゃうところだったわ!
自意識過剰系勇者になるところだったわ!
「勇者の旅に魔女とやらはつきものなのか?」
「もちろんです! 魔女とは魔族に対抗するための魔法に精通し、魔族を滅するためな生きる女のこと! 魔女なしに魔族と戦うなんて、耐魔鍋なしで魔法薬を作ろうとするようなものです」
その例えはよくわからんけども。
「旅を始めてすぐに勇者様と出会えるなんてラッキーです! しかも、良い人そうですし。ヤバい勇者様もけっこういるらしいですから」
「ヤバいって?」
弱いってことかな?
オレの質問に、メグはこれでもかと顔を歪めた。
「パーティーメンバーがいきなり妊娠させられて旅がおわるなんて話を聞きますね」
予想の斜め上……というか下だった!
そりゃあ、あの召喚方法だと人格は考慮されないだろうしなあ。
「ま、まあ……そんな極端なのと比べられても困るが……」
「極端?」
メグがちょこんと小首をかしげた。
そんな仕草もかわいらしいが……そうかぁ、わりと日常かぁ……。
現代日本と比べるのも酷だが、こちらに来てからの体感通り、治安は怪しそうだ。
これは断ってもついてきそうだ。
だが、彼女と行動を共にする利点はある。
いくら強くなったと言っても、もとはしがないサラリーマン。
この街で十分に強くなり、旅立つ日が来たとして、オレには旅の知識も経験もない。
信頼できそうな仲間はありがたいかもしれないな。
魔族についても色々聞きたいところだが、まずは目の前の問題だ。
人身売買の金がマリーに回ってたという彼らの情報。
本当なのだとしたら、面倒なことになりそうだ。
「ここが勇者様のお家ですか」
「ボロいだろ」
「ここから立派な勇者として巣立っていく過程を見られると思うと、わくわくしますね」
「ポジティブだなあ」
……ん?
「過程を見られる?」
「はいそうです」
元気なお返事だ。
「どゆこと?」
「そりゃあ、勇者様が魔王を倒す旅について行くんですよ」
「初耳なんだが!?」
「末永くよろしくお願いしますね」
「魔王を倒したいなら、末永くなっちゃだめだろ……」
「旅の途中であたしたちが恋におちるかもしれないじゃないですか」
「え……」
もしかしてオレのこと好きなの?
ものすごい美少女だし、悪い気はしない。
ちょっと照れるぞ。
だけど、オレの心にはまだ幼馴染への恋心が残っている。
それこそ死ぬまで想っていたのだ。
いくら転生した先で美少女に言い寄られたからと言って、そうそう切り替えられるものじゃない。
「まあ、あたしが勇者様に恋愛感情を持つとはかぎりませんけどね」
あっぶなあ!
オレのこと好きなの? とか聞いちゃうところだったわ!
自意識過剰系勇者になるところだったわ!
「勇者の旅に魔女とやらはつきものなのか?」
「もちろんです! 魔女とは魔族に対抗するための魔法に精通し、魔族を滅するためな生きる女のこと! 魔女なしに魔族と戦うなんて、耐魔鍋なしで魔法薬を作ろうとするようなものです」
その例えはよくわからんけども。
「旅を始めてすぐに勇者様と出会えるなんてラッキーです! しかも、良い人そうですし。ヤバい勇者様もけっこういるらしいですから」
「ヤバいって?」
弱いってことかな?
オレの質問に、メグはこれでもかと顔を歪めた。
「パーティーメンバーがいきなり妊娠させられて旅がおわるなんて話を聞きますね」
予想の斜め上……というか下だった!
そりゃあ、あの召喚方法だと人格は考慮されないだろうしなあ。
「ま、まあ……そんな極端なのと比べられても困るが……」
「極端?」
メグがちょこんと小首をかしげた。
そんな仕草もかわいらしいが……そうかぁ、わりと日常かぁ……。
現代日本と比べるのも酷だが、こちらに来てからの体感通り、治安は怪しそうだ。
これは断ってもついてきそうだ。
だが、彼女と行動を共にする利点はある。
いくら強くなったと言っても、もとはしがないサラリーマン。
この街で十分に強くなり、旅立つ日が来たとして、オレには旅の知識も経験もない。
信頼できそうな仲間はありがたいかもしれないな。
魔族についても色々聞きたいところだが、まずは目の前の問題だ。
人身売買の金がマリーに回ってたという彼らの情報。
本当なのだとしたら、面倒なことになりそうだ。
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