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始まりの話
王様はドラゴンステーキを食べること以外にも用事があったそうです。
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ジュー、ジュー・・・。レストラン内に肉を焼く音が響く。料理人達は今までの中で一番慎重に、そして美しく、さらに美味しく肉を焼くために、みな冷や汗をかきながらドラゴンステーキを作っている。失敗は許されない。
なぜこんなに緊張しているかというと、それはレストランの席に座っている小太りのおっさん、ダモス王に出す料理を作っているためだ。ダモス王は厨房の料理の様子を覗こうと首を伸ばしたり、騎士の中の1人と楽しそうにお喋りをしたりして待ち時間を過ごしている。
そしてしばらくたつと、料理人達が出来るだけ美味しく焼いて、味付けしたドラゴンステーキが焼きあがった。そして、このレストランのオーナーでもあるおじいちゃんがダモス王のところへと料理を持っていく。
「こちらがドラゴンステーキとなります。」
おじいちゃんは皿を音を立てないように細心の注意を払いテーブルに置いた。
その後に、接客当番の人がダモス王以外の客、騎士達の座っているテーブルにドラゴンステーキを置いていく。
「それではいただきます。」
ダモス王はそう言って手を合わせ、ナイフとフォークを使って上品にドラゴンステーキを食べる。ダモス王がステーキを一口、口に運ぶと、目を見開き、騎士達の方に顔を向ける。ダモス王の視線の先では騎士達が、ダモス王と同じように上品に食べていて、その味に同じように目を見開いていた。その様子を見て何か思うことでもあったのか、息を吐きまたドラゴンステーキを食べ始める。
何口かでダモス王のドラゴンステーキの皿は空となった。そして、ナフキンで自分の口を拭いたダモス様は、
「料理人の皆さん。できればこちらに来て欲しいのですがよろしいですか?」
と言った。当然断れる筈もなく、俺たち料理人はすぐに歩いてダモス王の座っているテーブルの横の方に一列に並んだ。
がちがちに緊張している俺たちを見て、
「ああ、そんな緊張しなくて大丈夫です。っていうか、タメ口でも良いですよ?今回はプライベートですし、うるさい執事もいないので。この騎士達も私からのお願いなので特に文句も言いません。なのでどうぞ楽にしてください。」
と、ダモス王は言ってくれたが、そんなこと言われても楽に出来るはずがない。
「ドラゴンステーキご馳走様でした。はじめてドラゴンの肉を食べだのですが・・・」
「が」と言って少し間が空いたので、俺たちはお口に合わなかったかな?と、とても不安になり血の気が引いていく。
しかし、どうやら違ったらしく、
「とても美味しかったです!こんな美味しいお肉を食べたのは初めてですよ!料理してくれた方々、どうもありがとうございます。」
と、笑顔になって、料理を絶賛してくれた。
「それで今回来たのはドラゴンステーキをいただくのも目的の一つですが、本命は違います。この肉はドラゴンの肉です。そしてドラゴンというとこの騎士団全員でかかっても倒せない強さです。一体どうやってこの肉を手に入れた、又は・・・何方が倒されたのですか?」
最後の言葉だけ力を入れていた気がする。そして俺は、あれ?もしかして俺、とんでもないことしちゃった?と初めて気がついた。
「ええと、できれば広めて欲しくないのですが・・・。」
おじいちゃんが申し訳なさそうにダモス王に話しかける。
「大丈夫だ。別に調査目的ではない。ただ聞きたいだけだ。」
その言葉に安心したおじいちゃんはちらっと一回俺の方を向き、
「わかりました。ではお教え致します。この肉は彼、クロキが倒したドラゴンの物です。クロキ、どうやって倒したか説明してあげなさい。」
急に話しを振られた俺は慌てながらドラゴンとの戦闘のことをダモス王に伝える。
「え?・・・は、はい!私がクロキです。ドラゴンは幻キノコという食材を採りに森に行ったときに遭遇いたしました。そして私はドラゴンとの戦闘を開始しました。俺はドラゴンの攻撃を避けてドラゴンの胸の場所に移動して鱗の上から何度も包丁で同じ場所を切りました。なぜかドラゴンが反撃してこないので俺がずっと切っていると、おそらく心臓を切ったのでしょう。とんでもない量の血が出て来てドラゴンは倒れました。い、以上です!」
俺は極度の緊張状態の中、なんとかドラゴンの戦闘を思い出し、多分ダモス王に上手く伝えられたと思う。
「ふむ。」
ダモス王はそれだけ言うと一人で考え始める。そして五分ぐらい経って、
「クロキと言ったか、そなたにお願いがあるのだが・・・。」
「何でも言ってください!」
どうしよう、ドラゴンをもう一体討伐しろって言われたら。
俺は不安になりながらダモス王の願いの内容を待った。
「よろしい。ではクロキよ!貴様には冒険者になってもらう!そして世界中の食材を集め、このレストランで他では味わえないような料理を作って欲しい。私は1ヶ月に一度このレストランにプライベートで訪れる。その度に珍しい料理を振舞ってくれ!」
はい?いや、なんで?
俺の頭の中はハテナで埋め尽くされた。
△△△△△△△△△△△
クロキの敬語が変になっているのは緊張の所為と言うわけで。
なぜこんなに緊張しているかというと、それはレストランの席に座っている小太りのおっさん、ダモス王に出す料理を作っているためだ。ダモス王は厨房の料理の様子を覗こうと首を伸ばしたり、騎士の中の1人と楽しそうにお喋りをしたりして待ち時間を過ごしている。
そしてしばらくたつと、料理人達が出来るだけ美味しく焼いて、味付けしたドラゴンステーキが焼きあがった。そして、このレストランのオーナーでもあるおじいちゃんがダモス王のところへと料理を持っていく。
「こちらがドラゴンステーキとなります。」
おじいちゃんは皿を音を立てないように細心の注意を払いテーブルに置いた。
その後に、接客当番の人がダモス王以外の客、騎士達の座っているテーブルにドラゴンステーキを置いていく。
「それではいただきます。」
ダモス王はそう言って手を合わせ、ナイフとフォークを使って上品にドラゴンステーキを食べる。ダモス王がステーキを一口、口に運ぶと、目を見開き、騎士達の方に顔を向ける。ダモス王の視線の先では騎士達が、ダモス王と同じように上品に食べていて、その味に同じように目を見開いていた。その様子を見て何か思うことでもあったのか、息を吐きまたドラゴンステーキを食べ始める。
何口かでダモス王のドラゴンステーキの皿は空となった。そして、ナフキンで自分の口を拭いたダモス様は、
「料理人の皆さん。できればこちらに来て欲しいのですがよろしいですか?」
と言った。当然断れる筈もなく、俺たち料理人はすぐに歩いてダモス王の座っているテーブルの横の方に一列に並んだ。
がちがちに緊張している俺たちを見て、
「ああ、そんな緊張しなくて大丈夫です。っていうか、タメ口でも良いですよ?今回はプライベートですし、うるさい執事もいないので。この騎士達も私からのお願いなので特に文句も言いません。なのでどうぞ楽にしてください。」
と、ダモス王は言ってくれたが、そんなこと言われても楽に出来るはずがない。
「ドラゴンステーキご馳走様でした。はじめてドラゴンの肉を食べだのですが・・・」
「が」と言って少し間が空いたので、俺たちはお口に合わなかったかな?と、とても不安になり血の気が引いていく。
しかし、どうやら違ったらしく、
「とても美味しかったです!こんな美味しいお肉を食べたのは初めてですよ!料理してくれた方々、どうもありがとうございます。」
と、笑顔になって、料理を絶賛してくれた。
「それで今回来たのはドラゴンステーキをいただくのも目的の一つですが、本命は違います。この肉はドラゴンの肉です。そしてドラゴンというとこの騎士団全員でかかっても倒せない強さです。一体どうやってこの肉を手に入れた、又は・・・何方が倒されたのですか?」
最後の言葉だけ力を入れていた気がする。そして俺は、あれ?もしかして俺、とんでもないことしちゃった?と初めて気がついた。
「ええと、できれば広めて欲しくないのですが・・・。」
おじいちゃんが申し訳なさそうにダモス王に話しかける。
「大丈夫だ。別に調査目的ではない。ただ聞きたいだけだ。」
その言葉に安心したおじいちゃんはちらっと一回俺の方を向き、
「わかりました。ではお教え致します。この肉は彼、クロキが倒したドラゴンの物です。クロキ、どうやって倒したか説明してあげなさい。」
急に話しを振られた俺は慌てながらドラゴンとの戦闘のことをダモス王に伝える。
「え?・・・は、はい!私がクロキです。ドラゴンは幻キノコという食材を採りに森に行ったときに遭遇いたしました。そして私はドラゴンとの戦闘を開始しました。俺はドラゴンの攻撃を避けてドラゴンの胸の場所に移動して鱗の上から何度も包丁で同じ場所を切りました。なぜかドラゴンが反撃してこないので俺がずっと切っていると、おそらく心臓を切ったのでしょう。とんでもない量の血が出て来てドラゴンは倒れました。い、以上です!」
俺は極度の緊張状態の中、なんとかドラゴンの戦闘を思い出し、多分ダモス王に上手く伝えられたと思う。
「ふむ。」
ダモス王はそれだけ言うと一人で考え始める。そして五分ぐらい経って、
「クロキと言ったか、そなたにお願いがあるのだが・・・。」
「何でも言ってください!」
どうしよう、ドラゴンをもう一体討伐しろって言われたら。
俺は不安になりながらダモス王の願いの内容を待った。
「よろしい。ではクロキよ!貴様には冒険者になってもらう!そして世界中の食材を集め、このレストランで他では味わえないような料理を作って欲しい。私は1ヶ月に一度このレストランにプライベートで訪れる。その度に珍しい料理を振舞ってくれ!」
はい?いや、なんで?
俺の頭の中はハテナで埋め尽くされた。
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クロキの敬語が変になっているのは緊張の所為と言うわけで。
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