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ふわふわタイム
S.夏祭りの夜に
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今日は私にとっては特別な日、一年に一度主役になれる日。
誰にでも平等に訪れるみんなから祝福される日。
今日という日をどれだけ待ち望んで楽しみにしていたことだろうか。
「今日という今日は、誰にも邪魔されずにアーサー様と一緒にいられますようーにっと、」
鏡に映る自分の顔を見ながら両手を合わせるリサ。ミーナに着付けをしてもらった紅い浴衣を着ている。誰よりも一番に大好きなアーサーに見せるために落ち着いてはいられず、何度も何度も鏡に映る自分の姿を見ていたのだ。
「アーサー様に早く見せたいなあ」
二階の部屋から窓の外を覗くリサ、辺りは夕焼けから紺色に薄暗く変化していた。
アーサーは、城下町の人達と一緒に祭りの準備に出掛けていた。精霊たちには一緒に祭りに行く約束をしているのだ。
胸をドキドキさせながらアーサーの帰りを待つリサにとってはとても永く待ち遠しい時間がゆっくりと流れていた。
☆
「あら?どーしたの二人とも浴衣着せてあげるからこっちにいらっしゃい」
喫茶店の奥のミーナの部屋の前でエルザとシルフィーは浴衣を握りしめてもじもじとしている。
その様子がなぜかミーナには余所余所しく何かバツの悪そうな気がしていた。
「どーしたの?何かあった?」
「えっ?・・・何でもないの」
エルザは首を何度も横に振るーーが、ミーナには何か隠してるように見えた。
「ほんとーに?シルフィー!!」
今度はシルフィーをジッと見つめるミーナ。
「な、何もありませんわ。浴衣を着せてもらいに来ただけですわ」
ミーナと会話中一度も目を合わせない二人。ミーナはこれ以上二人を問い詰めずに浴衣の着付けを始めた。
心の中では、何でも話せる友達になれたと思っていただけに少し寂しい気持ちになっていたのだったーー。
「・・・・・・」
鏡の中でどんどんと綺麗になってゆく自分の姿を見つめるエルザ。この姿を真っ先に大好きな人に見せたい。「可愛いよ」って褒めてもらいたい。そのシーンを思い浮かべただけで顔がニヤけてしまう。しかしーー、今日だけは・・・。
「ーーはい、出来たわよ。エルザ可愛いわよ」
笑顔でエルザを見つめるミーナ。しかし、そこにエルザの笑顔は無い。
「ミーナ、ありがとうなの」
エルザは一人ふわふわと二階に上がって行った。
「どーしたのかしら?シルフィーおいで着付けしてあげるわよ」
「ーーうん」
力のない返事。
「あなたたち、どーしたの?」
「うんん、何でもないですわ」
二人の元気の無さに首を傾げるミーナ。
これだけ言っても何も話してくれない二人にこれ以上何も聞かない事にミーナは決めたのだった。
☆ ☆ ☆
オレンジ色に染まっていた空は藍色と黒のグラデーションへ変化し辺りは闇へと包まれて行った。
太鼓の音が何処からともなく聞こえてくる。
街を行き交う人たちは皆、浴衣に身を包み楽しそうに同じ方向を目指して歩いてる。
リサ、エルザ、シルフィーの三人も浴衣姿でふわふわと浮かびながら祭の会場を目指していた。
「あっ!アーサーさまあーー」
リサがアーサーに気づき、急いで駆け寄る。
エルザとシルフィーはその声にビクッとなり、オロオロし始めた。
「よく来たね、大丈夫だったか?」
「うん。早く早くお祭り行こうよお」
リサはアーサーの手を引っ張り急かす。
「シルフィー、今なの。このまま行くの」
「そうね。行きましょうか」
二人はコソコソと小声で話しをし、アーサーとリサに背を向けて立ち去ろうとした時、
「エルザ、シルフィー何してんだ?行くぞ!」
アーサーの声が背中から聞こえた。
「ーーえっ、あっ、ちょっとエルザがお手洗いに・・・」
「ん?」
「そ、そーなの。エルザお手洗いなの」
アーサーがじーっと見つめると二人は視線を逸らす。
「アーサー様ごめんなさい!」
「急用なの!!」
二人は一目散に駆け出して行ったーー、
「お、、おい二人ともーー」
そんな二人の姿を見て首を傾げるアーサー。
あからさまにオカシイと思ったがこれ以上二人を追うことはしない事にした。
少し前なら確実に追いかけて事情を聞いたが、今は二人が意味の無い行動をとらない事は知っているからだ。
リンクテレパシーを使えば二人の考えている事を共有することも出来るが、それを使っている時点で精霊達を信頼してない事になる。
そんな事を考えながら歩いていると、リサが一人寂しそうにふわふわと浮いていた。
「あ、あれ?アーサー様、エルザとシルフィーは・・・」
「いや、途中で二人とも用事が出来たとかで帰っちゃったんだよ」
「嘘・・・バカじゃないの、こんな優しさいらないよ」
小声で呟きながら涙を浮かべるリサ。
「リサ、どうした?」
アーサーがそっと近づき顔を覗き込む。
「な、何でもないです。大丈夫、大丈夫」
両手を前に突き出し左右に振りながら無理矢理笑顔を作るリサ。
「せっかくだから一緒に行こうか」
「はい」
アーサーがゆっくり歩き出すとリサは隣をふわふわと飛んで行った。
月明かりが照らし出す二人だの空間がそこにはあり、それはずっとリサが望んでいたことだった。
「リサ」
「はい」
「浴衣綺麗だよ」
「・・・ありがとござます」
一番言って欲しかった言葉。一番大好きな人に言ってほしくて・・・。
月明かりが二人のシルエットを映し出す。
それはだんだんと小さくなって行く。
「本当にこれで良かったのエルザ?」
「今回は、リサに譲っただけなの」
木の影に隠れて二人を見送ったエルザとシルフィー。二人は、そのままアーサーとリサを見送るとミーナの喫茶店に行った。
☆
「あら、あなた達二人だけ?お祭り行かなかったの?リサちゃんとアーサーさんは?」
「リサは・・・アーサー様と一緒なの」
「どーゆーこと?あなた達は行かなかったの?」
顎に手を当て首を傾げるミーナ。
「今回はリサに譲ったのよ」
「ーー譲って、せっかくあなた達も浴衣着たのに」
その言葉に反応するかのように目には涙が溜まって行く。浴衣姿の二人は下を向いたまま動かなかった。
そしてーー、目から涙が溢れると次第に大粒になって頬を伝っていった。
「何でそんなことしたの?いつも通り三人仲良く一緒に行けば良かったじゃない?」
涙を流したまま首を横に振るエルザ。
「何があったの?」
ミーナは何があったか状況がつかめずシルフィーを見た。
シルフィーも口を真一文字に結んだまま涙を流していた。
「今日だけなの。今日だけはリサに譲るの」
「悔しいけどだって今日はーーーー」
☆ ☆ ☆
夜空に満開の華が咲いては消えていく。
その色鮮やかな光に照らされているアーサーの横顔を照れ臭そうに見つめるリサ。
いつもは三人で二人きりになる時間などほとんどないに等しいから。今のこのひと時が永遠に続けばいいのにと思ってしまう。
そして何より今日はーー。
「リサ観てごらん、綺麗だね」
「はい」
きっとアーサー様は知らない。
「エルザとシルフィーも来れば良かったのに」
「・・・そうですね」
エルザとシルフィーが私の為にアーサー様との二人の時間を作ってくれた事。
「リサ?どーした」
「えっ?」
だけど、だけど、何でこんなに胸が痛むの?
「何で泣いてるの?どこか痛いのか?」
「大丈夫です、何でもないです」
「ーー何でもないって、最初に会った時も泣いてたじゃないか。何かあるならちゃんと話してくれよ」
アーサー様優しくしないで。余計に私は悪い子になっちゃうよ。
「ほら、涙を拭いてちゃんと話してごらん」
「あーさーさま・・・りさは、りさは」
アーサー様を自分だけの者にしたいです。
今日だけは良いですか?
神様、どうかどうか今日だけはリサのわがままを許して下さい。
リサはアーサーに抱きつきずっとずっと泣いてた。
夜空に鮮やかに打ち上げられた花火の音がリサの泣き声を遮りまるで二人は恋人の様に寄り添うシルエットを残して。
☆ ☆ ☆
「ーーなるほどねー。今日はそんな特別な日だったのね。なら準備してあげなきゃね」
「嫌なの」
「私も」
二人は目を真っ赤に腫らしてむすっとしている。
「あなた達からアーサーさんを貸してあげたんでしょ?泣くくらいならしなきゃ良かったじゃない?」
「そーだけど、こんなに苦しいとは思わなかったですわ」
「お胸がキュッとして痛いの」
「もー、それはそれ、これはこれ!大事なお友達の大切な日でしょ?自分だったらどーなの?祝ってほしいでしょ」
「ーーまあ、そーですわね」
「なの」
二人は不貞腐れた表情で答えた。
「ほら、ほら、シャキッとして飾り付けして。私はケーキを作るわ。お兄ちゃんに料理を作ってもらえるようにお願いするからね」
「ケーキなの!ミーナのお兄ちゃんの料理なの!」
エルザは目を輝かせて笑顔になる。
「ふーっ、エルザは単純よね。アーサー様より食べ物が一番なのよ」
シルフィーは笑みを浮かべ眼鏡を押し上げた。
☆
自分だけの大切な人にならない事なんてずっと前から分かっていた。
いつも三人だった・・・。
たまにウザいとか一人になりたいと思うことも沢山あったけど、いざ一人になるのを想像すると怖い時もある。
一人じゃ挫けて負けていた場面は何度もあった。
三人だから乗り越えてこれた。
一人なら・・・消えていたかもしれない。
今の私がいるのはーー、
仲間がいるからだ。
大切な何より大切な家族だから。
☆ ☆ ☆
誕生日ケーキとご馳走をみんなで囲みながら、
「リサ、誕生日おめでとう!」
「ありがとう、みんな」
嬉しさで涙が溢れるリサ。
「私にとってリサはかけがえのない大切な家族だよ」
「リサは私の家族なの」
「ありがとう。私もみんなが大好き。大切な家族だよ」
ーー ハッピーバースデイ りさ ーー
誰にでも平等に訪れるみんなから祝福される日。
今日という日をどれだけ待ち望んで楽しみにしていたことだろうか。
「今日という今日は、誰にも邪魔されずにアーサー様と一緒にいられますようーにっと、」
鏡に映る自分の顔を見ながら両手を合わせるリサ。ミーナに着付けをしてもらった紅い浴衣を着ている。誰よりも一番に大好きなアーサーに見せるために落ち着いてはいられず、何度も何度も鏡に映る自分の姿を見ていたのだ。
「アーサー様に早く見せたいなあ」
二階の部屋から窓の外を覗くリサ、辺りは夕焼けから紺色に薄暗く変化していた。
アーサーは、城下町の人達と一緒に祭りの準備に出掛けていた。精霊たちには一緒に祭りに行く約束をしているのだ。
胸をドキドキさせながらアーサーの帰りを待つリサにとってはとても永く待ち遠しい時間がゆっくりと流れていた。
☆
「あら?どーしたの二人とも浴衣着せてあげるからこっちにいらっしゃい」
喫茶店の奥のミーナの部屋の前でエルザとシルフィーは浴衣を握りしめてもじもじとしている。
その様子がなぜかミーナには余所余所しく何かバツの悪そうな気がしていた。
「どーしたの?何かあった?」
「えっ?・・・何でもないの」
エルザは首を何度も横に振るーーが、ミーナには何か隠してるように見えた。
「ほんとーに?シルフィー!!」
今度はシルフィーをジッと見つめるミーナ。
「な、何もありませんわ。浴衣を着せてもらいに来ただけですわ」
ミーナと会話中一度も目を合わせない二人。ミーナはこれ以上二人を問い詰めずに浴衣の着付けを始めた。
心の中では、何でも話せる友達になれたと思っていただけに少し寂しい気持ちになっていたのだったーー。
「・・・・・・」
鏡の中でどんどんと綺麗になってゆく自分の姿を見つめるエルザ。この姿を真っ先に大好きな人に見せたい。「可愛いよ」って褒めてもらいたい。そのシーンを思い浮かべただけで顔がニヤけてしまう。しかしーー、今日だけは・・・。
「ーーはい、出来たわよ。エルザ可愛いわよ」
笑顔でエルザを見つめるミーナ。しかし、そこにエルザの笑顔は無い。
「ミーナ、ありがとうなの」
エルザは一人ふわふわと二階に上がって行った。
「どーしたのかしら?シルフィーおいで着付けしてあげるわよ」
「ーーうん」
力のない返事。
「あなたたち、どーしたの?」
「うんん、何でもないですわ」
二人の元気の無さに首を傾げるミーナ。
これだけ言っても何も話してくれない二人にこれ以上何も聞かない事にミーナは決めたのだった。
☆ ☆ ☆
オレンジ色に染まっていた空は藍色と黒のグラデーションへ変化し辺りは闇へと包まれて行った。
太鼓の音が何処からともなく聞こえてくる。
街を行き交う人たちは皆、浴衣に身を包み楽しそうに同じ方向を目指して歩いてる。
リサ、エルザ、シルフィーの三人も浴衣姿でふわふわと浮かびながら祭の会場を目指していた。
「あっ!アーサーさまあーー」
リサがアーサーに気づき、急いで駆け寄る。
エルザとシルフィーはその声にビクッとなり、オロオロし始めた。
「よく来たね、大丈夫だったか?」
「うん。早く早くお祭り行こうよお」
リサはアーサーの手を引っ張り急かす。
「シルフィー、今なの。このまま行くの」
「そうね。行きましょうか」
二人はコソコソと小声で話しをし、アーサーとリサに背を向けて立ち去ろうとした時、
「エルザ、シルフィー何してんだ?行くぞ!」
アーサーの声が背中から聞こえた。
「ーーえっ、あっ、ちょっとエルザがお手洗いに・・・」
「ん?」
「そ、そーなの。エルザお手洗いなの」
アーサーがじーっと見つめると二人は視線を逸らす。
「アーサー様ごめんなさい!」
「急用なの!!」
二人は一目散に駆け出して行ったーー、
「お、、おい二人ともーー」
そんな二人の姿を見て首を傾げるアーサー。
あからさまにオカシイと思ったがこれ以上二人を追うことはしない事にした。
少し前なら確実に追いかけて事情を聞いたが、今は二人が意味の無い行動をとらない事は知っているからだ。
リンクテレパシーを使えば二人の考えている事を共有することも出来るが、それを使っている時点で精霊達を信頼してない事になる。
そんな事を考えながら歩いていると、リサが一人寂しそうにふわふわと浮いていた。
「あ、あれ?アーサー様、エルザとシルフィーは・・・」
「いや、途中で二人とも用事が出来たとかで帰っちゃったんだよ」
「嘘・・・バカじゃないの、こんな優しさいらないよ」
小声で呟きながら涙を浮かべるリサ。
「リサ、どうした?」
アーサーがそっと近づき顔を覗き込む。
「な、何でもないです。大丈夫、大丈夫」
両手を前に突き出し左右に振りながら無理矢理笑顔を作るリサ。
「せっかくだから一緒に行こうか」
「はい」
アーサーがゆっくり歩き出すとリサは隣をふわふわと飛んで行った。
月明かりが照らし出す二人だの空間がそこにはあり、それはずっとリサが望んでいたことだった。
「リサ」
「はい」
「浴衣綺麗だよ」
「・・・ありがとござます」
一番言って欲しかった言葉。一番大好きな人に言ってほしくて・・・。
月明かりが二人のシルエットを映し出す。
それはだんだんと小さくなって行く。
「本当にこれで良かったのエルザ?」
「今回は、リサに譲っただけなの」
木の影に隠れて二人を見送ったエルザとシルフィー。二人は、そのままアーサーとリサを見送るとミーナの喫茶店に行った。
☆
「あら、あなた達二人だけ?お祭り行かなかったの?リサちゃんとアーサーさんは?」
「リサは・・・アーサー様と一緒なの」
「どーゆーこと?あなた達は行かなかったの?」
顎に手を当て首を傾げるミーナ。
「今回はリサに譲ったのよ」
「ーー譲って、せっかくあなた達も浴衣着たのに」
その言葉に反応するかのように目には涙が溜まって行く。浴衣姿の二人は下を向いたまま動かなかった。
そしてーー、目から涙が溢れると次第に大粒になって頬を伝っていった。
「何でそんなことしたの?いつも通り三人仲良く一緒に行けば良かったじゃない?」
涙を流したまま首を横に振るエルザ。
「何があったの?」
ミーナは何があったか状況がつかめずシルフィーを見た。
シルフィーも口を真一文字に結んだまま涙を流していた。
「今日だけなの。今日だけはリサに譲るの」
「悔しいけどだって今日はーーーー」
☆ ☆ ☆
夜空に満開の華が咲いては消えていく。
その色鮮やかな光に照らされているアーサーの横顔を照れ臭そうに見つめるリサ。
いつもは三人で二人きりになる時間などほとんどないに等しいから。今のこのひと時が永遠に続けばいいのにと思ってしまう。
そして何より今日はーー。
「リサ観てごらん、綺麗だね」
「はい」
きっとアーサー様は知らない。
「エルザとシルフィーも来れば良かったのに」
「・・・そうですね」
エルザとシルフィーが私の為にアーサー様との二人の時間を作ってくれた事。
「リサ?どーした」
「えっ?」
だけど、だけど、何でこんなに胸が痛むの?
「何で泣いてるの?どこか痛いのか?」
「大丈夫です、何でもないです」
「ーー何でもないって、最初に会った時も泣いてたじゃないか。何かあるならちゃんと話してくれよ」
アーサー様優しくしないで。余計に私は悪い子になっちゃうよ。
「ほら、涙を拭いてちゃんと話してごらん」
「あーさーさま・・・りさは、りさは」
アーサー様を自分だけの者にしたいです。
今日だけは良いですか?
神様、どうかどうか今日だけはリサのわがままを許して下さい。
リサはアーサーに抱きつきずっとずっと泣いてた。
夜空に鮮やかに打ち上げられた花火の音がリサの泣き声を遮りまるで二人は恋人の様に寄り添うシルエットを残して。
☆ ☆ ☆
「ーーなるほどねー。今日はそんな特別な日だったのね。なら準備してあげなきゃね」
「嫌なの」
「私も」
二人は目を真っ赤に腫らしてむすっとしている。
「あなた達からアーサーさんを貸してあげたんでしょ?泣くくらいならしなきゃ良かったじゃない?」
「そーだけど、こんなに苦しいとは思わなかったですわ」
「お胸がキュッとして痛いの」
「もー、それはそれ、これはこれ!大事なお友達の大切な日でしょ?自分だったらどーなの?祝ってほしいでしょ」
「ーーまあ、そーですわね」
「なの」
二人は不貞腐れた表情で答えた。
「ほら、ほら、シャキッとして飾り付けして。私はケーキを作るわ。お兄ちゃんに料理を作ってもらえるようにお願いするからね」
「ケーキなの!ミーナのお兄ちゃんの料理なの!」
エルザは目を輝かせて笑顔になる。
「ふーっ、エルザは単純よね。アーサー様より食べ物が一番なのよ」
シルフィーは笑みを浮かべ眼鏡を押し上げた。
☆
自分だけの大切な人にならない事なんてずっと前から分かっていた。
いつも三人だった・・・。
たまにウザいとか一人になりたいと思うことも沢山あったけど、いざ一人になるのを想像すると怖い時もある。
一人じゃ挫けて負けていた場面は何度もあった。
三人だから乗り越えてこれた。
一人なら・・・消えていたかもしれない。
今の私がいるのはーー、
仲間がいるからだ。
大切な何より大切な家族だから。
☆ ☆ ☆
誕生日ケーキとご馳走をみんなで囲みながら、
「リサ、誕生日おめでとう!」
「ありがとう、みんな」
嬉しさで涙が溢れるリサ。
「私にとってリサはかけがえのない大切な家族だよ」
「リサは私の家族なの」
「ありがとう。私もみんなが大好き。大切な家族だよ」
ーー ハッピーバースデイ りさ ーー
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