三人の精霊と俺の契約事情

望月 まーゆ

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もふもふタイム

猫の手も借りたい(下)

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城門が開放されたと同時に獣人族たちが一斉に駆け出した。

目の前には無数のクルセーダーズ達が待ち構えていた。

「我らのチカラを見せ付けてやるにゃん!」

「「「にゃーーん!!」」」


メルル達がクルセーダーズに攻撃しようとした瞬間、クルセーダーズの群勢がバタバタと倒されて行くーー。

ーーーー!!


「遅えーよ!スピードが自慢じゃなかったのか?」

「ま、まさか我々よりも速く・・・人間が」

獣人族の一人が驚きの声を上げる。

「くっ、アクセルにゃんに遅れをとるな!」

獣人族が加速する。

加速、加速、加速、加速、斬撃、斬撃、斬撃。

獣人族の自慢のスピードと剣術を披露する。
敵の合間、合間を縫うように駆け抜ける。
バタバタと倒れて行くクルセーダーズ。

「おお!なかなかの腕前だ」

アクセルから思わず声が漏れる。

クルセーダーズ達はたまらずじりじりと後退して行く。

ーーしかし、

「クルセーダーズの後方より高魔力反応があるにゃん」

「魔法攻撃が来るぞ。衝撃にそなえろ!」

メルルが獣人族のメンバーに指示を飛ばす。
アクセルは平然とその場に立ち尽くしている。

「アクセルにゃん何をボーッと立ってるにゃん?一旦退がるのにゃん」

メルルが必死にアクセルを促すが、

「せっかく相手が下がってくれたのに、なんでわざわざこちらも下がらなくてはならないんだ?」

アクセルは剣を鞘に収めて何やら力を溜めている。

「マジックチャージ」

目を閉じ集中するアクセル。

「だ、、ダメにゃん!!来るにゃん」

無数の魔法が雨が降りしきるようにアクセル達に降り注ぐ。

魔封剣マジックセールソード

無数の魔法を全てアクセルの剣が吸い取る。

「喰らえ!お前らの魔法をお返しだぁぁ」

無形の魔法の刃が斬撃となりクルセーダーズ達を襲う。

まさに一閃、一瞬にしてクルセーダーズの残党を切り裂いた。

この人間の余りの強さに呆然とするメルル達。
己の強さを過信していた事を改めて恥じる事態となった。

「あ、、アクセル様・・・」

メルルが詫びを入れようと近づいた時、

「胸を張れ!!堂々としろ!」

アクセルの言葉の意味がわからない。

「にゃっ?」

「今、国民は皆、我らに注目している。その眼差しに刻んでやれ!我等なら国を守れると」

「「「はっ!」」」

クルセーダーズを倒したアクセルとメルル達獣人族は今、堂々と城門を潜り抜けた。

そこで待っていたのは国民による歓声の嵐だった。

今まで耐え凌ぐことしか出来なかった国が敵と対等に戦えることを初めて証明したのだ。




そして、王選に見事勝利したのはアクセルの父、ヨーゼフだった。

公約通りに獣人族には領地とホーエンハイムの永住権を取得。

ーーそして、

「今日からは私が騎士団長のメルルだ。宜しく」

総勢三十名の獣人族たちは一斉に敬礼する。

ーーと、そこへ。

「ニシシシ、なかなか似合ってんじゃない」

「アクセルにゃん!!」

全員がアクセルに敬礼する。
アクセルもニヤッと笑い敬礼する。

「騎士団を作って頂きありがとうございますにゃん。それだけでなく永住権や住居なども本当にアクセルにゃんには感謝しても仕切れないですにゃん」

「ニシシシ、なら俺の為に一生懸命働け。この国を守れるのは俺らだけだ!」

「「「にゃん!!」」」

再び、ニシシシと笑いながら、

「そーだ、騎士団の名前だけどな」









『猫の手も借りたいほどだからな。
              キャットハンズにしたわ』





ーー 完 ーー
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