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おやつタイム
S・迷子の迷子の精霊ちゃん
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太陽は静かに音もなく登り、柔らかな朝の光に包まれる。
いつもと変わらない朝、清々しい空気が新しい一日の始まりを感じる。
「今日は、隣街に出かけようと思う」
「やったあ!お出かけしたあい」
「あたらしい ケーキ屋さんみつけるの」
「是非ご一緒したいですわ」
三人の精霊は思わぬ朗報に大はしゃぎだ。
「定期の馬車が一日に数本出てるんだ。乗り遅れないように急ごう」
こうして俺たちは隣町に馬車に揺られながら行くことにした。
ーー 着いて数分後、事件が起きる ーー
★ ★ ★
「・・・何処に行った? 」
俺の後ろをふわふわと付いてきてると思っていた精霊三人が二人になっている。
いつもの王宮の城下町と違い、隣町は大きさは変わらないが人口密度が高く周りは人が多い。
普通の人が逸れてもなかなか探し出すのは大変なのにいくらふわふわ飛んでいても小さな精霊は見つけるのは一苦労だ。
「もうお!エルザったら何処に行ったのかしら」
「ふふふ、どうせ食べ物に誘惑されたに違いないですわ」
「とりあえず引き返しながら食べ物屋を注意しながら探そう」
ただ、真っ直ぐ歩いて来ただけなのに、全く何処で寄り道してんだ?
そこのパン屋? ーー いない。
あそこの果物屋? ーー いない。
なら、カフェは? ーー いない。
探し始めてから大分時間が経つ、簡単に見つかると思っていたが見つからない。
「エルザ何処に行ったんだろお」
「これだけ捜していないなんて、おかしいですわね」
その時ーー リンクテレパシーを感じた。
* * * * * * * * * * * * *
「みんなどこなの? ここはどこなの」
「エルザ、今何処にいる」
「分からないの。ケーキ屋さんの前で店の中見てたら、網みたいのに捕まったと思ったら狭い檻にいるの」
「ーー 檻!? 精霊を悪魔族に・・・事件か」
「凄い揺れるの・・・目がまわるの」
「エルザ? エルザ?・・・ダメだ途切れた」
* * * * * * * * * * * * *
「エルザは、何て?」
「網で捕まって、狭い檻に入れられてるらしい」
「すぐに助けなきゃ! 網を持ってる人見つければいいんじゃない」
「ただ、物凄く揺れていたみたいなんだ」
「揺れるですか・・・船? 馬車? 」
「網・・・檻・・・揺れる・・・ふらふら・・・ぶら下げる・・・ほるほどね」
「アーサー様?」
★ ★ ★
午後の光がいくらか薄れ、夕暮れの気配が訪れる。
「ひくっ、ひくっ、ぐすん、アーサーさま」
エルザは、自分は捨てられてしまったんではないかと不安でいっぱいだった。
このままアーサー達は迎えに来てくれず、このまま自分は得体のしれない何処に連れて行かれてしまうのではないか。
悪魔族に売られてしまい魔力を吸いとられてしまうのではないかと。
アーサーにリンクテレパシーを試しても届かない。
目を回して気絶して、起きてから聞こえるのは子供のはしゃぐ声だけだ。
「もう遅いから帰るわよ」
エルザの隣に母親らしい女の人の影だけが見え、「はあい」と子供たちがエルザの元に駆け寄ってくるのが見える。
此処は、街の外れの狭い広場のベンチの上。
「ねえ、ママ見て。珍しい虫を捕まえたの」
「あら? これ虫じゃないわよ」
その時 ーーーー、
「ごめんね。この子は俺の大切な家族なんだ」
この声は・・・。
「返してもらえるかな」
ずっと待ってた声・・・。
「うん。お兄ちゃんの家族って知らなくて捕まえてゴメンね」
「すいません。ウチの子が」
いいえ、いいえ、と頭を下げるアーサーは虫かごをそっと開けた。
「出ておいで、エルザ」
「あーさーさまああああ」
泣きじゃくりながらエルザが飛び出し一目散にアーサーに向かって抱きつく。
「ちゃんと着いて来なきゃ駄目じゃないか。迷惑かけて、いけない子だな」
「ごめんねなさい・・・ぐすんなの」
「さあ、ウチに帰ろう」
帰り道また迷子にならないようにエルザはアーサーの服をぎゅっと握っていた。
それを見たアーサーはそんなエルザが愛おしく可愛くて仕方なかった。
「エルザ、おいで」
自分の左胸のポケットにエルザを入れてあげた。
「これで安心だろ? 」
「うん。ありがとう」
「いいなあ。エルザばっかズルいい」
「散々迷惑かけておいて、酷いですわ」
エルザは、満遍の笑みを浮かべて胸ポケットから斜め上のアーサーの顔を見上げて顔を赤く染めて照れていた。
きょうは、 いろいろめいわくかけてしまって、嫌なことばっかりだったけど最後はうれしかったの。
アーサーさまに少しだけ特別扱いしてもらえたの。
アーサーさまの左胸、心臓(ハート)の一番近くにいれたから、エルザはそれだけで幸せな気分だったの。
エルザは、 アーサーさまがだいすきです。
おわり。
いつもと変わらない朝、清々しい空気が新しい一日の始まりを感じる。
「今日は、隣街に出かけようと思う」
「やったあ!お出かけしたあい」
「あたらしい ケーキ屋さんみつけるの」
「是非ご一緒したいですわ」
三人の精霊は思わぬ朗報に大はしゃぎだ。
「定期の馬車が一日に数本出てるんだ。乗り遅れないように急ごう」
こうして俺たちは隣町に馬車に揺られながら行くことにした。
ーー 着いて数分後、事件が起きる ーー
★ ★ ★
「・・・何処に行った? 」
俺の後ろをふわふわと付いてきてると思っていた精霊三人が二人になっている。
いつもの王宮の城下町と違い、隣町は大きさは変わらないが人口密度が高く周りは人が多い。
普通の人が逸れてもなかなか探し出すのは大変なのにいくらふわふわ飛んでいても小さな精霊は見つけるのは一苦労だ。
「もうお!エルザったら何処に行ったのかしら」
「ふふふ、どうせ食べ物に誘惑されたに違いないですわ」
「とりあえず引き返しながら食べ物屋を注意しながら探そう」
ただ、真っ直ぐ歩いて来ただけなのに、全く何処で寄り道してんだ?
そこのパン屋? ーー いない。
あそこの果物屋? ーー いない。
なら、カフェは? ーー いない。
探し始めてから大分時間が経つ、簡単に見つかると思っていたが見つからない。
「エルザ何処に行ったんだろお」
「これだけ捜していないなんて、おかしいですわね」
その時ーー リンクテレパシーを感じた。
* * * * * * * * * * * * *
「みんなどこなの? ここはどこなの」
「エルザ、今何処にいる」
「分からないの。ケーキ屋さんの前で店の中見てたら、網みたいのに捕まったと思ったら狭い檻にいるの」
「ーー 檻!? 精霊を悪魔族に・・・事件か」
「凄い揺れるの・・・目がまわるの」
「エルザ? エルザ?・・・ダメだ途切れた」
* * * * * * * * * * * * *
「エルザは、何て?」
「網で捕まって、狭い檻に入れられてるらしい」
「すぐに助けなきゃ! 網を持ってる人見つければいいんじゃない」
「ただ、物凄く揺れていたみたいなんだ」
「揺れるですか・・・船? 馬車? 」
「網・・・檻・・・揺れる・・・ふらふら・・・ぶら下げる・・・ほるほどね」
「アーサー様?」
★ ★ ★
午後の光がいくらか薄れ、夕暮れの気配が訪れる。
「ひくっ、ひくっ、ぐすん、アーサーさま」
エルザは、自分は捨てられてしまったんではないかと不安でいっぱいだった。
このままアーサー達は迎えに来てくれず、このまま自分は得体のしれない何処に連れて行かれてしまうのではないか。
悪魔族に売られてしまい魔力を吸いとられてしまうのではないかと。
アーサーにリンクテレパシーを試しても届かない。
目を回して気絶して、起きてから聞こえるのは子供のはしゃぐ声だけだ。
「もう遅いから帰るわよ」
エルザの隣に母親らしい女の人の影だけが見え、「はあい」と子供たちがエルザの元に駆け寄ってくるのが見える。
此処は、街の外れの狭い広場のベンチの上。
「ねえ、ママ見て。珍しい虫を捕まえたの」
「あら? これ虫じゃないわよ」
その時 ーーーー、
「ごめんね。この子は俺の大切な家族なんだ」
この声は・・・。
「返してもらえるかな」
ずっと待ってた声・・・。
「うん。お兄ちゃんの家族って知らなくて捕まえてゴメンね」
「すいません。ウチの子が」
いいえ、いいえ、と頭を下げるアーサーは虫かごをそっと開けた。
「出ておいで、エルザ」
「あーさーさまああああ」
泣きじゃくりながらエルザが飛び出し一目散にアーサーに向かって抱きつく。
「ちゃんと着いて来なきゃ駄目じゃないか。迷惑かけて、いけない子だな」
「ごめんねなさい・・・ぐすんなの」
「さあ、ウチに帰ろう」
帰り道また迷子にならないようにエルザはアーサーの服をぎゅっと握っていた。
それを見たアーサーはそんなエルザが愛おしく可愛くて仕方なかった。
「エルザ、おいで」
自分の左胸のポケットにエルザを入れてあげた。
「これで安心だろ? 」
「うん。ありがとう」
「いいなあ。エルザばっかズルいい」
「散々迷惑かけておいて、酷いですわ」
エルザは、満遍の笑みを浮かべて胸ポケットから斜め上のアーサーの顔を見上げて顔を赤く染めて照れていた。
きょうは、 いろいろめいわくかけてしまって、嫌なことばっかりだったけど最後はうれしかったの。
アーサーさまに少しだけ特別扱いしてもらえたの。
アーサーさまの左胸、心臓(ハート)の一番近くにいれたから、エルザはそれだけで幸せな気分だったの。
エルザは、 アーサーさまがだいすきです。
おわり。
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