三人の精霊と俺の契約事情

望月 まーゆ

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三人の精霊と悪魔教団の書・魔導武闘会編

アーサーと精霊対ベリアル③

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盛大に行われていた魔法武道会が嘘のように静まり返るコロッセオ。

人々は逃げ出し、ただ呆然と戦況を祈るだけだったーー

今尚、コロッセオの中で戦う者たちに勝利を託して・・・


「怯むな! 前進せよ」

ランスロットが金色の夜明け団を鼓舞するーー

金色の夜明け団は抜群の連携を見せる。

攻撃隊・防御隊・ヒーラー・サポーターに部隊を分けベリアルに挑むが、ベリアルの圧倒的な魔力の前には無力であった・・・

「くっ、、何という事だ」

暴走する魔力の渦、予測不能の邪悪な波動。
ランスロットは指揮に戸惑っていた。

「私たちも行くよ! 金色の夜明け団に遅れを取るな」

銀の星団もリンスレットに続きベリアルに挑む。

銀の星団は圧倒的な機動部隊だーー

肉体活性化魔法でフィジカルを上げベリアルの攻撃を交わしながら攻め続ける。


しかしーー


「団長・・・グハッ、回避不可能です」

闇の波動に呑み込まれ倒れる銀の星団の団員。

「敵に触れる事すら出来ないなんて・・・」

リンスレットの顔が曇るーー

「ーー退がって」

その声の主は淡々と前に歩み出して行った。

闇の波動が不規則に無数に発動している中、何事もなかったように魔法の障壁で回避する。

金色の夜明け団の防衛魔法のそれとは数段上の完璧な障壁ーー

その障壁がたとえ貫かれても緊急炎障壁の魔法の障壁が発動し回避する。

まさに鉄壁の防御。

この主は魔法の騎士団が束になっても近づけなかった暴走するベリアルの前に立った。

「チカラを求め過ぎたなベリアル。消えてもらうぞ」

「ぐ・・・ががが・・・グオオお」

声にならない叫び声を上げるベリアル、すでに言葉すらわからない程に魔力に侵されていたーー


ベリアルの暴走する魔法によってコロッセオは変わり果てた廃墟のように崩れ落ちてきている。

最先端の技術を駆使して創り上げた施設はその影を失いつつある。

崩れ落ちるコロッセオのまさに中心で闘っているのはベリアルとアーサーと四人の精霊だ。

「準備はいいなーー全力で行くぞ!」

「「「 はい 」」」 

「なの」

アーサーの掛け声と共に一斉に魔力を解放する精霊たちーー




空気が変わったーー


ベリアルの邪悪な禍々しい魔力が霞むほどの清らかな聖なるオーラがコロッセオを支配する。

アーサーの成長がそのまま精霊たちの成長に繋がるーーそのとおりの成長を今ここに示した形となった。


「短期間で人はここまで成長する者なのか・・・」

「魔力の桁が違うよ・・・」

メーディアとキルケーが思わず声が溢れた。


「いくぞ!」

アーサーの合図と共にベリアルを中心に囲むようにして散る精霊たち。


「アーサー様いつでもいけますわ」

「なの」

「同じく」

「問題ありませんわ」

四人の精霊の魔力がピークに達したーー

周りで観ている魔法騎士団からも騒めきが起き始めた。

「お、おいーーまさかこの場所にいたらヤバイんじゃ」

「ああーー巻き込まれるぞ。逃げろ」

誰が言ったこの一言で魔法騎士団はその場から離れようとしていた。

しかしーー

「バカやろうが、敵に背を向け逃げ出すなど騎士の恥だ」

ランスロットが仁王立ちで立ち振る舞っていた。

「逃がしてやって下さいよ。彼らには無理ですよ」

ロビンは苦笑いを浮かべてランスロットの隣に立っていた。
ロビンはそっと、ランスロットに気付かないように他の騎士団員に手を振る素振りを見せた。


「銀の星団も立ち去りなさい。巻き込まれるわよ」

リンスレットも団員に退却命令を下した。

「フルパワーの四属性の特大魔法をぶつける気みたいね」

「あ、あの私も逃げたいです。もう帰って良いですか」

「もう、遅い」

涙目になり項垂れるライラをよそにリリスがみんなに気を遣った。


「ーーあの、とりあえず障壁貼っておきますか」


その場に残っていた円卓の魔導士全員がお願いしますとお辞儀した。


★ ★ ★

「ホンキのホンキ、フルパワーなの」

大地がざわつき、空気が揺れるーー

ベリアルの四方に光の魔力の柱が四本天に向かって延びている。

いつの間にか暴れてまわっていたベリアルの動きが止まってるのに気付くーー


ベリアルは四方からの聖なる魔力の圧力で身動きが取れなくなっていたのだ。




「決めるぞ、放てええええ」



「ディープ・インパクト」
「エクスプロージョン」
「エターナル・ウインド」
「ルナティックプリズム」


四人の精霊が放つ最強魔法の巨大なエネルギーがベリアルに直撃した。

その衝撃は辺り一面に広がったーー

障壁を貼っていた円卓のメンバーでさえ耐えきるのがギリギリだった。

もしコロッセオに騎士団員たちがいたらただでは済まなかっただろう。


濛々と砂煙りが巻き上がり視界を奪う。

円卓のメンバーたちは固唾を呑んで見守っているーー


コロッセオの壁が崩れるーーもはや廃墟と化した巨大な建物の中心部に緊張が走る。


「ーーベリアルの魔力が無くなったような・・・」

「あれだけ巨大で邪悪な魔力だから今感知出来ないって事は・・・」


期待を抱きながら視界が晴れるのを今か今かと待ちわびる円卓のメンバー。


★ ★ ★


「ーーーーっ」

立ち込める砂煙りの中でアーサーと精霊たちは言葉を失った。

それは、余りにも予想だにしなかった光景が目の前に飛び込んできたからだ。

精霊たちはフルパワーで自身の持てる最強魔法をベリアルに確かに放った。

それは全員が確認しているしアーサーも、もちろん見ていた。

しかし、そこにあるはずのベリアルの姿はなく代わりに居たのは別の人物が平然と立っていたのだ。

いや、人物ではなく人物たちだーー

「何であなたたちがここに・・・」

アーサーは困惑と状況がまだ飲み込めず言葉が出てこないーー

「ベリアルはどうなったの」

リサはキョロキョロと周りを見渡すけどそこはまだ視界が晴れずにいる。


アーサーの元に四方に散らばっていた精霊たちはふわふわと浮かびながら戻って来る。

シルフィーはその人物たちの動きをジッと観察しながら戻ってきた。

その中で異変に気付くーー

アーサーの耳元にそっと近づき耳元で囁いた。


「シーサー様、一度も瞬きをしていません」


ベリアルの代わりに砂煙りから現れたのはシーサーとマーリンの二人だった。


ーー なぜアーサー達の前に ーー
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