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十四話 王女様のいう事は絶対だった
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馬車を走らせること1時間、馬を休憩させるという理由で、俺達も一度休憩することにした。
机と椅子を出して、椅子に座る。
「レイアは嫌じゃないのか?」
「何がでしょうか?」
「外で、こんな椅子に座るの」
俺達が使っている椅子は、そこら辺の冒険者のよりかは高価な椅子だ。
それでも、王女様が座ってきた椅子に比べたら、比べ物にならない位、ボロくて、座り心地の悪いものなはずだ。
しかし、レイアは首を左右に振り、俺の考えを否定する。
「全然嫌じゃないですよ。たまにはこういうのも楽しいですよ」
「そうか」
それなら良かったと俺は安心する。
「ところで、レイアは俺のところに四日間もいて大丈夫なのか?」
今は、魔王が出現しており、勇者も召喚されている。レイアもそれなりにすることがあるだろう。
それなのに、四日も留守にしても大丈夫なのだろうかと思ったのだ。
俺の質問を聞いたレイアは、今更その質問?みたいな顔になった。
「もちろん大丈夫ですよ」
「することないのか?」
「はい、ありません」
え?レイアって王女様だよな。
少しはやらないといけない事ってあるんじゃないのか?
「本当に...本当にないんだな?」
「はい。何をしでかすかわからないから、何もしなくていいと言われました」
「ああ、なるほど」
その言葉で納得できた。
アホだから、何をしでかすかわからないもんな。レイアに仕事を任せたら不安しかないしな。
それならば暇なわけだ。
うんうん、と頷いて納得していると、レイアはそれが気に食わないのか、少し怒り気味に叫び始めた。
「なんで納得してるんですか!何しでかすか分からないって、わたくしは何もしでかしませんよ!」
「え?」
「え?じゃないですよ!何もしませんよ!」
「色々しでかすだろ」
城にいたときはこんなアホキャラじゃなかったのにな。
もっと頭いい感じだったのに。
演技派すぎるだろ。
そのことは一旦置いておくとして、レイアがうるさい。
王女様に対しての扱いが適当な気がするが、アホだから仕方ないよな。
「レイア、少し落ち着け」
「はぁ...落ち着いてます」
少し声が小さくなった。
見るからに元気がなくなって、下を向いているレイア。
あそこで納得されるのがそんなに嫌だったのだろうか?
謝ろう、とレイアに声をかけようとした途端、レイアが勢いよく頭をあげた。
「そう言えば、どうしてエリスさんとパーティーを組んでるんですか?」
何があったのかと思えばその事か。と言うか、立ち直りが早いな。
まあ、その事はいいとして、どうしてパーティーを組んでいるのか、か。
「高ランクの依頼を受けたいからだな」
「そうなんですか。どうやってパーティーを組んだのですか?」
あ、その話が来たか。エリスに勝ってパーティーを組んだ、って言うと面倒なことになりそうだ。
もしかしたら、訓練に参加させられるかもしれない。
瑞希と一緒なのは嬉しいが、縛られるのは嫌だ。
お前は好きな人が心配じゃないのか!というツッコミがありそうだが、瑞希に関しては心配するだけ無駄だ。
今まで心配したことは何度かあったが、全て杞憂に終わったのだ。
すべて話すと長くなるから簡単に言うが、瑞希は一度殺されかけている。
これはあとから聞いた話なのだが、瑞希が一人でお使いに言った時に、近くにいた殺人犯(未遂)が、瑞希に刃物を持って襲いかかったそうだ。
そして、もう少しで瑞希が切りつけられるという所で、どこからか分からないが、看板が飛んできたそうだ。それは見事に犯人にあたり、瑞希は無事だったらしい。
聞いた時は、嘘みたいな話だな、と思っていたが、今考えると幸運があったからなんだな、と思う。
まあ、この話以外にも色々と同じような話があるのだ。
だから、俺は瑞希を心配していない。あいつなら大丈夫だろうからな。
そんなことよりも、話を戻そう。
どうやってパーティーを組んだかだ。正直に話すべきか、話さないべきか。
さてどうするか、と俺が悩んでいると、さっきまでずっと黙っていたエリスがいきなり口を開いた。
「私が頼んだのです」
「エリスさんが?」
「はい、リョウタは強かったので、パーティーを組んでほしい、と私が頼んだのです」
エリスなこれ以上何か言ったら、面倒なことになりそうなので、レイアに聞こえないように、小声で止めさせる。
「おいエリス、これ以上は何も言うな」
「そういう訳にはいかないよ。王女様の質問には答えないと」
王様ゲームの王様のいうことは絶対、みたいな感じで、王女様のいう事は絶対なのか?と俺はどうでもいいことを考えていた。
そんなことよりも、今はこれ以上面倒なことにならないようにするにはどうするかだ。
今レイアは、エリスの言葉に困惑している。弱かったはずの俺が、エリスに強いと言われているからだろう。
その困惑している間に、なんとか切り抜ける方法を考えないと。
俺は、面倒事を避けるために平均的な頭をフル回転させるのだった───。
机と椅子を出して、椅子に座る。
「レイアは嫌じゃないのか?」
「何がでしょうか?」
「外で、こんな椅子に座るの」
俺達が使っている椅子は、そこら辺の冒険者のよりかは高価な椅子だ。
それでも、王女様が座ってきた椅子に比べたら、比べ物にならない位、ボロくて、座り心地の悪いものなはずだ。
しかし、レイアは首を左右に振り、俺の考えを否定する。
「全然嫌じゃないですよ。たまにはこういうのも楽しいですよ」
「そうか」
それなら良かったと俺は安心する。
「ところで、レイアは俺のところに四日間もいて大丈夫なのか?」
今は、魔王が出現しており、勇者も召喚されている。レイアもそれなりにすることがあるだろう。
それなのに、四日も留守にしても大丈夫なのだろうかと思ったのだ。
俺の質問を聞いたレイアは、今更その質問?みたいな顔になった。
「もちろん大丈夫ですよ」
「することないのか?」
「はい、ありません」
え?レイアって王女様だよな。
少しはやらないといけない事ってあるんじゃないのか?
「本当に...本当にないんだな?」
「はい。何をしでかすかわからないから、何もしなくていいと言われました」
「ああ、なるほど」
その言葉で納得できた。
アホだから、何をしでかすかわからないもんな。レイアに仕事を任せたら不安しかないしな。
それならば暇なわけだ。
うんうん、と頷いて納得していると、レイアはそれが気に食わないのか、少し怒り気味に叫び始めた。
「なんで納得してるんですか!何しでかすか分からないって、わたくしは何もしでかしませんよ!」
「え?」
「え?じゃないですよ!何もしませんよ!」
「色々しでかすだろ」
城にいたときはこんなアホキャラじゃなかったのにな。
もっと頭いい感じだったのに。
演技派すぎるだろ。
そのことは一旦置いておくとして、レイアがうるさい。
王女様に対しての扱いが適当な気がするが、アホだから仕方ないよな。
「レイア、少し落ち着け」
「はぁ...落ち着いてます」
少し声が小さくなった。
見るからに元気がなくなって、下を向いているレイア。
あそこで納得されるのがそんなに嫌だったのだろうか?
謝ろう、とレイアに声をかけようとした途端、レイアが勢いよく頭をあげた。
「そう言えば、どうしてエリスさんとパーティーを組んでるんですか?」
何があったのかと思えばその事か。と言うか、立ち直りが早いな。
まあ、その事はいいとして、どうしてパーティーを組んでいるのか、か。
「高ランクの依頼を受けたいからだな」
「そうなんですか。どうやってパーティーを組んだのですか?」
あ、その話が来たか。エリスに勝ってパーティーを組んだ、って言うと面倒なことになりそうだ。
もしかしたら、訓練に参加させられるかもしれない。
瑞希と一緒なのは嬉しいが、縛られるのは嫌だ。
お前は好きな人が心配じゃないのか!というツッコミがありそうだが、瑞希に関しては心配するだけ無駄だ。
今まで心配したことは何度かあったが、全て杞憂に終わったのだ。
すべて話すと長くなるから簡単に言うが、瑞希は一度殺されかけている。
これはあとから聞いた話なのだが、瑞希が一人でお使いに言った時に、近くにいた殺人犯(未遂)が、瑞希に刃物を持って襲いかかったそうだ。
そして、もう少しで瑞希が切りつけられるという所で、どこからか分からないが、看板が飛んできたそうだ。それは見事に犯人にあたり、瑞希は無事だったらしい。
聞いた時は、嘘みたいな話だな、と思っていたが、今考えると幸運があったからなんだな、と思う。
まあ、この話以外にも色々と同じような話があるのだ。
だから、俺は瑞希を心配していない。あいつなら大丈夫だろうからな。
そんなことよりも、話を戻そう。
どうやってパーティーを組んだかだ。正直に話すべきか、話さないべきか。
さてどうするか、と俺が悩んでいると、さっきまでずっと黙っていたエリスがいきなり口を開いた。
「私が頼んだのです」
「エリスさんが?」
「はい、リョウタは強かったので、パーティーを組んでほしい、と私が頼んだのです」
エリスなこれ以上何か言ったら、面倒なことになりそうなので、レイアに聞こえないように、小声で止めさせる。
「おいエリス、これ以上は何も言うな」
「そういう訳にはいかないよ。王女様の質問には答えないと」
王様ゲームの王様のいうことは絶対、みたいな感じで、王女様のいう事は絶対なのか?と俺はどうでもいいことを考えていた。
そんなことよりも、今はこれ以上面倒なことにならないようにするにはどうするかだ。
今レイアは、エリスの言葉に困惑している。弱かったはずの俺が、エリスに強いと言われているからだろう。
その困惑している間に、なんとか切り抜ける方法を考えないと。
俺は、面倒事を避けるために平均的な頭をフル回転させるのだった───。
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