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十五話 御者は面倒だった
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なにか言い訳を...と考えていると、先にレイアが口を開いた。
「リョウタさん、リョウタさんはエリスさんより強いんですか...?」
やはりその質問だよな。
どうしようやって誤魔化そうか。
たまたま勝てた、それではダメだ。...いや、いけるかもしれない。
「偶偶勝てたんだよ」
「Sランク冒険者に偶偶で勝てるとでも?」
予想通りそこをついてくるな。
「ステータスを見てみるか?」
「はい、かなり高いのでしょ?」
レイアの言う通り、本当はかなり高い。そのステータスをそのまま見せれば、偶偶ではないとばれる。だが、隠蔽でステータスを変えて表示させれば、誤魔化せるはずだ。
俺はレイアに隠蔽したスキルを見せる。するとレイアは、目を見開いた。
「本当にこのステータスなんですか?」
「ああ、そうだが?」
今の俺の隠蔽スキルのレベルは7なので、そうそう見破られないはずだ。
「鑑定スキルを使っても、このまま表示されていますし、本当にこのステータスなのでしょうけど...」
レイアは鑑定スキルを持っていたのか。たぶん、これで俺がたまたま勝てたと確信してくれたはずだ。
さて、きりもいいしもう1度馬車を走らせるか。
レイア達に馬車に乗るように指示をして、俺は御者台に乗る。
最近、御者をやり続けていて思ったのだが、御者はかなり面倒くさい。地味に疲れるし、1人だし、お尻痛いし。本当に面倒だ。
俺は、そろそろ変わってほしいなと思いながら、馬車を走らせるのだった。
*
2時間ほどたち、日が傾き始めた頃、どこからか女性の声が聞こえてきた。
「キャーーー!」
完全に叫び声だ。
「リョウタ、今の叫び声だよね」
少し焦り気味に聞いてくるエリス。
「そうだけど、どうしたんだ?」
「この辺りでは、魔物は絶対に湧かないの。となると、叫ぶ理由は二つしかない」
「二つ?」
なんとなく予想はつくが、一応聞いてみる。
「一つ目は、外から来た魔物がいるということ」
もちろんその可能性はあるだろう。だが、この辺りではもう一つの可能性の方が高い。
「二つ目は...人に襲われたという可能性」
小説でよくある盗賊とかそういう部類だ。この世界にももちろん存在し、非道な行為を繰り返している。
「急いだ方が良さそうだな」
手遅れになる前に行かなければ。
俺は声の聞こえた方向へ、馬車を急いで走らせたのだった───。
「リョウタさん、リョウタさんはエリスさんより強いんですか...?」
やはりその質問だよな。
どうしようやって誤魔化そうか。
たまたま勝てた、それではダメだ。...いや、いけるかもしれない。
「偶偶勝てたんだよ」
「Sランク冒険者に偶偶で勝てるとでも?」
予想通りそこをついてくるな。
「ステータスを見てみるか?」
「はい、かなり高いのでしょ?」
レイアの言う通り、本当はかなり高い。そのステータスをそのまま見せれば、偶偶ではないとばれる。だが、隠蔽でステータスを変えて表示させれば、誤魔化せるはずだ。
俺はレイアに隠蔽したスキルを見せる。するとレイアは、目を見開いた。
「本当にこのステータスなんですか?」
「ああ、そうだが?」
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「鑑定スキルを使っても、このまま表示されていますし、本当にこのステータスなのでしょうけど...」
レイアは鑑定スキルを持っていたのか。たぶん、これで俺がたまたま勝てたと確信してくれたはずだ。
さて、きりもいいしもう1度馬車を走らせるか。
レイア達に馬車に乗るように指示をして、俺は御者台に乗る。
最近、御者をやり続けていて思ったのだが、御者はかなり面倒くさい。地味に疲れるし、1人だし、お尻痛いし。本当に面倒だ。
俺は、そろそろ変わってほしいなと思いながら、馬車を走らせるのだった。
*
2時間ほどたち、日が傾き始めた頃、どこからか女性の声が聞こえてきた。
「キャーーー!」
完全に叫び声だ。
「リョウタ、今の叫び声だよね」
少し焦り気味に聞いてくるエリス。
「そうだけど、どうしたんだ?」
「この辺りでは、魔物は絶対に湧かないの。となると、叫ぶ理由は二つしかない」
「二つ?」
なんとなく予想はつくが、一応聞いてみる。
「一つ目は、外から来た魔物がいるということ」
もちろんその可能性はあるだろう。だが、この辺りではもう一つの可能性の方が高い。
「二つ目は...人に襲われたという可能性」
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「急いだ方が良さそうだな」
手遅れになる前に行かなければ。
俺は声の聞こえた方向へ、馬車を急いで走らせたのだった───。
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